多くの人がアニメゲームマンガの悪影響についての間違った認識を持っています。アニメは子供に悪い影響を与えるか?ゲーム脳はあるのか無いのか?マンガばかり読んでいるとバカになるのか?というのは最早古すぎる議論だ、という事について書きます。
ゲーム脳という古い本があります。2002年に出た本で簡単に言うとゲームばかりしてるとバカになる!という本です。これに対するゲーム業界のみならず、ゲーム好き達の反応はすさまじいもので、とにかくぶったたき、批判、反論が大量に上がりました。研究結果を丹念に調べ上げてあれがおかしい、これがおかしい、としっかり反論していった人もいますし、ふざけるな!ゲームは楽しい!俺の大好きなゲームを批判するな!!という感情論もありました。いずれにせよ、センセーショナルな本で、今でも29刷られておりベストセラーになっています。
ゲーム脳は偽科学、エセだ!あんなのは嘘!と色んな人が書いています。
しかし、あれは論点がずれてるのでは??と思います。私もゲーム脳を読みましたが、確かにおかしな部分が多い。
ゲームばかりしてると良くない
根拠は私の研究、脳波の計測もした
が著者の意見で、多くの人はその研究を批判したりしています。2014年にこんなニュースを見つけました。未だにゲーム脳はゲーム好きにトラウマを与えているわけです。
ただ、ゲーム脳の研究内容も、ゲーム脳を批判する多くの人も、古い考えすぎると私は想います。ゲーム脳が書かれたのは2002年。あの本の根拠になっている調査は2000〜2001年年頃に行われたと思います。その頃と脳神経学、脳科学、心理学、認知学が一切進化してないわけがありません。むしろこの15年で脳科学、認知学、心理学はとてつもない進化を遂げています。そもそも、ゲーム脳に使われている研究方法は脳波を調べるものですが、あの方法自体が既に20世紀、1980〜1990年代に盛んだった研究で既に2000年の頃には時代遅れです。
時代遅れの研究方法で導き出された結論『ゲームは良くない』は当然間違っているとして、その時代遅れの研究方法を時代遅れの知識のまま批判して『だからゲーム脳は間違っていた』と安心しても本当の意味で『ゲームを救った』と言えるのでしょうか。
私はゲームだけではなくアニメゲームマンガが大好きです。アニメゲームマンガを買うために中学の頃から新聞配達をしてお小遣いを稼ぎ、高校卒業までに買いそろえたLD(DVDではない)は200枚。全部自分のお金で買いました。さらにはアニメゲームマンガのために働こうと思い、アニメゲームマンガに一生囲まれて生きて行くためにこの会社を立ち上げ、アニメゲームマンガを応援するためにラクジョブを作ったようなものです。その私が、ゲーム脳とは何か?本当にゲーム脳は間違っているのか?ゲームは人にどんな影響を及ぼすのだろうか?と言う点について書きたいと思います。
まず、20世紀以前と違い、21世紀の今は科学や医学の常識が変わってることを知ってください。大前提として『人に影響を与えない娯楽などない。全ての娯楽は依存症などの悪影響を与える可能性がある』という事実を皆さんは飲み込んでください。
ゲームだけではなく、アニメマンガも同じ、更にいえばスポーツ観戦も、映画鑑賞も、読書も、およそ人が『楽しい』と思うものは全て『人に悪い影響を与える可能性を持っている』という事を知って欲しいのです。つまりゲームだけが悪者なのではなく、全て悪者になる可能性を秘めていると言う事です。
これは日本では余り研究が進んでいないことですが、心理学、認知学、脳科学が進んでるアメリカでは『物質を伴わない依存』という事が問題になっています。どういう事かというと物質を伴う依存というのは
・アルコール依存
・ドラッグ依存
・ニコチン中毒
などです。最近では砂糖、糖分(お米やパン類含む)にも依存性があると言うことがわかってきました。これに対して物質を伴わない依存というのは行動が依存に繋がると言う事で
・買い物依存症
・ギャンブル依存症 – パチンコ依存症
・借金依存症
・宗教依存症(カルト依存症)
・性依存症(セックス依存症、セックス中毒)
・ネット中毒、パソコン依存症、インターネット依存症、携帯電話依存症、メール依存症、ゲーム依存症、オンラインゲーム依存症、テレビ中毒、仕事中毒
等が上げられています。アルコール依存などはわかりやすく、お酒の飲み過ぎによる弊害です。ニコチン中毒もタバコの吸いすぎです。これらは非常にわかりやすく社会に認知されています。そもそもお酒なんて数千年前からありますし、タバコも日本に入ってきたのは400年以上前です。その楽しみ方、そして危険性は歴史と共に文化と社会に定着しています。
それとは別に買い物依存、ネット中毒、パチンコ依存症、ギャンブル依存症などは歴史が浅い。人々が依存症になるくらいまで買い物にはまれるようになったのはここ数十年ですし、ネットなんてここ20年、パチンコだって50年歴史があるかどうか・・・酒、タバコ、ドラッグなど物質を介する依存、病気、悪影響に比べて物質を介さない依存、病気、悪影響は研究の歴史も浅いのです。
パチンコ依存症などは病気ではなく、本人の意志の問題だと思われている節があります。しかし、パチンコ依存症は病気として認知されつつあり、医師も真剣に診断するようになっています。パチンコはネットやゲームよりも歴史が深く、1970年代の頃から病気ではないのか?ということで研究が進んでいます。そのパチンコですら本人の問題であり、だらしない、意志の問題だ、と言う風に突き放す人が多いでしょう。
物質を介さない依存状態、病気がそのような間違った認識でいるウチに研究はドンドン進んでいます。裏を返すと社会全体が『悪影響がどのように及ぼされるか』認識されないうちにどんどんその方法を研究し、マーケティングに役立ててしまえ!という企業が沢山います。それは現在の法律では違法でもなく、合法です。
iPhoneなどのアップル新製品が生まれるたびにアップル信者と言われるような熱狂的なファンがその製品を買います。アップルの商品は確かに優れています。優れている大前提があるとしても、ちょっと異常なくらいののめり込みようです。それはアップルにとっては『計算通りのマーケティングの結果』なのだとしたら?自社の商品に依存させるようにマーケティング、商品、販売全てが計算されているとしたらどうでしょうか。
他にも、アルコールやタバコよりは病的なものとして認識されてないお菓子。スターバックスのフラペチーノを初め、糖分タップリのスイーツ達。こうしたお菓子を作ってる食品メーカーは徹底的に『どうすれば自社の商品を食べたくて食べたくてしかたない中毒者にするか』ということを徹底的に研究しているとしたら?
