画像は公式サイトより
2016年7月12日、東京証券取引所における任天堂の株価が高騰しました。これは北米、オーストラリア、ニュージランドなどの英語圏の国で配信が開始した「ポケモンGO」の影響であることは言わずもがなです。ポケモンGo!はアナリティクス企業のSensor Towerのデータによれば、App Storeのゲーム部門で4.5時間も首位を守り、アメリカ市場ですでにトータル5位の人気を誇るアプリとなっています。ローンチ1日間だけで、Clash of ClansやCandy Crushよりも上位となりました。ちなみに、任天堂のスマホアプリで大人気!注目!とされていたMiitomoは最高で総合73位。桁違いの人気っぷりです。人気すぎて街をうろつく人が急増したり、怪我人が出てしまったりというニュースがネットを中心に広まっており、近年稀に見るゲームによる社会現象をさっそく巻き起こしているそうで、日本でのリリースにも期待が高まっています。
参考:Pokémon Goで任天堂の株価は90億ドルアップ―さらに今週にも日本を含めて世界公開へ
順調も順調、ドラクエ3以上の社会現象を巻き起こしているポケモンGoですが、東洋経済オンラインは13日、ポケモンGOにおける個人情報の保護状況が不透明であるという記事を公開しました。
(引用開始)
[ワシントン 12日 ロイター] – 爆発的人気を博している任天堂のスマートフォンゲーム「ポケモンGO」について、米民主党の上院議員は12日、ユーザーの個人情報の保護状況について説明するよう、ゲームを開発したナイアンティックに要求した。
社会現象にもなっている同ゲームをめぐっては、広範囲なユーザーデータを不必要に収集しているとの懸念が浮上している。
アル・フランケン上院議員(米ミネソタ州)は、ナイアンティックのジョン・ハンケ最高経営責任者(CEO)に書簡を送り、「ポケモンGO」が収集しているユーザーデータの種類や、収集したデータの利用方法、データを共有するサードパーティーを明らかにするよう求めた。
フランケン議員は書簡で「ナイアンティックがユーザーの適切な合意なしに、ユーザーの幅広い個人情報を不必要に収集、利用、共有していることを懸念している」とし、「ユーザーのプライバシーやセキュリティーの問題にどう取り組んでいるのか説明を求めたい」としている。
ナイアンティックは昨年、グーグルから独立。任天堂が3分の1を保有する「ポケモン」とともに、「ポケモンGO」の開発を手掛けた。
(引用終わり)
情報の出所はロイター通信です。ゲーム運営会社がどの範囲までユーザー情報を利用するのかということについては、PlayStation Network(以下PSN)がアカウント名「ジハード」を使用したユーザーを凍結した一連の出来事をまとめた記事についても取り上げました。PSNに関しては、ほぼ全てのデータを利用しようと思えば利用できる状態なのではないかと推測しています。利用規約を読むとそのように捉えることも可能なのです。詳しくは下記記事を参照ください。
そういう前提がまずゲームユーザーの認識にあるとした上で、今後新しく運用する際は、利用規約等にその旨をしっかりと明記する必要があります。また、CNNによると、ポケモンGOが以上に高い権限を取得してユーザーの個人情報にアクセスできてしまう不具合が見つかったというニュースを報じています。
(引用開始)
ニューヨーク(CNNMoney) とてつもない人気ぶりで話題のスマートフォンゲーム「ポケモンGO」が、異常に高い権限を取得してユーザーの個人情報にアクセスできてしまう不具合が見つかり、メーカーが11日、急きょ対応を表明した。
問題は、アップルのスマートフォン「iPhone」で同ゲームへのログインにグーグルのアカウントを使用した場合、アカウントに「フルアクセス」できる権限を取得してしまうことに起因する。ここまでのアクセス権を要求するアプリは異例。
(中略)
この問題は、サイバーセキュリティー企業レッドオウルの専門家が11日のブログで指摘。「恐らく単なるケアレスミス」としたうえで、「本当にプレイしてみたいしすごく面白そうだけれど、危険を冒すほどの価値はない」とした。
ポケモンのブランドを保有する任天堂の米国法人は、この問題についてコメントを避けている。
ポケモンGOは米国などで7日に公開されて以来、ダウンロード件数が500万回を突破した。
(引用終わり)
引用元:ポケモンGOで不具合、個人情報へのフルアクセス可能に
13日10時現在、こうしたプライバシーの問題に関しての情報から目立った株価の下落は見られておりませんが、スタート1日で大成功と思われた矢先、非常に重要な問題をおろそかにしてしまったせいで失敗してしまっては意味がありません。日本のスマートフォンアプリゲームを運営している企業にとっても、今回の報道は無関係ではありません。どの程度まで知ることができるのかを明記しなければ、ゲーム自体の価値を下げることになります。
運営会社のセキュリティ意識
ゲームと情報漏洩で思い出されるのは、2011年4月に発生したPSNの情報流出事件です。2011年4月21日、PSNは大規模なアクセスエラーが生じてサインインできない状況になり、それを受けてソニーは23日、外部の要因とされると発表を行いましたが、実際には17日から19日にかけて不正アクセスによる情報漏洩の可能性があったためサービスを一時停止したと発表がありました。約7700万人分の個人情報とクレジットカード番号が流出した可能性があるとソニーが公表したのは27日。翌日28日の日本経済新聞電子版には、ソニー株が4%下落したと報道がされています。
原因については脆弱性を突かれたことをソニー側が公表していますが、今回のポケモンGOのフルアクセス、そして個人情報に関する保護意識に関して危機意識が薄いと言わざるを得ません。ゲーム業界とインターネットが切っても切り離せない時代ですから、大企業の運営するビッグタイトルであろうが、中小企業の運営するスマートフォンゲームであろうが、この業界の発展には強いセキュリティに対する危機意識が望まれます。
記事を読んでいただきありがとうございました!