スロットの歴史 遊技機 CT機、AT機、ART機による急激な成長から現在の状況まで ラクジョブインタビュー2 株式会社アカギ 松岡社長

img_3279スロットは小さい出島からスタートしました

ビ・ハイア大下:遊技機と言いますと「パチンコ」と「パチスロ」一括りにされます。私が知っているのは『北斗の拳』(サミー)がどこのホールに行っても北斗のテーマが掛かっている、ホール専門だけでなくスロット専門も出来た、というのが2002年頃のイメージだと思います。そういうスロットの歴史や成長についてはお聞き出来ますでしょうか?

アカギ 松岡:私自身、パチンコ屋さんには小さい頃から入り浸っていましたが、当時は2、3号機が置いてあるスロット島に入っても、怖くて入れませんでした。

ビ・ハイア大下:お店の雰囲気が違うのですか?

アカギ松岡:はい。照明がスッと落とされているなどの違いはありました。当時の比率で言いますと今よりも本当に少なく、8:2もしくは9:1という比率でした。

ビ・ハイア大下:では、現在の様なスロット専門フロアは存在していなかったのですか?

アカギ松岡:そうです。郊外店ですと大きい敷地のワンフロアにパチンコ機は20島ほどあり、横の2島だけがスロットです。どの店舗も大抵はこの島構成です。だから同じお店の中なのですが、雰囲気が全く違います。パチンコ島はワイワイガヤガヤなのですが、スロット島は照明も落とされていて黙々と暗い中で打っていて凄く怖い雰囲気です(笑)

kleiner junge ganz gro一大ブームを築いたアルゼの登場

2、3号機は色々有り過ぎて私の口からは言えないので飛ばします。その後、4号機と呼ばれているスロットが段々と広がっていきました。基本はAタイプが主流です。一つは『ニューパルサー』(山佐)、リーチ目を追求したものです。この辺から一気に上がってきたのがアルゼです。(元々大きい会社でしたが)『ハナビ』(ユニバーサル)、『サンダーV』(メーシー)、『タコスロ』(ミズホ)、『レッツ』(メーシー)など色々ありますが、アルゼが出したら面白いと言われていました。一回のBIGに対して400枚弱、リプレイ外しが出来た時期でしたのでリプレイを外しながら枚数を重ねる、という手法などが行われていました。そこからCT機がヒットしました。CT機というのはJACが2回のBタイプです。その代わりにパチンコで言う時短機能が付いていました。リール制御を自分で止めたい所に止められますので高配当の役を狙うことで玉を増やしていき、その間にBIGボーナスが引ければBIG連チャン、という機種です。そうした中で4号機後半に映り、『ゲゲゲの鬼太郎』(サミー)でAT(アシストタイム)タイプが生まれました。普段は押し順を分からず取り零すものが、アシストしてくれる時間が出来、全部の小役を取れる機種です。そこから発展して生まれたのが、『獣王』(サミー)で爆発的にヒットしました。

かたや、AT機とは違う発展の仕方をしたのが、シフト持ち越し機能などを合わせた『バンダンダッシュ』(大都技研)です。その当時は新参メーカーの立ち位置です。元々はホールの周辺機器のメーカーでしたので機械に対してはメイン業務ではなかったと思います。爆裂機、大量獲得&ストック機、という所が出て来てバンバンのシフト持ち越しと一回のBIGで711枚取れる『シェイク』を合わせたのが『吉宗』(大都技研)です。『シェイク』がヒットしたからこそ『吉宗』は生まれました。そこでART機と大量獲得ストック機の2本柱がスロット業界に生まれ、一気にパチンコを超える勢いでワーッ!!と大盛り上がりしました。その前には『大花火』(アルゼ)、『大花火』は普通のAタイプ機の大量獲得機、その前身は『B−MAX』(アルゼ)です。一回のBIGでは最高で400枚弱だったのが、A500やA600と言われるタイプです。BIGの確率は抑えられていて当たると大きいけども中々当たりにくいタイプです。パチンコで言うなら一発台です。スロットは確率変動が基本はありませんので自分の引きで連チャンさせるしかありません。高設定を入れると割は140%とかでしたので、ホールさんはそれに合わせてイベントなどという形で来店ポイントとして設定6を出すこともしていました。

ビ・ハイア大下:そこまで設定出来たのですね。

アカギ松岡:何でもありでしたよ。BIG5回を一番早く当てた人に設定6をあげるとか・・・。朝一リーチ目が出ている台とか。ファッション業界とかで例えるとタイムセールです。先ほどまで2000円で売っていたものをタイムセール中に1500円、1000円などにする感覚です。現在は禁止されていますが。その後に来たのが、最初お話に出た『北斗の拳』です。大量獲得機のストック機でもなく、AT機の分類であるものの『獣王』や『アラジン』(ニイガタ電子精機)とは違う出方です。CタイプでJACは一回です。一回のボーナスでJACは8回しかなく、出玉は140枚ほどです。意外にも玉数は多くない『北斗の拳』。その理由とは?

ビ・ハイア大下:あまり多くない?

