ゲーム アニメ プロデューサー、ディレクター、プランナーが知っておくべき、見積もり方法、人月単価と個数単価とディレクション料の有無による影響

アニメ制作、ゲーム製作、映像制作において、他者に発注する場合、必ず見積もりを取ると思います。その見積もりの出し方は職種や、会社によって算出方法が違います。今回は、「個数単位」の支払いと「人月単価」の支払いの方法とディレクション料の有無での影響に関して書きたいと思います。

shutterstock_170954660クオリティー管理と納期管理のための外注

アニメ制作、ゲーム製作、映像制作において、パブリッシャーは多くの外注を使いながら作品制作を行っております。いくつも動いているラインの状況を見ては、外注先とのやり取りをする人が、適宜、外の会社に発注することで納期に間に合わせたり、クオリティーを上げるために不得意な分野を外部の会社に委託するということです。外注担当は、発注の際、いくらかかるかということがクオリティーと共に最もきになるところだと思います。そのため発注したい会社に関してはどれくらいの予算感になるか見積もりを取るでしょう。

個数単価と人月単価

まず人月単価に関しての説明です。
引用元 Jr Frederick P. Brooks 著 「人月の神話—狼人間を撃つ銀の弾はない」
引用始め
「人月」について誤って認識している人々が多い。人月とは見積もりとスケージューリングに使われる仕事の他院である。「コストは実際に人数と月数の積に比例する。が、進捗はそうではない。したがって、仕事の大きさを測る単位としての人月は、疑うべき危険な神話なのだ。人月とは、人と月とが互いに交換できるという意味だからである。
引用終わり

この人月単価の考えは、ゲーム作りでのプログラミングや3DCGデザインやアニメーション、あとは出向先に出向いてやる場合が多いです。

shutterstock_340408817人が作るものに同じできになるものはない

この文から何が言いたいかというと、確かに人月とは、人数と月の積によって導かれる仕事量を示しています。ただこの関係性を成り立たせるためにはある一つの条件があります。それは、仕上がってできたもののクオリティーが全て同程度でなければならないということです。例えば、同じ期間に同じだけの工数をこなせるクリエイターが2名いるとします。その人たちが同時に作業を開始し、同時に作業を終えたとしましょう。その時の完成物のクオリティーは果たして同じになるでしょうか。

3DCGで考えるならば、1体ずつ、同じ期間で制作しますが、全く同じものを作るということはありません。できたものを複製すればいいのですから。しかしながら、キャラクターのテイストは一つに合わせる必要があるためクオリティー管理をする必要が出てきます。加えて、そのディレクションの量というのは物量に比例します。

例えば、2人月分の仕事と4人月分の仕事があったとしたら、当然ディレクションの量は2倍になります。それに1ヶ月2名分の量だとしてもだとしても期間が半年ならどうでしょう。投入する人数を倍にし、かつディレクションをする人は半分の期間でクオリティーの調整をしなければなりません。そのためにクライアントが満足するほどのクオリティーを期間名に満たせないというリスクが出てきます。最終的には、ディレクション料は、人月単価とは別で計算する必要があるのです。

shutterstock_180412940一方、個数単価の場合は、よくイラスト制作会社にありますが、一枚、◯円、◯枚をいつまでに納品という形となります。この場合のメリットは、期間で区切っている人月単価と違い、個数で管理するため、クライアントのクオリティーを上回ったものから納品できます。その代わりとして、テイストの調整やクライアント側にアートディレクターなどのディレクションの人がいるかを確認する必要があります。もしいない場合や仕事を受ける側でやらなければならない場合は、多くのチェックバックが考えられるので、その点を含めて、総額が見合うか計算する必要があるでしょう。

shutterstock_1045882702つの視点を持つべき

人月単価にしろ個数単価にしろ、ディレクション有りであれば、物量や期間によって、管理にかける負担は大きく変わります。そのため、ディレクションにどれほどの負担がかかるかも想定に入れて見積もりを出すことが大切です。そこでディレクション料の目測を誤ったり、これくらいならなんとかなるだろうと安めの予算をつけてしまった場合、思わぬ炎上になったり、経営の首を絞めてしまったり、社員の疲弊を招いてしまうことになります。

そのためにも、ディレクションの有無の確認とディレクション料への正当な評価が求められます。あとは、要望の変化による大幅な仕様の変更があった場合、追加料金を取れるように確約をとっておきましょう。業界ではよくあることですが、大幅なやり直しは、クリエイターの体力的にも精神的にも大きな負担になります。そのためにも、大幅な仕様変更には追加料金がかかりますと言い、無茶な変更をさせないためにも予防線を張っておきましょう。受注する前に、いかに外注担当との意識の差をなくせるかがその後の取引のトラブルを防ぐことにつながります。これらのことが、プロデューサーやディレクター、プランナーとしては持っておかなければならない視点となります。

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