釘問題とは
記事を読んでいただきありがとうございます。今回はこれまで何度か取り上げてきたパチンコの釘問題についての記事です。すでにこの問題は国会答弁にもあがるくらい注目される内容となっていますが、釘問題とはそもそも何なのかをざっくりと説明します。
パチンコの筐体は保通協という業界団体の検定を通過することにより法律の規制範囲内でプレイできることが担保されます。ところが実際にホールに出ている実機をプレイしてみるとその法律の規制による範囲を軽く超えているのではないかと疑惑が出ました。そして実際に立ち入り検査を行ったところすべての台が規制を超える設定になっており、大問題となりました。
そうなると問題の責任はどこにあるのかという話になりますが、検定を通過した台を出荷してホールに並んだら設定が変わっているというのはホール側で変えたのではないかと思いきや、実際のところ出荷段階ですでに調整が行われており、検定を通過したときとホールに出荷されるときですでに釘の状態が変わっているということが判明しました。そのため業界団体は自主的に検定したときと異なる釘の設定になっている台を自主的に回収することを発表し、業界を監督する警察庁や公安委員会もそれを認め、回収と同時に規制に準拠した新台をホール側で入れ替えることになりました。
釘問題から発展して現れる問題
これが釘問題の大まかな流れです。現在パチンコ業界では新台への入れ替えに関してメーカー側でも一部補填はするものの、全額メーカー負担というわけではなく、ホール側でも負担が発生します。つまりメーカーもホールも新台の入れ替えに関して費用が追加で発生することになったわけです。そもそもパチンコユーザーが射幸性の高い台を求めて遊んでいましたが、規制に準拠した台となると、射幸性が低く、これまでユーザーが求めてきた方向性とは真逆になります。射幸性が抑えられることにより、小額の投下資本でもそこそこ長くは遊べるものの、一気に稼いで儲けたいと思っている既存ユーザーからするとつまらなくなってしまうため、ユーザー離れが懸念されています。
それはつまり新しい台に入れ替えれば済むという話ではなく、ユーザーも離れてしまうし、メーカーもホールも釘問題がなければ発生しなかった費用が余分にかかってしまい、両者ともに打撃を被っています。業界全体の縮小傾向によりいっそう拍車がかかる恐れさえあります。そういったことも懸念して、パチンコメーカーは新しく台を申請するときに、これまでと同様の作りはできないものの、射幸性を少しでも確保するために、あの手この手で新しい台の提案をすることにしました。その結果、それまで9割近く検定を通過していたパチンコ台も半分の5割を切るまでに落ち込みました。単に検定を通すことだけ考えるのであれば、検定通過用に作れば問題ないのですが、検定も通った上でユーザーも楽しんでもらえてプレイしてもらえるという前提で作りこんでいくと、検定では射幸心をおさえないと通らないし、かといってユーザーは射幸心の高いものを求めているということから、かなり難しい問題であるといえます。
最後のリストとこれから
釘問題から2016年2月10日に第1次回収リスト(13メーカー・28型式・4万8,863台)を公表し、2016年3月1日に第2次リスト(11メーカー・17型式・8万8,104台)を公表しました。そして2016年6月23日に最後の第3次回収リストが発表されました。
引用開始
日工組(金沢全求理事長)は6月23日、業界関係者に文書「『「遊技くぎ」の変更により性能が異なる可能性のある型式遊技機の回収について』」を発出。文書内では「この度すべての遊技機の調査が終了した」とし、設置期限を2016年末迄に規制する回収対象機種の新たな型式を公表した。
新たな型式は2014年検定機が48型式(18メーカー)・21万8,395台、2015年検定機が45型式(20メーカー)37万1,115台、合計93型式58万9,510台となる。
引用終了
第3次リストまでの合計回収台数は726,477台に及びます。これは全ホールに設置されているパチンコ台数約300万台のうちの約25%にあたります。相当な数が回収と新台への入れ替えがおこなれることになります。射幸心をおさえ、かつてパチンコがにぎわった時代の一人当たりの投下金額1~2万円代のころに戻し、楽しく遊べる遊技機という方向へもって行きたいのかもしれません。現在の一人当たりの投下金額は20万円前後と射幸心を煽った結果おかしな方向に進んでしまいました。
これから業界としては厳しい状態が続くことになります。新台を作ってもなかなか売れないし、ホールにもお客さんが着きにくくなっているので、ホールの経営にもかなり影響が出ています。そんな状況下においてメーカーやホール以外にもパチンコ液晶の制作を行っていた開発会社も、遊技機業界での実績やこの業界で仕事をしていきたいという思いがない限り、生き残るのは厳しいでしょう。以前のように活気のある状態に戻るのはかなり険しい道のりではあります。であるからこそ、儲かるから仕事があったからみんなやってるからといった理由で遊技機業界の仕事をしていた会社は方向転換を行い、一切遊技機の仕事をしないぐらいのつもりでかじを切って新しい方向に進んでいかないと、もともとしたいわけでもない中でやっていた仕事でリピートをもらえることはありえません。
そのためにも弊社でゲーム系やその他CM系、デジタルサイネージ、プロジェクションマッピング、VR関連の仕事先の紹介などを積極的に行っています。お手伝いが必要という会社があれば気軽にお声掛けください。お問い合わせは下記のフォームからお願いいたします。みなさんの手伝いをすることで業界発展のきっかけになればと思います!