本日2016年2月2日の日経新聞に「成功する転職(上) 私の秘訣 興味に合う業種選択/海外取引の経験訴え」という記事が掲載されていました。読んでみて同意できる部分、同意できない部分、アニメゲーム漫画業界向けにカスタマイズして伝えたい部分があったので、ラクジョブ新聞でも取り上げたいと思います。
転職を考えている人であれば、誰しも転職することで実現したい未来、叶えたい希望があると思います。しかし、世の中には、転職したとしても希望を叶えられない、あるいは希望を叶えたとしても転職してしまう「失敗する転職」があります。転職を考える際に、「次も転職するだろうけど、とりあえずここにしよう」と考える人は少ないと思います。もしそう考えてしまっているのであれば、その考えは改めた方がいいと断言します。
こちらの記事にも書きましたが、統計的に転職は回数を重ねれば重ねるほど生涯賃金が下がりますし、転職回数の多い人はどんなにできるそもそも選考対象外になってしまう可能性が高くなってしまいます。採用したとしてもすぐに辞められてしまっては企業の側としても困ります。できるだけ長く在籍して価値を出し続けてくれる人を採用したいと考えるのは当然のことです。そしてそれと同じくらい、これを最後の転職にしようという覚悟もない人が転職に臨むことも恐ろしいです。「転職できた。これで安心」と思っている人ほど、また転職を繰り返してしまう可能性が高いということです。
天職思想の転職が失敗の原因です
転職を繰り返してしまう人はどこかに楽な仕事がある、自分に合った天職があると思っています。しかし、楽で給料がいっぱい出てストレスフリーな職場なんてどこにもありません。あるとしたらみんなそこに就職転職したがります。大手が集まりやすい、客観的に人が定着しやすいというような傾向はあるにしても、誰もがそこで働けば幸せになれるというものではありません。
どんなに大手の会社の良いポジションからでも転職したがる人はいますし、どんなに楽な仕事ができる会社にいても楽過ぎるからという理由で起業した会社も知っています。先日も、10年間「アイドルマスター」の総合プロデューサーを務めた石原章弘さんが、バンダイナムコエンターテインメントを退社するとのニュースもありました。小島秀夫さんや稲船敬二さんを始め、どんなに大手の会社で大きな仕事をしている人でも辞めるときは辞めてしまいます。
働き続ける理由がある人は働き続ける
逆に働き続ける理由がある人は、どんな環境でも働き続けます。バブル時代の大手企業では、会社を辞めさせないために上司が若手社員に縁談を設けるという話も珍しくなかったはずです。「守るものがある人は強い」というのは、アニメゲーム漫画でよく聞くセリフですが、やはり守るべき家族がいる人の方が、仕事でもちょっとやそっとではへこたれません。
家族がいるいないという話は、業界関係なく全ての仕事に共通することになってしまうので、もう少しアニメゲーム漫画業界によって話をすると、作りたい作品があるかどうか、その会社にやりたい仕事があるかどうかがカギになります。
浦沢直樹が33年間で3万ページ描き続けられた理由
2016年2月号の美術手帳には、浦沢直樹さんの初の本格的個展「浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる」にちなんだ浦沢直樹特集が組まれていました。浦沢直樹さんはこれまでに33年間で3万ページ以上の原稿を描いてきたそうです。名古屋造形大学マンガコースの学生に向けた講義の中で、プロのマンガ家になるために、白紙を埋めるために、漫画を描くエネルギーを生み出すために、確かめてほしいことがあると言っています。
“さて最終的に白紙をちゃんと埋めるための原動力についてお話します。まず、みなさんがなぜこの学校に入ったかと言えば、マンガが好きだからでしょ。そのマンガに対してちゃんと憧れがあるかどうかもう1回確認してください。もし、憧れが薄らいじゃっていると思ったら、新しいものをどんどん見て、土台となる憧れる気持ちをガッチリ作ってください。あこがれる気持ちがしっかりしている人は絶対にぶれないですから。ぼくは中学生のときに手塚治虫の『火の鳥』を読んで、その感動だけで、今も生きている人間です。『火の鳥』のような漫画を一生かけても描くぞと。あんなもの描けるわけもないし、たどり着けるわけもないんですけど。『火の鳥』という作品を北極星のようにして、あそこに背かないように生きるって決めたんです。”
クリエイターの魂覚えていますか
先日とある開発会社さんからデザイナーを採用したいという相談を受けました。その会社はメーカーへ直接企画を提案してプロジェクトを推進している会社でした。その会社では、すぐに辞める人とずっと続く人で分かれるそうです。続く人続かない人のそれぞれの特徴を聞いたら、「クリエイターとしての心を忘れていないかどうか」という回答をいただきました。
どういうことかというと、クリエイターとは何か作り出したいものがあったからクリエイターなはずなのに、いつの間にかクリエイターとは作る技術を持っている人を指す言葉になってしまったと、作る技術は後からいくらでも磨くことができるけれども、そもそもその人が本当にクリエイターとしての心を持っているかどうかは採用してからどうこうできるものではないと言っていました。
まずはしっかり自分の土壌を作ってあげてください
ラクジョブを運営していてもやはり一番強く感じるのはその部分です。アニメゲーム漫画を作るということは、確かに仕事ではあるのだけれども、自分自身でも仕事を通して成し遂げたいもの、作りたい作品があるかどうかが大切なポイントです。だからこそ転職を考えるときには、「これがやりたくないから、これが嫌だから」という理由ではなく、「これがやりたいから、これができる会社だから」という理由をまず見つけることが大切なのではないでしょうか。そのためには、色々な作品を見てもいいですし、色々な人の話を聞いてもいいと思います。自分の中に見つけられないのであれば、外から様々な情報を取り入れて、自分の中に土台を作ることがまず必要です。
土台が固まったと思ったらぜひラクジョブに掲載されている求人情報をご覧になって、会社に応募してください。面倒に思うかもしれませんが、仕事を選ぶことは人生の重大な選択の一つです。面倒に思えるくらいにはしっかり考えて行動しないと、転職にも失敗して結局人生の大きな損になります。転職はできる期間もできる回数も限られています。土台を作り上げた上で後悔のない転職ができる方が一人でも増えればと思っています。