DMMゲーム PCエロゲ ブラウザエロゲ全盛期にPCゲーは生き残れるのか?

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本日のお題はエロゲです。「エロゲ」という呼称は既に「PCソフトの18禁美少女ゲーム」を指すものとなっており、DMMにより大半が配信されているブラウザゲームのエロ要素があるゲームについては「DMMの18禁ゲーム」と呼ばれるようになっています。似ているようで異なるこの2つの独自文化の行く末を追いました。

81YaFmDuOWLブラウザエロゲはPCエロゲ会社の制作ではない

世はブラウザゲエロゲ黄金期ですね。PCエロゲの黄金期を知っている者としては少しさびしいような、かと言えエロ案件なのであまり大きな声で主張や議論も出来ず歯がゆいような思いです。近年発売された理想的な参考文献『エロゲー文化研究概論』にもありますが、PCエロゲの黄金期はまさに2000年代前半でした。ニトロプラスのデビューやKeyの代表作ともなったAIRなど、「名作」と言われる作品が頻繁に発表されました。

いわゆる「アダルトゲーム」は、その数だけで言えば現在が最もピークでしょう。しかしその大半を占めるブラウザ美少女ゲームは、かつてのPC美少女ゲーム会社によって作られたものではありません。そういったゲームの運営会社の名前がわかったところで、検索しても詳細が書いてあるHPなどが出てくる例は少ないでしょう。DMM18禁ゲームの制作・運営会社は、全年齢向けスマホゲームアプリ等を制作している開発会社の別名義です。表だって18禁ゲームを開発している旨をHP等に書くと、経営上出資を受けにくくなるなどの弊害が発生するために、全く同じスタッフで別会社を作り、そちらで請け負うという形を取っているのが殆どなのです。

alicePC美少女ゲーム会社がブラウザエロゲを作らない理由

一方でPC美少女ゲーム会社は、今でもPCに対応した美少女ゲームを制作し続けています。ブラウザゲームが台頭する中、かつての名作を生み出した会社が倒産、解散するという話題もこれまで多々ありました。DMMで過去作品のダウンロードをすることができるようにはなりましたが、取引先のPC美少女ゲーム制作会社さんの声を聞く限り、それが大きな売上になっている、という訳では無いそうです。

PC美少女ゲーム会社がブラウザのエロゲ制作に乗り出さない理由はいくつかあります。私が取引先の会社さんに伺った例だけでも「長いファンが『ソシャゲなんかやりやがって』と離れる」「制作のテンポが違いすぎる」などのご意見がありました。DMMのアダルト向けブラウザゲームを遊んだことのある人にはわかるかもしれませんが、ソシャゲとPCアダルトゲームは全く構造が違います。簡単に言えば前者は定期的な課金というスタイルですが、後者は一度購入してしまえば主な課金は必要としません。

「ソシャゲ」として成立しているゲームのテンプレートは「ガチャ」など一定の課金推奨システムがありますが、PCゲームには必ずしも課金をしなければ次に進みにくい、といったような要素はありません。そのため一気にまた、先の会社さんへのヒアリングにもあったように「ユーザーからの反発」も1つの理由となるでしょう。アリスソフトのブログでは去年11月に更新された「【ハニワ開発室】売り方の未来」という記事で、開発側がユーザーの声を聞きながらソシャゲに踏み込むことの怖さを語っています。

ソシャゲは新規のお客さんが付くまたとないチャンスです。しかし彼らを飽きさせないように運営する手間や既存顧客が失われてしまうリスクを考えると、顧客の少ないPCエロゲの制作に集中する結果となります。PCエロゲは元々コアなファンに向けた制作を行っていますが、DMMの18禁ゲームは広告をフルに使い、一般ユーザーをも引き入れています。ビジネス的に後者の方が可能性に満ちているのは明らかです。

asagiPCエロゲ会社がソシャゲで生き残る道

しかし、PCのエロゲ会社にも少数ながらソーシャルゲーム制作/運営に乗り出した会社があります。例えばインフィニブレイン(リリス運営会社)の「対魔忍アサギ〜決戦アリーナ〜」やチャンピオンソフト(アリスソフト運営会社)の「新訳闘神都市~Girls Tamer~」は、PC美少女ゲーム会社がDMMに発表した/する予定のオリジナルブラウザ美少女ゲームです。この他にもネクストン(Baseson運営会社)の「恋姫†夢想 三国コレクション」などPC美少女ゲームの有名作品がDMMに出る例はありました。

しかし、これらの作品は必ずしも全てがPCエロゲ会社自身によって運営されているわけではありません。中には版権を貸し出して、開発や運営は別会社に任せている例もあります。同じように自社オリジナルタイトルとしてDMMにブラウザ美少女ゲームを発表した某PC美少女ゲーム開発会社様の中には、「運営があまり良くないために、結局短期間で閉じることになってしまいました」という方もいらっしゃいました。ファンはただ「ゲームが遊べれば良い」のではなく、歴史あるブランドであれば「その会社の魂が入ったゲームを遊びたい」とどうしても思うものです。

Fotolia_61261057_Subscription_Monthly_MPC美少女ゲームは、こういった業界全体の空気や流れから、一斉にソーシャルゲームへと移行することは無いでしょう。しかしかつてに比べ厳しくなって行くエロゲ市場の規模を考えると、本当にエロゲを愛している運営が版権側と精神的にタッグを組んで、完成度の高いソシャゲを作り出す・・・という事をしない限り、PCエロゲとブラウザエロゲは永遠の平行線を辿ってしまうような気がします。またはリリス自身が運営している「対魔忍アサギ〜決戦アリーナ〜」のように、ブランドメーカー自身が運営するというのが最も理想的かと思います。ラクジョブにもたびたびエロゲ会社の求人が掲載されますが、せっかくこの業界に興味を持っているのであれば、こういった業界の状況を一度俯瞰するのも大切な就転職活動の一部です。

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