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2015.12.11 アニメ 新卒 未経験 求人 採用されたとしても業界で働き始める前に知っておくべきこと

アニメ 新卒 未経験 求人 採用されたとしても業界で働き始める前に知っておくべきこと

「アニメを見て感動しました!私もアニメを仕事にしたいです!」
「アニメは人生です!誰よりもアニメが好きです!」
「アニメに全てを捧げます!アニメのためなら何でもできます!」

こんなことを面接の時に言っていませんか?
あるいは履歴書の自己PRに書いていませんか?
実はこれらはNGワードです。

実際、アニメ制作の実際の現場を舞台にアニメ業界、アニメの仕事を奮闘劇として描いた『SHIROBAKO』(https://shirobako-anime.com/)の放送時には、「アニメを仕事にしたい」という方が増えました。

ラクジョブでも、アニメ業界の未経験者募集の求人にも数多くの応募がありました。しかし、それに対して求人企業の採用担当者からはあまり良い反応ではありませんでした。

アニメが好き

まずお伝えしなければならないことは「アニメが好き」はアニメ業界で仕事をする上で当たり前のことです。厚生労働省「毎月勤労統計調査」の平成25年度の月間総実労働時間数168.5時間と比べ、アニメ業界は平均月労働時間262.7時間(日本アニメーター・演出協会「実態調査報告書 2015」)、全国平均値と比べて1月94.2時間も多く働きます。

のぼれるか!アニメ坂!

のぼれるか!アニメ坂!

ただ、この平均値はパートを除いて常用労働者全体で割った物です。

常用労働者とは、

① 期間を定めずに、又は1か月を超える期間を定めて雇われている者
② 日々又は1か月以内の期間を定めて雇われている者のうち、調査期間の前2か月間にそれぞれ18日以上雇われている者

とありますから、時給900円で1日6時間、1ヶ月働きました、と言う人も中に入ってしまうので全体平均を押し下げています。それを前提でこのデータはみて下さい。

その全体平均よりみてもアニメ業界よりも大変なところもあります。

タクシー運転者の労働時間等の改善基準
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040330-12.pdf

という厚生労働省の記事にはタクシー運転者の月間拘束時間を最低299時間までにしなさい、という指導がされています。せめて260〜270時間にしましょう、という記事もあります。

働き過ぎはアニメ業界人口の数百倍実はいる

働き過ぎはアニメ業界人口の数百倍実はいる

他にも調べてみると週60時間以上の労働(要するに月間240時間以上、場合によっては300時間近くも)ある人は日本人の中に490万人いることになります。アニメ業界の就業人口が1〜2万人と仮定したら、この中に多くの人が入るのでしょう。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/shiryoNo.3.pdf

この数字の中には30代の割合が非常に多く、要するに働き盛りでそれなりのポジションに着いてる人は労働時間だけで観るとアニメ業界以上に働いている場合もあります。

好きじゃなければ続きません

最低限好きじゃなければ続きません

ただし、労働時間だけではなく、給料でみてみるとどうでしょうか。2013年の全国平均給与414万円(「平成25年分民間給与実態養鶏調査 調査結果報告」)に比べ、アニメ業界の平均給与は332.8万円(日本アニメーター・演出協会「実態調査報告書 2015」)、年収にして81万円の差があります。

「アニメは好きじゃなければ続けられない」は、労働時間で考えると日本人の労働者のうちTOP10%以内に入るくらいの大変さを誇るので好きじゃないと続けられません。次に給与から考えても「アニメは好きじゃなければ続けられない」は働く時間が多い割に賃金が安い場合が多いので続けられません。

キルラキルなどの作品を手がけた会社です

キルラキルなどの作品を手がけた会社です

そして、「アニメが好き」なだけでもアニメの仕事は続けられません。株式会社トリガーの取締役、舛本氏の著書「アニメを仕事に!」によると、アニメ制作会社への就職における3年後業界滞在率は10~20%。つまり、10人の未経験者がアニメ業界で働き始めたとして、3年後業界に残っているのは、1人か2人ということです。しかも、先ほども述べたように、「アニメ業界で働き始める人はアニメが好きなことが大前提」。つまり、アニメが好きな人であっても、アニメ業界で働き続けられる人はその中の1、2名しかいないということです。

