ラクジョブでは、求職者の方からのご質問に不定期でお答えしています。
本日のご質問はアニメ業界でのプロデューサー職についてです。
【ご質問】
アニメ業界についての質問です。自分は現在、地方の大学に通っています。
アニメを制作する際、どの小説や漫画を原作とするのか決定したり、どのようなオリジナルアニメを作るのか計画を建てるのは監督なのでしょうか、それともプロデューサーでしょうか?
またそのような職種に就くために、まずは制作進行として入社するべきだという話はよく聞きますが、新卒で正社員として入社するのはどのくらいの難易度なのでしょうか。
ご回答よろしくお願いします。
【回答】
この度はご質問をいただきありがとうございます。
ご質問が2点ございましたので、順番にお答え致します。
1.アニメの製作で、企画を立てるのは誰でしょうか?
→こちらはプロデューサーです。中には監督が持ち込み企画をする場合もありますし、ゲームメーカーや出版社などがお金を用意した上でアニメ会社に発注をかける場合もありますが、アニメ業界内に限ればプロデューサーが決めていると考えて良いでしょう。
ただし、アニメのプロデューサーというのは実は2種類あります。それは「製作側プロデューサー」と「制作側プロデューサー」です。言葉の響きだけは同じなので、ちょっと混乱するかも知れません。
「製作側」は、アニメの予算を決めたり、企画内容を決めて、ビジネスとしてのアニメが回るようにする人を(ざっくりと)指します。ジブリの鈴木敏夫さんが有名ですね。鈴木さんは、ジブリ作品に出資する会社を決めたり、宣伝方法を考えたりしています。
「制作側」は、アニメの制作現場でスケジュール管理等を行う人です。彼らはアニメのスタッフ等を決めたりと、かなり制作の中心的な部分を担います。裏方のイメージがあるかも知れませんが、彼らがいないと無事にアニメが完成しません。
今回ご相談にあったプロデューサーは、どちらかというと「製作」側です。もちろん「制作」側もできないことはありませんが、その場合は基本的に持ち込みでアニメの企画を立案する形になります。また、どちらであれ必要とされるスキルは「何故このアニメが儲かるか、数字を交えて論理的に説明出来る」という能力です。
制作進行として入社した上で目指せるのは「制作」側のプロデューサーであり、「製作」側のプロデューサーになるためには、映画等の配給会社に入ってプロデューサーを目指した方が良いでしょう。また、そういった会社は経験者募集しかしていない事が多いため、他社(出版社やコンテンツ会社)で宣伝や法務、企画といった仕事を行い、プロデューサーになるためのスキルを磨いてから転職をするという手もあります。大体20代後半くらいまでに経験を積めば、転職するタイミングとしても良いでしょう。勿論「制作」プロデューサーから転職するというのも、歓迎されます。
2.新卒で正社員として制作進行として入社するのはどのくらいの難易度か。
→これは「制作」側のプロデューサーを目指す場合の話ですが、実はそもそも新卒募集を行うアニメ会社は多くありません。
現在ラクジョブに載っているアニメ会社さんの中でも、10社に1社あるかないか、といったところです。
これは「経験者でないと回らないくらいにアニメ業界の現場が今忙しい」からです。また、未経験者がすぐに辞めてしまうから、というのも理由の1つです。
そのためこれもどこかで経験を積まなければいけない、ということになりますが、その場合お勧め出来るのはTV番組の制作会社など、少し近い業界のADのお仕事です。
忙しさではアニメ業界の比ではなく、即時対応が必要な緊急度の高い案件も多数抱えることになるためかなり鍛えられ、同時にそういった経験がアニメ業界で重宝されるからです。
どうしても険しい道のりのように思えるかも知れませんが、実際アニメプロデューサーというのは責任が重いだけあってかなり険しい仕事です。
以前、某大手配給会社でヒット作を何本も作っているアニメプロデューサーさんからお話を聞く機会がありましたが「何本やっても、必ず直前で想像もしないような事故やトラブルが起きる(完パケデータが消失する、重要なスタッフが失踪するなど)ので、徹夜は当たり前になる」といった話をしていました。それでもアニメプロデューサーをしているのは、彼らがアニメを好きだからです。
アニメ業界は誰かが背負って行かない限り、当然ですが縮小し、消失します。
覚悟を持ってアニメ業界を目指してくれる人材を、アニメ業界は常に待っています。時間はかかっても、そういった人材として活躍したい、という意気込みは一番重要なものです。ご質問者様が業界に名の轟くプロデューサーになるよう、願っております。