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2016.01.05 ゲームアニメ コンテンツ業界の衰退を招く無課金の美学

money最近のゲーム業界は、家庭用ゲーム機よりも、タブレットやスマートフォンを使ったソーシャルゲームやネイティブアプリの方に勢いがあります。そんな中で、時々話題とされるのが課金ユーザーのお話です。端的に言えば、そういう人に対して馬鹿にした態度をとったり、課金してしまったら負けのように思ったり、自分が無課金でやっていることを自慢げに話す人がいます。

ゲームの楽しみ方は人それぞれなので否定はしませんが、クリエイターを目指す人なら裏で、開発会社がどのようなことをやっているのか、どんなことに費用がかかっているのかは把握しておいた方が良いでしょう。それを知ったうえで、面白くないゲームであれば課金をする必要はないでしょう。最初に断っておきますが、これからの文章は決して、どんどん課金しろという話ではありません。既に使っている人に対しては、生活のバランスをとって引き続き課金していただければと思います。

PS4XboxONEソーシャルゲームやネイティブアプリと家庭用ゲームの収益の上げ方の最大の違いは、お金を払うタイミングの違いにあります。家庭用ゲームの場合、まず、PS4やXBOXONE、Wii Uのような本体となるハードを買う必要があります。それに加えてゲームを楽しむためのソフトを買います。そのためゲーム会社は、ハードやソフトの売れた分が収益となります。加えて、家庭用ゲームの場合、パッケージで出してしまい、その後の修正が効きません。その一方でソーシャルゲームやネイティブアプリなどオンラインで行うゲームは、ゲームをプレイする初期費用は、タブレットやスマフォが必要なもののダウンロードするコンテンツに関しては無料です。その代わりとして、イベントでの回復アイテムや有料のガチャを回させることによって課金させるシステムになっています。

簡単にまとめれば、家庭用ゲームは、シリーズものでない限り、発売当日にそのソフトが面白いかそうでないかは判断できません。しかしながら購入するためには、ある程度のまとまったお金が必要となるもののそれ以上の追加料金はありません。一方、ソーシャルゲームやネイティブアプリは、ダウンロードコンテンツに関する初期費用は必要ありませんが、イベントや有料ガチャをやる際に課金の必要があり、その気になれば上限なく使うことができます。このような課金システムということと有料ガチャのレアカードやアイテムのドロップの確率的な問題やギャンブル性や課金に対する依存性もあってパチンコパチスロのようなギャンブルに抵抗のある人は、課金に対しても抵抗を持つ傾向があります。

Fotolia_85919390_Subscription_Monthly_Mでは、どれくらいの費用がかかっているのでしょうか。

まず必要となるのが、ゲームの開発費です。ガンホー・オンライン・エンターテインメントからリリースされた「パズル&ドラゴンズ」以降、それまでのカードバトルのゲームから各社独自性の出したものを出すようになりました。Klabのリズムゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」、コロプラのクイズゲーム「魔法使いと黒猫のウィズ」、マーベラスのMMORPGの「剣と魔法のログレス」、同じくコロプラのフル3DCGで制作したワンフィンガーRPG「白猫プロジェクト」などなど、スマートフォンのスペックの向上とともによりゲーム性を持ったものがリリースされるようになっています。今のソーシャルゲームやネイティブアプリは、PlayStation 2 ほどのスペックにまで来ているとのことです。そうなってくると当然開発費も膨らみます。現状の開発費は最低1億円、それ以下になるとヒットする見込みはほぼないと言われています。これに加えて、ネイティブアプリやソーシャルゲームには広告費や運営費がかかってきます。この中でも、運営費に関しては、これらのゲームでの生命線、ここをどううまくやるかでゲームの寿命が決まります。その運営に必要なのが

smartPhone-3dAppサーバー代(会員数やアクティブユーザーの数によって規模や予算は変わる)
イベント企画ディレクター 75万から110万
イベントの企画プランナー 60万から80万
イベントの開発を行うプログラマー 人月65万から95万
イベント時に追加のキャラクターや背景、小物を作るイラスト 1枚 1.5から15万円
イベント時に追加のキャラクターや背景、小物の3D 人月45万から75万
(※人月短歌・・・作業員1名が1ヶ月20営業日働いた時間に対する単価)
(2015年12月 ビ・ハイア調べ)

となります。運営が1名ずつだったとしても200万+サーバー代とイラスト制作+3D デザイナーの予算がかかってきます。加えて会社経営のことを考えればさらに大きな額が必要となってきます。こういう状況でネイティブアプリやソーシャルゲームは運営されていますので、体力のある会社でない限り、全員が無課金だったら、速攻でサービス終了のお知らせが入ってくるでしょうね。

各ゲームの詳細な課金率はわかりませんが、最も人気のゲーム「パズドラ」は35%とも言われています。そこそこのゲームでは、数%から10%ほどです。逆を言えば、その方たちが課金してくれている人がいるからこそ運営がうまくいっていると言えるでしょうし、コンテンツとして楽しんでいるのでしたら、投げ銭感覚で課金をしてもいいのではないでしょうか。いいものを作ってくれるところに課金し、その資金を使ってより面白いコンテンツを生み出して楽しむことができる、そう考えれば課金も悪いものではないと思います。

このようなことをお話しして、どんどん課金しようぜ!と重課金者の方は思うかもしれませんが、あくまで生活とのバランスは考えて課金してくださいね。

socialGamesyakkinソーシャルゲームで自己破産急増?借金「チャラ」の対象外に?

引用始め

インターネット上で、「ゲーム課金で多額の借金を負う人が増えすぎて、破産申請しても免責されなくなったようだ。ソーシャルゲームがギャンブルと同様の扱いになっている」といった情報が流れ、話題になっている。

中略

「『浪費等』の免責不許可事由があっても、直ちに免責不許可になるわけではありません。その程度に応じて、『反省文と家計簿を提出する』『免責審尋を経る』『口頭審査で個別の訓戒を受ける』『免責観察型の管財手続に移行する』などの方法によって免責が受けられることが多いです。この点は誤解がないようにしていただきたいと思います」

引用終わり

あくまでもソーシャルゲームでの浪費の人が増えてきているという傾向を見ての発言のため、完全に「チャラ」にならないというわけではなりません。とはいえ、無課金だとコンテンツも増えていかない・・・クリエイターを目指す人は課金と無課金のバランスをとりながらコンテンツを楽しんでもらいたいですね。

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