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2016.05.06 アニメゲームマンガ 初音ミクと歌舞伎がコラボ クールジャパンを推し進めるなら、アニメゲームマンガは日本の文化ともっと融合すべき

スクリーンショット 2016-05-06 10.20.22「ニコニコ超会議」にて公演

この記事では2016年4月29日、30日に開催されたニコニコ動画最大のイベント「ニコニコ超会議」にて、歌舞伎役者の中村獅童さんと、ボーカロイドである初音ミクが、人形浄瑠璃、歌舞伎の演目のひとつ「義経千本桜」で共演したというニュースを取り上げたものです。参考元のiNSIDEさんの記事をご覧になれば、どのような様子で歌舞伎が行われたのかが良くわかりますので、ぜひご覧になってみてください。「ボーカロイド?興味ないよ!」という方も、今後、日本の文化としてアニメゲームマンガを世界に広めていく際の参考になるかもしれない取り組みですから、日本の伝統芸能とサブカルチャーコンテンツの融合という側面から、このニュースをご自身で考えてみてください。テレビ朝日系列の音楽番組「ミュージックステーション」登場時や、「ニコニコ超会議」での任天堂の人気ソフト「スプラトゥーン」のキャラクターによる擬似音楽ライブ「シオカラーズライブ」などと同様、半透明のスクリーンに初音ミクの3Dモデリングを投影するという手法を使って、歌舞伎役者との臨場感あふれる舞台となりました。

【レポート】初音ミク主演の歌舞伎「今昔饗宴千本桜」が凄い!伝統と最新技術が交差し、誰も見た事のない一大舞台へ
https://www.inside-games.jp/article/2016/05/05/98370.html

2016-05-06 11.20.00初音ミクと「生」の芸術とのコラボレーション

(画像は公式サイトより)

初音ミクは「VOCALOID(ボーカロイド)」と呼ばれるヤマハの合成エンジンソフトウェアを利用した音楽ソフトとして、音楽ソフトウェア開発会社クリプトン・フューチャー・ミュージックより2007年に発売されました。ボーカロイドはバックコーラスを前提に作られ始めたソフトでしたが、実験的な音楽手法を取り入れたクリエイターたちによって、早い段階でメインボーカルとして導入する動きがありました。初音ミクはそんな動きの中、「VOCALOID2」というエンジンを利用し開発され、キャラクター性を前面に押し出した形で発売。日本ではニコニコ動画を中心に人気を博し、現在ではネットにおける音楽コンテンツシーンにおいて、その存在を無視することはできないほどにまで成長したコンテンツです。2008年以降はキャラクターや楽曲のイメージを元に小説やマンガ、アニメなど様々なメディアミックスを展開しました。2010年以降は海外でも人気が出ているようで、iTunes Storeなどのボーカロイド関連楽曲の売り上げが上昇しています。2009年に発売された「初音ミク -Project DIVA-」による3Dモーション演出や、有志によって開発された「Miku Miku Dance」という3Dモデルを動かすフリーウェアの普及と、それを利用して制作された作品も人気が出ており、当初から押し出していた「アイドル性」を確固たるものにしました。

image-14-330x2263Dモデリングによってバーチャルな肉体を持った初音ミクは、2009年ドワンゴと文化放送が主催したアニソンライブ「Animelo Summer Live 2009」でアーティストとして登場し、以降様々なライブイベントが開かれます。近年、他の芸術分野とのコラボレーションで注目を浴びたのは、作曲家、シンセサイザー奏者としてしられる冨田勲さんとの共演でしょう。富田さんが宮沢賢治の世界観をベースに作曲した交響曲「イーハトーヴ交響曲」は管弦楽と合唱に加え、初音ミクの演奏パートがあるという実験的な作品でした。通常初音ミクはシーケンサーなどの自動演奏機能のあるコンピューターによって演奏されるため、テンポや音の強弱が既存のポップスなどよりも激しい管弦楽による演奏とのコラボレーションは難しいのですが、キーボーディストの篠田元一さんによる演奏とエンジニアのことぶき光さんの技術によって、見事にシンクロさせることに成功させ、初音ミクと芸術のコラボレーションの可能性を予期させる内容となりました。

イーハトーヴ物語

gahag-0060094900-1日本固有の”クール”とアニメゲームマンガを関連づける重要性

「生とデジタルの融合」というのは、ひとつの芸術作品に対して新しい可能性を広げるひとつの手法ですが、すでに使い古されている印象もあるのではないでしょうか。プロジェクションマッピングなどによるダンスパフォーマンスなどは、国内外様々なアーティストがすでに行っています。初音ミクはデジタルで制御されているものですから、当然コンピューターで作成可能なポップスやダンスミュージック、あるいはテンポが単調なロックなどの音楽ジャンルやコンテンツとの親和性が高いです。しかし、クールジャパンという政策を打ち出している今、日本固有の文化との融合をもっと行っていくことは重要でしょう。アニメゲームマンガであれば世界観構築の段階で日本らしさを取り入れることができませんが、初音ミクやその他のボーカロイドシリーズなど、そのシステムを利用してこそ価値のあるコンテンツはそうはいきません。デジタル前提で制作されたものですから、アナログだらけの日本の文化、芸能をシステムを利用しながら取り入れるのは至難の技。ですが、だからこそ価値があります。

gahag-0076559085-1おそらく日本の伝統芸能はデジタル化が最も難しいものではないかと思います。歌舞伎、能や狂言など型にはまった芸能は機械での再現は簡単、と思われるかもしれませんが、日本文化特有の「空間におけるコミュニケーション」が演者の間で行われ、月並みな表現で言えば「息を合わせる」ことが作品の完成度に非常に影響する日本古来の文化を機械で表現するのは難しいと思います。おそらく歌舞伎、能や狂言、落語などといった文化は、その文化に対する眼差しを絶えず向け、その技術を絶え間なく伝承する人材さえいれば、人工知能が世界を席巻したとしても、「人間がやることこそに意味が有る」ものの代表として生き残るでしょう。こうしたものをアニメゲームマンガや、初音ミクなどといったデジタルコンテンツとともに世界へ伝えていくことが、本来のクールジャパンの使命ではないでしょうか。いたずらにアニメゲームマンガ文化を広めるだけでなく、日本文化と調和したハイクオリティな芸術がどんどん生まれる、そんな環境が業界にできれば良いなと思いながら、業界発展のために今日も頑張ります!

記事を読んでいただきありがとうございました!

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