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2016.05.24 ゲーム ドット絵と想像力 プレイヤーに想像の余地を与えるゲームは作られ続けるべきだ

Hyper Light Drifter

AUTOMOTIONに2Dピクセルゲーム『Hyper Light Drifter』というゲームのレビューが掲載されていました。クラウドファンディングサイト「Kickstarter」を通して64万ドル超の資金の調達に成功した本作は、敢えて時代を逆行するゲームデザインで注目を集めています。steamで1980円という比較的安価な費用で購入できますので、興味のある方は是非プレイしてみてください。難しいですが面白いのです。AUTOMOTIONのこちらの記事、実際にプレイした人にも、未プレイの人にも是非読んでもらいたいほど引き込まれる文章です。新人山崎もいつかこれくらいの文章を書けるようになりたいものです。

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https://jp.automaton.am/articles/impressionjp/hyper-light-drifter-review/

(引用開始)
『Hyper Light Drifter』はハイファイ世代のピクセルアートが想像力の翼をもたらす2DアクションRPGだ。宮崎駿フィルムを想起する雰囲気の世界を、『Diablo』のハイテンポ戦闘でかけぬけ、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』のように探索する、16bit機世代が夢見たゲームである。それらキーワードに反応するプレイヤー層を想定し、最初から難度が高いので、ゼルダオマージュに飽いたゲーマーも満足できよう。コンプ要素もクリア時間以上を要し、満腹になるまで堪能できる。
(引用終わり)

ゼルダファンの私からもかなりオススメできる名作です。現代の技術を使うとドット絵ってこんなに綺麗になるのか、こんな風に映るのかというビジュアル面での驚きと、かなりやりごたえのあるゲーム内容で私はまだ全部クリアできておりません。記事にも描いてありますが、想像力を掻き立てるような仕組みがこのゲームには随所に散りばめられています。なるほど!私はかねてより現代のゲームに対して違和感を持っていました。何かが足りないです。その正体が何か分かりました。同じことを2回も言ってしまいますが、現代のゲームには「遊び手に想像力を働かせる余地」が無いのです。


New dayゲームの映像が美麗になるに連れて

プレイステーション4で発売されるソフトも多くなってきましたが、グラフィックには眼を見張るものがあります。それこそスターウォーズバトルフロントやファイナルファンタジー15などは映画を見ているかのような実写感と臨場感があり、見る人の心を奪います。ファイナルファンタジー15に至っては映画まで作られるというじゃありませんか。その映像も私が今まで見たフル3D映像の中でも最高峰と言って過言ではないでしょう。新人社員の経験にどんなの説得力があるというのかと言われてしまうと何もいえませんが、少なくともあれを見て「日本のゲームの質も落ちたな」と思う人はいませんでしょうし、これからの3DCGデザインの可能性に期待せざるをえないものになっています。

さて、冒頭で私が最近のゲームには何かが足りないということを書かせていただきました。「遊び手に想像力を働かせる余地」です。「ほう、だからどうしたというのだ?FF15の映像を見ても十分想像力を掻き立てられるだろう!この登場人物はどんな役回りなのかとか、キャラクターの人間関係とか……」というご意見もわかるのですが、私が言いたい想像力というのはキャラクターの設定や登場メカがストーリー上どのような場所で使えるかなどの細かい部分ではありません。確かにそういった想像力を働かせるのは大事ですが、もっと言うのであれば、「視覚情報で読み取った世界観を再構築させる想像力」です。

ドット絵が苦しんだとき、頭のなかでうめき声が聞こえるか

現在ハイエンドゲームを作っている人たちがこの文章を見たら起こってしまうかも知れませんし、私自身がレトロゲーム好きでレトロゲーム贔屓なところがあるというところは認めなければなりません。しかし、敢えて言わせていただくならば、ハイエンドゲームは映画を見ているのと変わらない感覚がしてくるのに対して、ドット絵でできている映画はまるで小説を読んでいるかのようにストーリーを楽しむことができるのです。

FF15のノクティスが苦難の表情を浮かべたとしたら、脳にはその情報でインプットされ、それで完結します。しかもみんなが同じように「ノクティスが苦しんでいる」と認識できるのです。しかしFF5の主人公であるレナやファリスが、自分の父の死を受け入れるシーンや、「無」に自分の故郷が飲み込まれていく時のバッツの「やめろーー!」という悲痛な叫びなど、ゲームの演出上これらはドット絵でしかありません。

しかし、これらをもっと臨場感を持って楽しむ方法があります。それは再構成です。FF15の美麗なグラフィックになったらどうなるだろう?と想像してみるのがやりやすいと思います。FF5を知らない場合は、自分が知っているレトロゲームなどでやってみるといいかもしれません。どんなふうにバッツはやめろーー!と叫んだのか。嗚咽混じりか、はたまた怒りを全面に押し出した懇親の叫びなのかということは、想像した人によって異なります。これがレトロゲームの魅力の一つであるように思います。こうした想像する楽しみ方というのが、ハイエンドゲームでは全くと言っていいほど無いに等しいのです。

shutterstock_114318994-330x259再構成の魅力

すべてのジャンルをドット絵にしよう!と言っているのではありません。FPSや格闘アクションなど3DCGだからこそ実現可能なゲームが有っていいと思います。でなかったらゲーム業界は盛り上がらないでしょうし、モニターの中にもう一つのリアルを創造するという大きな目標がなければ技術も向上しませんでした。

それに、FF15のような美麗なグラフィックを使っていてもキャラクターがこの時どのような心だったのかということだって想像しようと思えばできます。そもそもゲームプレイ中に想像力を働かしてまるで映像作品を見ているかのような心地でゲームをプレイしているかと言われれば、よほど余裕が無いとできないことですし、それはゲームが提供するエンターテイメント性の範囲外なのではないかと言われてしまえば「確かに」となってしまいます。

Fotolia_51141558_Subscription_Monthly_M想像力がなくなる!と言われるゲームですが、レトロゲーム、ドットで描かれた世界観を持った作品は、まだ想像力を掻き立てる仕組みがあります。川端康成の雪国の冒頭、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。 」という一文を読んで想像する情景がそれぞれ違います。小説や文学は想像の余地だらけで、読み手が読みたいように読んで良いのです。レトロゲームもそれと同じような魅力があると思います。8bit、16bitのノスタルジックな空気に触れることも魅力のひとつですし、でなかったら「シュガー・ラッシュ」などの映像作品は作られなかったわけですから、それも十分に魅力の一つとしてカウントされるべきです。しかし、8bit、16bit的風の作品を見た時、ちょっと想像してみてもらいたいのです。ちゃっちい演出と決めつけず、己の想像力というハイスペックなゲームエンジンを使って、より臨場感あるイメージを持ちながらゲームをプレイしてみてください。レトロゲームやこうした作品のみかたが変わると思います。そして、こうしたゲームは時代と主に忘れていってしまうかもしれませんが、今回のHyper Light Drifterのように、その素晴らしさを度々教えてくれるような、想像力の書き垂れられるゲームがこれからもリリースされ続けるようなことになってくれれば良いなと思うのです。視覚情報をそのまま何も咀嚼せず受け取ることは、危険なことでもありますから、想像力を養う上でも必要な存在なのではないでしょうか。

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