アニメ・ゲーム・3DCG映像制作と遊技機(パチンコ・パチスロ)とは深い関係にあります。パチンコ・パチスロがあったから、今のアニメ・ゲーム・3DCG映像制作業界があると言っても過言ではありません。アニメとパチンコの関係については、ノンフィクションライターとしてサブカルチャーの裏を暴くルポルタージュについての書籍を書く安藤健二さんによって「パチンコがアニメだらけになった理由」という題で1冊の本が書かれているほどに深い歴史があります(エヴァ、マクロス、ナデシコ、アクエリオン、ファフナーなど具体的な作品への言及もされているので業界に興味のある方は是非読んでみてください)。
しかし、ホールに足を運んでいただいて実際の台を見ていただくと一目瞭然なのですが、そういった有名なアニメの版権を使った台でも圧倒的に2Dセルアニメの演出は少ないです。あったとしても、放送時のカットがそのまま使われてリーチ演出になっているものがほとんどです。アニメが元になっているのだから原作通りの映像の方がファンも喜ぶのではないかと思うのですが、遊技機で2D作画が使われない理由はいくつかあります。
一つはアニメの会社が全然納期を守らないからです。アニメの会社がなぜアニメを作っているのか、それはもちろんアニメが好きだからです。誰も遊技機の仕事がしたくてアニメの会社に入る人はいません。さらにアニメ会社を一番忙しくしているものは何かというとTVアニメの制作です。2015年、アニメは170本制作されました。5分アニメなど尺の短いアニメの本数も増えていますが、本数そのものは増加傾向にあります。30分アニメを1話作るのに3000枚の動画が必要と言われています。1週間で3000枚の絵を描けということですね。だからこそ今のアニメ業界は制作進行が動画原画を管理し、徹底的に合理化分業化がなされています。そして、そんなTVシリーズの制作に追われるアニメ会社は、締め切りが長い遊技機の仕事を「まだ何とかなる」と言って後回しにします。結果納期になっても1枚もできていませんということも少なくありません。そんなことを繰り返された遊技機メーカーはもうアニメ会社は信用できないとアニメを使わない方法(3D)を発達させました。
また、遊技機おいてはいかに派手に遊技機らしい映像にできるかどうかも有用なポイントです。派手というのは、もう少し具体的にいうと情報量が大きいということです。これもホールに足を運んでいただきたいのですが、その光と音の大きさや、ディズニーのエレクトリカルパレード以上ではないでしょうか。3.11の東日本大震災の際に当時東京都副都知事の猪瀬直樹から、「パチンコは電力消費の少ない夜間に営業するか、昼間はクーラーなしにするか、そのぐらいの提案を業界側がしてもよいのではないだろうか」と提言があったほどで、「東京電力管内のパチンコ店では、年間18億4,483万4,310kWhが使用されている」との算出もあります
こちらも参考にしてください
https://d.hatena.ne.jp/naokura/20110322/1300806551
それだけ遊技機は大きな情報を相手に与えることを必要としています。その観点から考えても2Dリミテッドアニメーションが秒8~12枚に対して3Dグラフィックスの場合30~60fps。2.5〜7.5倍の差があり、さらにそこに3Dならではの奥行き(Z軸)の存在を考慮して二乗すると6.25倍〜56.25倍の情報量の差があることになります。より情報量が大きいことが求められる遊技機の映像演出においてどちらが選ばれるかは明らかでしょう。また、3D映像制作の会社の方が納期をしっかり守ってくれます。
また、先ほど述べた「遊技機らしさ」というポイントについても営業のヒントが隠されています。数ある3D映像制作会社の中で遊技機メーカー(や一次受けの元請け)はどこを見て外注先を選んでいるかというと、その会社が「遊技機らしさ」を理解しているかどうかがポイントになります。つまり「自分でもパチンコ・パチスロを打ちに行くかどうか、どういう台がいいかどうか、どういう演出がアツいかわかるかどうか」ということです。割がいい仕事、安定した仕事、単価がいい仕事としてしか遊技機の仕事を捉えていない会社には、メーカーは仕事を振りません。担当がしっかり遊技機を理解しているかどうか、社内のデザイナーはどれくらい遊技機が好きかをちゃんと見ています。
これはアニメ制作会社も一緒で、アニメが好きです、遊技機の仕事は片手間ですという会社には誰も仕事を出したくありません。遊技機のアニメの案件を受ける会社はそれなりの努力をしています。例えば、社内の作画監督やクライアント対応の担当など要となるポジションとなる人には、月に5万パチンコ・パチスロで遊ぶためのお金を渡している会社もあります。そこまでやって初めてメーカーから「この会社なら大丈夫そうだな」という判断になります。遊技機業界に進出したいとお考えの会社は是非表面的な部分だけでなく、内情についても詳しく知った上で営業に当たっていただくことをお勧めします。
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