漫画 VR 講談社もVR事業を開始!VRと漫画の可能性

hiphopsingVRを起点とした事業を開始

記事を読んでいただきありがとうございます。今回取り上げるのは漫画業界の一角講談社がVR事業チームを新設し、VRを起点としたアイドルキャラクター事業を開始したことについてです。今まで映像業界とゲーム業界においてVR事業を展開し、ゲームや映像作品について発表していることは何度もとりあげていましたが、今回は漫画業界においてもついにVR事業を行うところが出てきたのは新しいところです。角川であれば子会社にゲーム関係の会社も持っているので、ある意味わかりやすい流れではあるのですが、講談社もVR事業に乗り出してくるというのは、今後漫画業界各社の動きも気になるところです。

その講談社のVR事業に関する内容については以下の通りです。

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講談社は、本日(7月17日)、バーチャルリアリティ(以下、VR)コンテンツ制作を中核業務としたチームを新設し、VRコンテンツを起点にイベント、商品開発などを行うアイドルキャラクター事業「Hop Step Sing!」を開始すると発表した。

本事業として制作するVRコンテンツ第一弾として、VRならではの臨場感を楽しめるフルCGライブステージ動画『キセキ的 Shining!』の配信を8月に予定している。

本コンテンツは楽曲からCG映像まですべて新規制作したもの。キャラクターの声優は歌唱力重視で採用された若手の指出毬亜さん、鳥部万里子さん、日岡なつみさんが担当。クリエイター陣はTVアニメなど第一線で活躍するスタッフが集結した。

同社は、今後第2弾、第3弾のコンテンツも準備中であり、VRを中核としつつ多くのメディアで活躍していくキャラクター事業として「Hop Step Sing!」に取り組んでいくという。

『キセキ的 Shining!』は、音楽とキャラクターを楽しむための、フルCGアニメーションによるVR動画コンテンツ。はじめはスマートフォンをVRゴーグルに入れて手軽に本映像を鑑賞できるアプリの形でGoogle Play、App Storeで8月中の有料配信を計画。また、様々なVR機器へ対応させたバージョンの制作や、国内外のVR動画配信サービスへの提供も予定。

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講談社、VR事業チームを新設…VRを起点としたアイドルキャラクター事業を開始 第1弾アプリを今夏配信 開発にランティス、ポリゴン・ピクチュアズら

プレスリリースを読むと基本的にはアプリによる展開でありますが、アイテム課金モデルではなく、有料アプリとして配信し収益を上げるという構造自体はあまりありません。過去にPlayStationなどのプラットフォームで発売されていたタイトルを、売りきりアプリという形で提供するということはよくありましたが、新規タイトルについて有料で配信するということはかなり少なかったと思います。

image-14-330x226今後の展開に期待

今回の新規事業において講談社ならではというか、早速プロローグコミック公式サイトに掲載されており、事前にしっかりと準備をしてきていることがうかがえます。単純に出版業界もVR事業に乗り出してきたというよりも、紙の販売だけではなくデジタル事業への参入に積極的になっているということが最も注目すべき点であると思います。2015年の出版統計によると紙書籍・紙雑誌の売り上げ推移は1996年をピークとして減少の一途をたどっています。

1602_ebooks_091996年以来20年間にわたり売上の減少が続いていて、出版不況と呼ばれる状態がずっと続いています。そういった最中、電子書籍については真逆で、年々成長しています。2010年には650億円だったのが、2015年には1600億円まで拡大してきています。それでも紙雑誌の7801億円、紙書籍の7419億円に比べたら小ぶりではあるものの、成長速度や今後の市場規模予測については決して侮れない状況になっています。

そういった電子書籍の躍進と紙の販売不振に対して、新たにデジタルを絡めた事業を展開するためにVRを選択したというのは非常に面白い試みであると思います。VR自体の市場規模予測は2016年1月時点でTrendForceが発表したデータによると、2020年に700億ドル規模と発表しています。そういったところからも、出版不況にあえぐ業界を救う光のひとつとなれるかに注目が集まるところです。

vr_headsetVRと漫画

これまでVR対応の多くのタイトルが発表されてきましたが、それらはいずれもゲームや映像コンテンツというだけでした。それが悪いわけではないですが、これまでVR事業について様々な形でウォッチを続けてきた私としては、新しいタイトルが発表されたところで、プレイしてみたい、見てみたいとは思うものの、目新しさを特に感じられてはいませんでした。今回はアプリをリリースするといっても有料での配信であったり、VR事業とはいえコンテンツをどんどん制作し、アイドルキャラクター事業であるというところ新しさがあると思います。すべてのアプリが無料で配信し、アイテム課金モデルで収益を上げていく必要はないわけですし、今回の有料配信に加えてアイテム課金も組み合わせたり、月額課金も組み合わせたりしながら、新しい収益構造を生み出していくことも、ゲーム業界にとって良いことであると思います。

そしてさらなる期待をしていきたいのはVR漫画です。これはどうしても映像化するに当たり、漫画を作るのと比べものにならないコンテンツ制作費がかかってしまいますが、よく子どもの頃に妄想した漫画の世界に擬似的とはいえ入ることが出来るのです。それだけで興奮を禁じ得ない!自分の好きな漫画がVR化されたら絶対に中に入っていろいろとその場の空気を感じてみたいと思います。さすがに長編になると場面転換も多く作るのは相当大変なのは目に見えていますが、それでも夢を見てみたいなと思います。過去の作品だけではなく、新しくVR漫画というジャンルができても面白いかも知れません。2Dのデータを投下することで、自動的にVR化してくれるソフトとか、そのうち出てくるのではないかと思いますし。VR事業が医療やゲーム、IT、映像、ヘルスケアなどさまざまなジャンルでこれぐらいの市場規模になるだろうと推測している会社がありますが、そこに漫画が加わっても良いのではないでしょうか。私の方で講談社の動きはもちろんのこと、VRの今後の展開についても継続的に観察を続けていきたいと思います。

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