スーパーだってそうです。買い物に来たお客がどうすれば『自分が買いたい、と錯覚させて徹底的に買い物をさせるようにしよう』と研究していたら?別にアップルも、スターバックスも、食品メーカーも、スーパーも、違法な麻薬を使ってるわけではありません。行動、嗜好を研究し尽くして『どうすれば合法的に依存させられるか?』を考えているのです。
2015年12月現時点において、脳波を調べたりして悪影響がでるかどうか、なんてもう古い。未だに『暴力的な映像を見たら性格が凶暴になるか。悪影響があるか』という研究がされていますが、あれも古すぎる。暴力的な映像だろうが、やさしい映像だろうが、一定パターンの法則を持たせれば本人の思考に介在出来る、そこに依存物質は必要ない。最先端のマーケティングはそこまで進んでいます。
例えば2億回以上ダウンロードされているアングリーバードというゲームにもその技術は入っています。日本ではそこまで有名になっていませんが、アングリーバード中毒という事で色んなサイトもあります。
もはや、アニメは子供に悪い影響を与えるか?ゲーム脳はあるのか無いのか?マンガばかり読んでいるとバカになるのか?という議論は20世紀に終わっている古い議論です。21世紀のビジネスの最先端は
何でも人を依存させることが出来る
何でも人を自社の信者にする事が出来る
と言う前提で動いています。ゲーム脳を批判してそこで終わってしまうと、ゲームの危険性にすら気づきませんし、マーケティング的にも遅れてしまうので日本のアニメゲームマンガを世界に広めて行く事も出来ません。例えばアングリーバード依存/ゲーム依存――脳を操り、デザインの力で金を絞りとる製品設計という出版社のダイヤモンドさんのサイトにも紹介されています。
iPhoneゲームの開発者に求められる最優先の仕事は、脳の報酬回路の利用法を学ぶことだ、と示唆したとしても、陰謀説には当たらない。開発者たちは、それが事実であるとオープンに認めているからだ。2010年にロンドンで開かれた「バーチャル・グッズ・サミット」では、アングリーバードを生みだしたロヴィオ社の主任技術開発者ピーター・ヴェスターバッカが、同ゲームを病みつきなものにする方法について説明した。
「ぼくらは、単純な“A/Bテスト”手法を使って、人々が繰り返し戻ってくる対象を突きとめています。もう、推測する必要などありません。ユーザー数がこれほど膨大になったので、ただアルゴリズムに数値を計算させるだけでよくなったんです」
中略
プレイヤーの脳をもてあそぶ「レシピ」とその開発競争・・・
アングリーバード依存/ゲーム依存――脳を操り、デザインの力で金を絞りとる製品設計
https://diamond.jp/articles/-/60261
お酒を作っている酒蔵の主人や職人達は尊敬されています。そして、お酒を作っている人達は充分『自分の作っているお酒は飲み過ぎると身体に悪い影響が出る』と理解して作っています。それでも自分の仕事に誇りを持っています。
アニメゲームマンガのクリエイター達も自分の作品ばかり見ているとこんな悪影響がある、という事を理解した方が、正しく世の中に広めていく方法も見えるようになり、経営者であれば売上アップに繋げられるでしょうし、クリエイターであれば自分の作品をヒットさせることにも繋がります。
お酒を作る職人さん達が尊敬されているように、アニメゲームマンガのクリエイター達が尊敬されるような世界になったら素敵だな、と思って今日もラクジョブを運営したいと思います。
参考になる本としては一杯ありますがビジネス的にわかりやすく書いてるのは下記だと思います。一番良いのは自分でこの分野の本を医学書含めて50〜100冊くらい読んで自分なりに考えて見ることだと思います。この文章内では敢えて難しい論文やデータの紹介を避けました。これ以上知りたい方は自ら調べることをオススメします。
依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実
もはや病気ではない。最強最悪のビジネスモデルである。iPhone、フラペチーノ、危険ドラッグ、お酒、フェイスブック、アングリーバード、オンラインポルノ…私たちは、なぜこうも簡単に「病みつき」になるのか?元アルコール依存症のライターが、人間の意志の弱さにつけ込むテクノロジーとビジネスの共犯関係に迫る!
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ビ・ハイア株式会社 代表取締役社長 清水有高
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