携帯電話の通信速度が現在の100倍へ!第5世代移動通信(5G)で変わるゲーム開発の可能性

shutterstock_93523195第5世代移動通信(5G)とは

記事を読んでいただきありがとうございます。今回取り上げるのは携帯電話の現行通信速度である4Gからさらに一段階進化した第5世代移動通信(5G)の話についてです。現在の通信速度でも快適にネットサーフィンはもとより、動画のダウンロードであってもそこまでストレスなくできていると思います。ところがこの5Gが導入されると、現行の4Gの通信速度が下り最大100Mbps~1Gbpsというところから、下り最大10Gbpsになります。単純にどれぐらい変わったのかというと、フルサイズの映画のダウンロードがたったの5秒以下で終わってしまうという感じです。2014年のデータにはなりますが、下りの実測値で一番早いと記載されているSoftbankの回線速度が約40Mbpsなので、3.8GBのHD映画をダウンロードするのに要する時間は778秒かかることになります。4G回線の理論上最大値である1Gbpsでも30秒かかっていたところが10Gbpsの5G回線になると計算上では約3秒でダウンロードが完了します。しかも単に回線速度が速くなるだけではありません。

引用開始

これを使えば時速300キロで疾走する超高速列車の中でも情報の授受が可能。こうした通信は遠距離で手術を行なうなど、医療目的でも使われる計画。また5Gの搭載車は交通渋滞や交通事故の危険をより効果的に避けることができる。

引用終了

日本、2020年までに5Gの全国始動をめざせより抜粋

こうした次世代通信の動きはNTTDocomoを中心に活発に行われていて、いろんなメーカーと協力しながら開発が進んでいます。今の100倍の速度なんてそんな簡単にできるのかと思ってしまいますが、1980年代から始まった通信速度9.6Kbpsの第1世代移動通信システム(1G)の誕生から30年で通信速度は約1万倍にまで進化しています。今から4年後の2020年7月に5Gの導入を目指していますので、100倍の通信速度を実現させるというのはむしろ現実味がかなりある話でしょう。実際にその5Gが現実のものとなるであろうニュースも入ってきています。

引用開始

NTTドコモとエリクソン・ジャパンは、2月22日に神奈川県横須賀市のドコモR&Dセンターで行った第5世代移動通信方式(5G)の実証実験で、10~20Gbpsを超える通信に成功したことを発表した。 本実験は、2月17日に実際の利用環境に近い15GHz帯を用いた屋外環境で実施。両社が共同で仕様を策定し、実験用の無線基地局と携帯電話端末に相当する移動局装置で行った。

引用終了

ドコモ、5Gの実証実験で20Gbps以上の無線データ伝送に成功より抜粋

2016年2月22日時点でNTTDocomoがすでに20Gbps以上のデータ伝送に成功したとのことで、研究がどんどん進んでいけば高速通信だけではなく、通信中の遅延も低減する技術も今以上に進化していくでしょう。現時点ですでに通信トラフィックが問題となって、携帯電話の通信料に制限がかかるようになっているのであれば、10Gbpsもの大容量のデータ通信を普通に行うのであれば、通信トラフィックそのものが一気に跳ね上がり、通信中のエラーや遅延も発生しやすくなります。そういった部分もケアしていけるようにNTTDocomoをはじめ、各社が研究開発を行っています。

現在のネットワークトラフィック事情

では実際のところ現在のトラフィックはどうなっていて、これから先どれぐらい増えていくのでしょうか。これまでのトラフィックの推移についてまとめたデータがあります。前出とは別の総務省のデータから参照してみましょう。直近1年間で1.25倍になっているといます。2014年は約1.5倍の伸びがあったのでちょっと落ち着いたのかも知れません。とはいえ、これからもデータの容量はどんどん増えていくでしょう。なぜなら今も4Gの技術は進化しているのと、携帯電話やPHSなど移動通信の契約数は年々増加傾向にあり、LTE回線の契約数もずっと右肩上がりで成長を続けているためです。NTTDocomoのホームページにも掲載されていますが、下り最大300MbpsだったPREMIUM 4Gが2016年6月から都心部など一部のエリアで最大375Mbpsへと高速化します。2020年の5G導入を前に携帯電話における通信環境は利用する側からするとどんどん快適になっています。同時に現状の技術では通信速度を現行の10倍以上に引き上げたり、これまで無線につながっていなかった機器をネットワークに参加させたり、通信する機器が増えることによるネットワークの制御といった諸問題をクリアできないので、その解決策として5Gという次の世代の移動通信技術が必要になりました。

shutterstock_223517512高速回線によって拓けた未来

仮に5Gが導入された場合、どのような未来が待っているのでしょうか?具体的なイメージはいろんなところで説明されていますが、そのうちわかりやすくイメージ図もいれてあるページがありますので、そちらを引用します。

