記事を読んでいただきありがとうございます。今回は、巷で話題になっているPSNEOについて取り上げます。PS4の上位互換機として2016年の10月に発売が予定されているとされるPSNEOですが、果たしてその正体はどのようなものなのでしょうか。
PSNEOについて、現在では価格やスペックについて詳細な情報はまだ発表されていません。公式な情報としては、SIEの社長兼グローバルCEOであるAndrew House(アンドリュー・ハウス)氏が米Financial Timesのインタビューに答える形で明らかにしたものがあります。
これまでのPS4と明確に違うのは4K解像度へのサポートも行われている点です。さらにCPU、GPU、メモリがグレードアップされています。PS4のゲームは基本的にNEOでも全てプレイする事ができますが、PS4では表現しきれない超ハイスペックな映像についても表現することができます。今後のPS4向けゲームではPSNEOに対応した仕様での開発も並行する必要が生じてくるでしょう。
PSVRの予約が開始されました。PS4で成功を収めたSONYに次世代機がPSVRだ、という認識をお持ちの方も多いのではないでしょうか。「なぜこのタイミングでPS4の後継機を?」と不思議に思う人もいるかもしれません。
SONYは、ソニー・コンピュータエンタテインメントとソニー・ネットワークエンタテインメントインターナショナルを統合した新会社,ソニー・インタラクティブエンタテインメントを4月の1日に設立しました。本社機能がそれに伴い、カリフォルニアへと移転したこともあり、大きな話題を呼びました。
左の図は、SONYの経営方針です。SONYはゲーム&ネットワーク事業を「成長牽引領域」に位置づけています。また、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの日本支社長である盛田厚さんは、ゲーム情報サイト「4Gamer.net」において、このようにコメントしています。
日本の市場を軽視しているということではありません。そこはご安心ください。
もともとソニー・コンピュータエンタテインメントのヘッドクォーターは日本に,ソニー・ネットワークエンタテインメントインターナショナルのヘッドクォーターはアメリカにあったんですね。それは,ネットワークサービス関連の技術はアメリカにアドバンテージがあり,そちらに置いたほうが動きやすいだろうという理由でした。
このように、SONYはゲーム事業を、よりネットワーク事業と近接させてこれまで以上に投資し、成長させていく意図を持っています。
PS4は、世界で売上4000万台を突破しているモンスターマシンであり、他のハイエンド機としては最大の存在感を誇っています。ソニーの新しい経営方針から言って要になることは間違い有りません。
そこから考えて、PSNEOとPSVRはどのような位置づけになるのでしょうか。PSNEOは、主に30〜40代のヘビーなゲーマーのニーズに応えるものになっていくでしょう。ソニーは去年より「できないことが、できるって最高だ」というキャッチフレーズのもと、かつてコンシューマゲームに首っぴきだった30〜40代をもう一度ユーザーに戻すためのキャンペーンを行っています。
PSVRは、まだ未知数が多いハードですが、PS4を補完していく存在になるのではないでしょうか。盛田氏はインタビューにて、
PlayStation VRが代表的なんですが,決してコアゲーマーだけに向けたものではなく,もっと広い可能性のある製品です。PlayStationでより多くの人々にゲームを楽しんでほしいとは思っていますし,幅広いエンタテインメントが全てPlayStation上で楽しめるような状況を目指したいと,個人的には思っています。
とPSVRについてコメントしています。PSVRについては、「価格が高い」、「コアなゲーマーしか買わない」など、普及を疑問視する意見や調査も寄せられています。しかしこのインタビューではPSVRの対象を単にコアゲーマーに限定しない、と明言しています。ネットワークとゲームを投資領域にする、という新しい経営方針に照らしても、ソニーが意図しているのは現在とは全く異なったものである気がしてなりません。
Facebookとソニーのビジョン
因みに、ソニーの競合であるFacebook社の社長マークザッカバーグは、Oclus Riftを軸としたVR戦略の展開について、常日頃から「未来のソーシャルプラットフォーム」と呼んでいます。ゲームや映画などのコンテンツを享受するための場に終わるのではなく、人々がそこに集って交流し、心を通わせるための場所。ある意味では生の現実よりも人々が温かい交流を果たせる場所として、FacebookはVR空間を捉えています。ソニーがVRについて、あくまで「ゲーム&ネットワークビジネスの、一つの投資領域」として捉えていることが対照的ではないでしょうか。
元来「VR」=「Virtual Reality」というワードには、「真の、もう一つの 真実」という訳語が当てはまります。日本では「仮想現実」という言葉が訳語として当てはまりますが、これは本来誤訳であると言われています。つまり、英語圏におけるVRとは、「現実とそっくりのもう一つの現実」あるいは「現実よりも現実らしい真の現実」を指すのです。これはザッカバーグ氏の指し示すVRのビジョンに、丁度符号するのではないでしょうか。Facebook社の追求するVRは、ソニーの追求するものとは異質なものになっています。
PSVRを考える際に、つい表面的なスペックの違いや価格について目線が向かいがちですが、こうした企業によってのスタンスの違いにも是非注目してみて下さい。
ラクジョブでは今後も、ソニーの経営方針や動向についてお知らせしていきます。ラクジョブ新聞が未来のゲーム業界を考える材料になり、皆さんのゲーム開発の参考になれれば幸いです。
PSVRが今後どのようなハードになっていくのか、まだ誰にもわかりませんが、新しいゲームのプラットフォームとして、PS4並の存在感になって行く可能性もあります。ソニーの視点に立って、次にどんな波がやってくるのかを考えれば、新しいゲームのアイデアを思いつくことができるかもしれません。