5月7日の日本経済新聞に「ドラえもん「大人消費」狙う サンリオと藤子プロがタッグ」という記事が掲載されました。今回は、この記事の紹介と今後のキャラクターコンテンツに関して書かせていただきました。
ドラえもん「大人消費」狙う サンリオと藤子プロがタッグ
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO02013270W6A500C1TI5000/
引用始め
サンリオと藤子・F・不二雄プロ(藤子プロ、東京・新宿)は、国民的キャラクター「ドラえもん」の大人向け商品を共同開発する。8月から百貨店やサンリオ直営店で販売を始め、2年間で100億円の売上高を目指す。少子化の影響で子供向けが大半だったキャラクター市場の成長が見込みにくい。高価格が設定可能な大人向け市場の開拓に商機を見いだす。
引用終わり
サンリオは、ハローキティという人気キャラクターコンテンツを保有しているとともに、自社で、ハンカチやバッグなど300点ものアイテムを展開しています。そして今回、藤子・F・不二雄プロの国民的キャラクター「ドラえもん」を使用した商品の共同開発をすることを発表しました。使用に関しては、サンリオが権利元である藤子プロダクションにキャラクター使用料を払う形となっていますが、最も注目すべきは、そのターゲットになります。商品開発において、最も重要となってくるのがターゲットですが、その対象が大人ということです。ハローキティにしろ、ドラえもんにしろ、一見すると子供向けという印象を持ちますし、実際このようなキャラクターコンテンツを使った商品は、子供向けが大半でした。しかし、今後の少子化の影響も考えた上で、キャラクターコンテンツビジネスとしての市場縮小の懸念がより強いものとなってきました。そのため、あえてターゲットを大人にまで拡大するという試みに出たというわけです。
大人向け商品のメリット
大人向けの商品を開発するためには、一から商品開発をするとともに本当にその商品が売れるのかという確証もありません。いくらキャラクターコンテンツとして強いものがあったとしても、コンテンツを使う商品とそのデザイン性によっては全く売れないという可能性もあります。しかしその一方で、売れた場合の収益性は大きなものになります。対象が子供向けの場合、どうしても子供おもちゃの延長線上ということ、両親の援助なしになかなか購入に至りません。そのためこのようなキャラクター関連の商品は、低価格、安くて数百円、高くて数千円のものになります。しかし、大人向けであれば、もともとより購買能力があるため、商品の必要性に応じて相応の金額を出します。例えば、有名アパレルブランドにライセンス供与を行ったところ、関連商品である財布やかばんなどの商品が2万から4万円という高価格で展開されることになります。
ドラえもんというコンテンツの強さ
先ほどは大人向けの商品展開へのメリットに関して説明しましたが、今度は、ドラえもん自身のコンテンツの強さについて説明します。ドラえもん自身は、藤子・ F・不二雄によって制作され、1969年より小学館の学年別学習雑誌やコロコロコミックで連載されていました。そして、1973年よりテレビアニメシリーズが始まるのみならず、1980年からは劇場版が始まり、夏休み定番のファミリー向け映画となりました。得に、2014年に上映されたフル3Dの「STAND BY ME ドラえもん」は、興行収入が83.8億(https://www.eiren.org/toukei/img/eiren_kosyu/data_2014.pdf)、中国に至っては、100億円と突破するなどの異例のヒットとなり、根強い人気があることをうかがい知れます。また、コンテンツとして、長年にわたり積み上げてきたものがあるため、幅広い年齢層に受け入れやすくなっています。連載当初が小学生向けの雑誌を考えると、1969年当時6、7歳の方からが対象となり、今ではその年齢層は、40代半ばになります。つまり商品次第では、ここまでターゲットとなり得るわけです。
アニメコンテンツ市場に関して
アニメは1990年代までは子供向けアニメが多くありました。しかし、2000年以降、深夜枠でのアニメが急激に増加、またその時間帯に合わせたヤングアダルト向けのアニメが多く放送されるようになりました。そうなりだしてからもう既に、10年以上が経ち、アニメの視聴者層も大きく変わってきました。現在では、アニメを最も見ている層は、10代後半から20代と商品購買意欲の高い年齢層も含まれるようになってきました。その点も考慮すれば、ドラえもんのような長期的に人気のあるコンテンツだけでなく、短期的な人気でも20代を対象とした商品でもチャンスが狙えるということになります。そう考えれば、キャラクターコンテンツ市場はまだまだ伸び代があるのではないでしょうか。