引用開始

――ワクワクしますね。5Gになると、実際、どんなふうに私達の生活は変わるんでしょうか?
畑川 今はネットでニュースを読んだり、メールを読んだりするには、ネットワークの世界にスマホで自分から能動的にアクセスする必要がありますよね。5Gの時代になると、様々なモノが通信ネットワークにつながることで、スマホを取り出して操作したりしなくても、無意識のうちに必要な情報が手に入るようになるでしょう。つまり、ネットワークの世界と現実の世界の境界が無くなって結び付くんです。

具体的に言えば、腕時計型や眼鏡型のウエアラブル端末が主流になって、それで通話もできれば動画も見られるようになるでしょうし、そこにいろんな情報が自動的に流れてきたりするんじゃないでしょうか。歩いていると「この先、工事中ですから回り道してください」とか、ホームで電車を待っていると「1本あとの電車のほうが空いていますよ」などと勝手に教えてくれたり。

こういったことは、社会のさまざまなところにセンサーが置かれ、5Gのネットワークにその情報が乗ることで初めて実現できるんですよね。スポーツ観戦の仕方も変わるかもしれませんね。たとえば、サッカー選手に心拍数などを計るセンサーを取り付けて、そこから5Gに情報が流れるようにしておきます。そしてその情報が映像とともともに、視聴者のウエアラブルデバイスを通して伝わることで、選手の緊迫感を自分自身も体感しながら、試合を観戦できるかもしれません。

引用終了

次世代通信システム「5G」で、私たちの生活はどう変わるの?より抜粋

これはあくまで生活全般の話ですが、ゲームにおいてもかなり開発する幅が広がると思います。そもそも受信する必要がなく勝手にダウンロードされているのであれば大きなデータのゲームでも快適に動かすことが出来ますし、コンテンツそのものをよりリッチに作ることも可能です。PS4のゲームをダウンロードするのに必要な容量として2014年2月のデータですが、NBA2K14が41.9GBでした。これだけの容量であってもダウンロードに必要な時間は5G環境下であれば34秒程度です。つまりもっと大きな容量のゲームであってもダウンロードに手間取らないということで、作る側はますます全体の容量を気にする必要はなくなってきました。携帯電話そのものも大容量のHDDを搭載するといった必要に迫られはしますが、携帯電話向けのHDDも進化をし続けており、そこも問題はないでしょう。

shutterstock_119470144-330x233回線速度の向上は容量だけではなく、コンテンツの作りそのものにも影響を与えます。現行の4G環境下においては回線の安定性や回線速度がネックとなって、リアルタイムでの大人数による同時対戦が実現できませんでした。ハードウェアとしては進化をし続けており、最新機種であればある程度描画をすることは可能ですが、同時に通信する人数が増えれば増えるほど同じデータをそれぞれの端末で同期を常にとり続ける必要があり、ターン制のゲームであればまだしも、随時に他のユーザーの動向を反映する必要のあるMMORPGのようなゲームの作りであれば、回線速度そのものがネックとなって作れませんでした。それが回線速度の劇的な向上により携帯電話でもPCと遜色のないレベルでしかも無線環境でMMORPGがストレスなく動かせることが可能となりました。通信速度というボトルネックが解消されたことで、さらにゲームが作りやすく、その幅も大きく広がることでしょう。

ゲームそのものもそうですが、新しくウェアラブルのデバイスが普及してくると、そこに載せるコンテンツとしてゲームが選択肢として上がってきます。今までのアーケードゲーム、コンシューマーゲーム、携帯電話向けゲームから更に進んだ先として、VRなどもそうですがウェアラブルのデバイス向けゲームが市場として成立してくるのではないでしょうか。多くの人が身につけ、接しているデバイスでゲームができるというのはとても自然なことだと思います。

5Gはまだ開発段階であり、その導入の兆しはあちこちで研究成果という形で発表されています。直近であればワイヤレス・テクノロジー・パーク2016(WTP2016)内の専門イベントとして『5G Tokyo Bay Summit 2016』が2016年5月27日に開催されました。新しいネットワークの普及は業界の発展進化にもつながると思います。ゲーム以外にもアニメや漫画などもウェアラブルのデバイスで視聴できるようになったりするのかも知れません。考えただけでとてもワクワクします。今後も技術的な動向も含めて、5G関連の情報は追いかけていきます。

toiawase-1024x226-1