そして、今まで数多くの「アニメが好きな未経験者」を採用してきたアニメ会社の社長、採用担当は、そのことを身に染みて実感しています。だからこそ、アニメ会社に「アニメが好き」は要注意ワードなのです。それは例えば、「明るくて元気な人を求めています」と書かれていたから、「私は明るくて元気です!」と公言するようなものです。あるいはもっと極端に言うと「私は人間です!」と宣言しているようなものです。それが相手の立場になってみるといかに奇妙なことなのかは言うまでもないでしょう。

万が一、「アニメが好き」だけで就職あるいは他業界から転職の内定が出たとしたら、むしろ注意です。アニメ業界は、慢性的に人不足です。先ほども述べたように80~90%は3年続かない業界です。つまり、「続くかどうかわからないけどとにかく今手が足りないから雇ってみよう。辞めてしまってもしょうがない。続いてくれたらラッキー。」が業界の常識ということです。そうでなければ採用と離職のサイクルがこんなに速い説明がつきません。これで厳しいと思うようであればアニメ業界での仕事は諦めた方がいいです。あなたの人生にとっても貴重な時間を費やしてしまうことになりますし、それでは「業界の常識」も一向に変わりようがありません。

では、「アニメが好き」だけれど、アニメ業界で働くことを諦めなければならないのか。そうではありません。1917年(大正6年)1月、下川凹天が手がけた短篇アニメ映画『芋川椋三玄関番の巻』が国産アニメーション第1号と言われています。それから『鉄腕アトム』が生まれ、『機動戦士ガンダム』が生まれ、『新世紀エヴァンゲリオン』が生まれました。最初に挙げた『SHIROBAKO』もその一つです。今のアニメ業界の社長もアトムやガンダムがきっかけで業界に入った人も少なくありません。ただ、彼らがアニメ業界で働き続けることができたのは、体質がたまたま合っていたから、なんとか苦労に耐えられたから、たまたま師事できる人がいたからに過ぎません。今の業界自体が一握りの幸運と数多くの絶望の上に成り立っているのです。それっておかしくないですか?

本当に「アニメが好き」なのであれば、今後のアニメ業界のことも考え、アニメ業界を発展させるために自分の仕事があってもいいはずです。だからこそ、私たちも日本で唯一アニメ業界に注力した求人サイト「ラクジョブ」を運営しています。あなたもアニメ業界のことを本当に考えた働き方を選んでください。

では、アニメ業界のことを本当に考えた働き方とはなんでしょうか。それは「アニメ業界を発展させるのに必要不可欠な会社でアニメ業界を発展させるような仕事をすること」です。あなたはなぜその会社に応募しようとしたのですか?好きな作品を作っていたからでしたか?有名な会社だったからですか?未経験者を受け入れていたからですか?それともただ単に「アニメ会社」だったからですか?

先ほどアニメ会社はそんなに考えて人を採用していないという話をしましたが、逆に求職者もそんなに考えてアニメ会社を選んでいないことがほとんどです。その会社はどんな仕事をしていますか?企画ですか?出資ですか?動画ですか?仕上げですか?背景美術ですか?その会社はどんな職種を応募いていますか?制作進行ですか?アニメーターですか?3Dですか?撮影ですか?演出でうすか?その会社はどこにありますか?いつ設立ですか?どんな社長がいますか?どんなスタッフがいますか?どんな先輩がいますか?給与はいくらですか?休みは何日ありますか?週休2日ですか?徹夜はどれくらいありますか?
あなたはその会社でいつまで働き続けますか?

内定の前の最後の質問で社長があなたに質問するかもしれません。

「ウチは大変だけど本当に大丈夫?」

この質問の意味を真に理解して答えられる人はまずいません。社長もそんなことはわかっていても聞かずにはいられないのかもしれません。
そんなときはちゃんと自分で自分に質問して正直になって答えてください。そうすれば他の人よりも少しだけあなたの覚悟が伝わるかもしれません。その少しが積み重なってアニメ業界は良くなっていきます。
アニメが好きだからでなく、アニメをもっと良いものにするために仕事する人が一人でも増えるように、ラクジョブでもアニメ業界とアニメ業界で働く人とアニメを楽しむすべての人のためになる情報をこれからも発信していきます。


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