アカギ松岡:これには理由があります。『獣王』だとサバチャンに入るまでが凄くハードルが高い訳です。ボーナスとサバチャンはボーナス=サバチャンではありません。ボーナスで玉を維持しながらサバチャンに入れてサバチャンで連チャンさせる、というゲームです。『北斗の拳』はボーナスとATが合体しており一回の出玉を140枚と抑えることで連チャン性を常に持っています。当たりますと最低66%の連チャンゾーンに突入です。確変に近いかもしれません。最後のJACゲームの第三ボタンを離した瞬間に抽選されたと思います。離すタイミングを気にしながらスロット機を打つ光景は珍しかったです。ヒットになった故に情報が出回り、そうした光景を至る所で目にしたのだと思います。大量でもなく、『獣王』系のAT機でもない別の一つのジャンルを確立したのが『北斗の拳』です。北斗は他の2つよりも途轍もなく売れました。

ビ・ハイア大下:大事なのは連チャン出来るか。

アカギ松岡:引いた時のボーナスによって継続率が変わります。7揃いか北斗揃いによって、北斗揃いでしたら82%以上継続率が確定、です。とにかくゲームとして完成されていました。毎回ラオウとケンシロウの対決が繰り広げられます。パンチ、キック、向こうの剛掌波を避けるor避けない、など本当に凄かったです。何十連しようが演出はずっと一緒でしたけど(笑)

ビ・ハイア大下:笑。

Woman making loud announcement段々と規制の色が濃くなり…

アカギ松岡:台は60万ほど売れました。

ビ・ハイア大下:確かギネスにも?

アカギ松岡:スロットで言えば最高台数です。(私が知る限り)パチンコは『海物語』(三洋物産)の100万台です。そういう経緯があり、パチンコと同様に締められてしまいました(笑)そうして今の形に至ります。最新の状況ですとサブの出玉管理が禁止になりメインだけでやらなくてはいけません。この話はパチンコ側からすると「当然じゃん!」という話です(笑)「サブで出玉管理が出来たら…サブではなくメインじゃん!」ですので、よく考えてみるとおかしい訳です。これが普通になっていきますとメインとサブの境目はありません。スロットのメインはレバーONされるorしない、ストップボタン、リールが止まる、リール制御、払い出し、だけです。あとはボーナスの抽選確率、小役の当選確率がメイン制御です。

ビ・ハイア大下:スロット人口は4号機までは右肩上がりでしたか?

アカギ松岡:増えていたと思います。そして、5号機に切り替わるタイミングでドーンッと減りました。純増値、1ゲーム当たり9、10枚、1時間5,000枚とか出せました。私自身も『北斗の拳』で会社帰りの20時半から22時半までの2時間で10,000枚です。

ビ・ハイア大下:スゴい!10,000枚!珍しい光景なのですか?

アカギ松岡:仕事帰りに行き2時間で10,000枚出すこと自体は珍しいと思いますが、打っている人や台数も多いので相対的にそうした光景は多かったです。

ビ・ハイア大下:2時間で10,000枚、現在は不可能ですよね?

アカギ松岡:絶対に不可能です。3000枚規制と言われているのに怒られちゃいます(笑)そこでゲーム性の面白さもありつつ、射幸性もとても高かったのが、スロット4.5号機から4.7号機と呼ばれている所、パチンコの3分の1、2回ループがそれぞれの人口や盛り上がりなどのピークだと思います。

ビ・ハイア大下:そこから規制が入り、射幸性が落ち着いた、と。

Group of anonym people hiding現代では大きな社会問題に。解決に向かう為の策とは?

アカギ松岡:経済が落ち込み、失業率や雇用率、主婦の金貸しに対する規制が入り、一気にパチンコ・パチスロを打つお金が無くなりました。現在注目を浴びているギャンブル依存症に紐付く話ですが、金借りて→パチンコ・パチスロに注ぎ込む、という行為をしている時点で依存症です。

ビ・ハイア大下:ATMだけでなく、ホールに消費者金融もセットで置いてありましたもんね。

アカギ松岡:そういう所から世の中の見る目が”パチンコは悪”と。悲しい思いを家族がしたり、身近な人間がしたり、ということを見て来た人が徐々に増えて来てここ数年で少数から多数に切り替わったタイミングがここ数年です。もちろん、情報が歪んで伝わっていることもあります。例えば、北朝鮮に金が流れているとかです。今のパチンコ経営者の状況を知らないけども、皆が言っているからそれを信じるという一種の刷り込みです。その情報を正しく理解される場所はないし、発信しようとする人もいない、というのが私たちの業界の問題点だとも思います。この話を大きな声で伝えた所で届くかどうかは分かりませんが、実行しなくては変わりません。都知事選でもパチンコについて公約を掲げている人はいましたが、色々理解した上で言っている人は皆無でした。政治家の任に就くのなら理解した上で発言して欲しいです。無くせ!と言って無くなった職に対して誰がどう保証するのかに対してもしっかり理解した上で発言して貰いたいです。

ビ・ハイア大下:確かに娯楽が無くなっても別のことで補えますが、職が無くなった場合はどうするのか?という問題は大切です。遊技機専門でやって来た人たちはどうするの?は考えなくてはいけない課題です。本日はありがとうございました。

次回、今から遊技機業界に参入する際の課題とポイントはこちらから

株式会社アカギ 松岡社長 インタビュー記事の一覧
第1回 CR機導入以降の急成長と規制による遊技人口の減少
第2回 CT機、AT機、ART機による急激な成長から現在の状況まで
第3回 今から遊技機業界に参入する際の課題とポイント
第4回 開発会社の今後の展開
第5回 遊技機業界の展望について

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