アニメゲームマンガ専門 ラクジョブ新聞 > 求職者の方へ > アニメゲーム漫画クリエイター向け 5分で分かるSF講座 スチームパンク編

アニメゲームマンガ業界 就転職に役立つ情報満載!

2016.06.01 アニメゲーム漫画クリエイター向け 5分で分かるSF講座 スチームパンク編

25-thumbbig-97719_mスチームパンクとは何か

今回の記事は「何か面白いネタは無いかな~」と思っているクリエイターの方々へ向けて、新人山崎が好きなSFのジャンル「スチームパンクはどうですか!」とおすすめしている記事です。スチームパンク、よく聞くけどなんだか良くわからないな~と思っている方や、何かを作りたいのだけれど、軸がぶれてなかなかうまくいかない!という方は是非読んでみてください!

さて、スチームパンクはサイエンス・フィクション、SFのサブジャンルの1つです。スチームパンクの「スチーム」は蒸気機関のスチームです。1980年代から1990年頃の初めまでに人気が出たジャンルで、「海底2万マイル」のジュール・ヴェルヌや、「タイムマシン」のH・G・ウェルズ、「フランケンシュタイン」のメアリー・シェリーなど、19世紀の科学ロマンスやゴシック小説を踏襲しつつ、「もし蒸気機関の過剰な発達や、当時否定されていた技術が開発されていたら」というifの世界を描くものをスチームパンクと言います。所謂未来的なデザインではなく、アナログなしくみで動く大型飛行船や、なぞめいた歯車が多く付いている乗り物や小道具、小型化された蒸気ガジェットなどが多く登場したり、チャールズ・バベッジが研究した計算機がもし19世紀中に完成していたらなどの歴史改変がされている作品などパターンは様々です。映画「スチームボーイ」や宮﨑駿さんの「天空の城ラピュタ」に出てくる、明らかに時代錯誤的な技術力が出てくるのも特徴の1つです。というかスチームボーイがまさしくスチームパンク的世界観を取り入れた作品です。

「サイバーパンク」というSFのサブジャンルが流行しだしてから名付けられたジャンルで、それまでも歴史改変モノとしてスチームパンク的なSF小説は出版されていました。現在ではSF小説という作品形態にかぎらず、ヴィクトリア朝のデザインやレトロフューチャー的なメカメカしさを施したファッションや工芸品、造形物やイラストなど、ひとつのムーブメントを表す言葉としても使われます。ファッションに関しては、ネオ・ヴィクトリアンと呼ばれることもあります。

steampunk_wallpaper_v2_by_colgreyis歴史的な裏付けがあることによる説得力

スチームパンクは歴史改変SFと親和性の高いジャンルです。おおむね19世紀~20世紀初頭の産業革命期が舞台であることが多く、実在した未完成の技術がもし完成していたらという歴史改変がよく行われます。特にネタにされるのがチャールズ・バベッジなどが研究した階差機関などの計算機で、このことからスチームパンクには歯車式で動くガジェットが多く登場します。機械化が過剰に進んでいるため、その技術を応用した人体改造など、明らかに当時の技術では不可能な技術が登場しますが、下手に未来的なデザインであるよりも、レトロ風なデザインや歴史的にこういう流れでこのような技術が生まれたのだという説明が少しあるだけで、妙な説得力が出てきます。ファンタジーとも相性がよく、ファイナルファンタジー6や鋼の錬金術師など、魔術や魔法が存在する世界観の中で、スチームパンク的な要素が取り入れられている作品も多く存在します。

61Y1ctV2G8Lおすすめスチームパンク作品

スチームパンクという名前を知らなくても、ああそうそう!こういうのが好きなんだよ!という筆者の仲間が多くこの記事を読んでくれることを期待して、最後に独断と偏見でおすすめしたいスチームパンク作品を紹介します。

最近の作品でいうと、アニメ映画化が話題になった、円城塔、故・伊藤計劃による『屍者の帝国』が読みやすいと思います。シャーロック・ホームズに登場する人物ワトソンが主人公です。舞台はやっぱり19世紀、死体に擬似的な魂をインストールする技術が存在する世界観で繰り広げられる屍者をめぐる物語は圧巻です。

51n5MTCL-0L._SX348_BO1,204,203,200_もしそれを読んで気になったなら、ぜひともウィリアム・ギブスン、ブルース・スターリング共著の『ディファレンス・エンジン』も読んでみてください。サイバーパンク作家でありながら、彼らの手によって描かれる仮想19世紀ロンドンはとても臨場感があります。こちらは前述のチャールズ・バベッジによる階差機関が完成した世界を恐ろしほど精密に描いており、多くのスチームパンク作品に影響を与えたものです。どことなく内容はサイバーパンク的ではありますが、十分にレトロフューチャーを感じ取れる名作だと思います。スチームパンク的要素を取り入れた魔法やら異世界やらなんでもアリな世界観が楽しみたい方は、チャイナ・ミエヴィル著『ペルディード・ストリート・ステーション』もおすすめです。

この記事を読んだクリエイターの方が少しでもスチームパンクが持つ説得力のあるSFの魅力に気づいていただけることを祈っております。

toiawase-1024x226-1

この記事を書いた人

» 詳細プロフィール