日本のオンラインゲーム市場は、2014年時点で7886億円にも及び、国内のゲーム全体の市場規模(1兆1925億円)からみても6割以上を占めているという調査結果が出ています(ファミ通ゲーム白書2015)。その要因としては屋外での通信の充実やスマホやタブレット端末などのデバイスの多様化も急激な市場拡大の要因ではないでしょうか。しかし、その一方で、オンラインゲームの市場は、レッドオーシャンかが進み、新規タイトルでの成功は非常に難しいという状況になっています。そのため、ゲーム会社は新たな市場として海外展開をしている企業や海外展開を模索する企業が多数あります。
そのように海外の動向について注目している企業が多い中、株式会社サイバーエージェントでは、株式会社シード・プランニングデジタルインファクトという会社と共同で、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアのヨーロッパ主要4か国のモバイルゲームの市場動向調査を行ったことをプレスリリースで発表しました(プレスリリースより)。
ヨーロッパ主要4カ国(イギリス、ドイツ、フランス、イタリア)のモバイルゲーム市場調査を実施
~2020年にはイギリスと共にドイツが市場をけん引し、 2015年の1.8倍である6,000億円超の市場規模へ~
https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/press/detail/id=12026
引用始め
欧州市場はコンシューマーゲームやPCオンラインゲームなど、本格的なゲームに対する根強い需要があり、比較的カジュアルなゲームタイトルが占めるモバイルゲームとの棲み分けが比較的明確な状況にあります。
タブレット端末によるモバイルゲーム利用の普及を背景に、今後はライトユーザー層によるカジュアルゲームなどの堅調な需要をベースとしながらも、新たにゲーム性の高いタイトルが従来のコンシューマーゲーム、PCオンラインゲームユーザーの需要を新たに取り込むことで、中長期的な市場成長が見込まれます。これにより、2020年の欧州主要4カ国のモバイルゲーム市場は、2015年の約1.8倍である6,129億円に達すると予測されます。
引用終わり
グラフからもわかるように2014年から15年の調査で、これらの4か国では一様に市場規模が拡大しています。そのことから2020年の市場規模を予想した場合、2014年との比較で約1.8倍から2.6倍の伸びを示すという結果になりました。
日本のゲームアプリの収益分布
なぜこのような調査が行われているかというのも、アメリカと比べ、日本のゲームアプリの進出が遅れているからです。アメリカのApp Annieと電通の調査によれば、日本の世界でのスマホゲームの収益分布は、国内がほとんどを占めており、その他は、全体収益の10%にも満たないところで、アメリカや中国、韓国、ヨーロッパでは、イギリスとフィンランドになります。それ以外は、全体の収益の0.5%にも満たないので、表示すらありません。一方のアメリカは、国内の収益が50%程度しかない一方より多くの地域に収益が分散しています。
主要4か国のモバイルゲームに対する特徴
ヨーロッパへの進出の難しいところはやはり国ごとに特徴が違うことにあるでしょう。それは、文化や言語だけでなく、ゲームに関しても歩んできた歴史が違うため傾向にも違いが見られます。イギリスは、スマホやクレジットカードの普及率が高いため、ヨーロッパでの、モバイルゲーム市場で大きな存在となっています。ゲームの傾向としては、パズルやストラテジーゲームでのアプリ内課金との相性が高いと言われています。フランスは、コンシューマーゲームの支持が高い一方、RPGの高い人気やキャラクター志向が強く、日本のゲームユーザーと共通点の多い国となります。最近では、アカツキからリリースされた「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」がフランスの売り上げランキング3位にランクインするなど、フランスでも人気な日本コンテンツでの展開は有効と考えられます。また、スマホやクレジットカードの普及率はイギリスに次いで高く、モバイルゲームに関しても男女問わず多くのユーザーがいます。特に女性層は、カジュアルゲームに支持が集まっている傾向があります。ドイツに関しては、新しいテクノロジーやサービスに対する消費行動が保守的と言われていますが、ヨーロッパ最大の人口と経済力があるため最も成長が見込める市場となっています。ゲームとしては、ストラテジーゲームが人気という傾向があります。イタリアは、この4カ国中最も市場規模が小さく、スマホとクレジットカードの普及の低さが原因となっています。一方で、モバイル利用者のゲーム利用時間が高く、課金率は、他の国と同様の水準とのことです。ゲームの傾向としては、世界的にヒットしているタイトルを中心にカジュアルゲームやストラテジー、スポーツゲームなどが人気とのことです(プレスリリースより)。
このように、ヨーロッパと言っても各国で課金に対する仕組みの水準やゲームの好みも大きく違います。もし自社で海外展開を考えているゲームの企画、または今あるゲームで海外展開を考えているのであれば、ヨーロッパに対しては、まず、相性のいい国から展開するといいでしょう。