ラクジョブでは不定期で会員の方からご質問を受け、お答えしています!
皆さんにもお役立て頂ければ幸いです。
【ご質問】
今は学生をしているのですが、絵とは全く違う学校に通ってます。
しかし、高2からデジタル絵をしだして趣味でよく絵を描いてるのですが、趣味を仕事にしたいと思い始めました。
独学でもできそうな仕事はありますでしょうか?
イラストやキャラクターデザイナーをやってみたいのですが…。
【ご回答】
この度はお問い合わせを頂き有り難うございます。ラクジョブの平田と申します。
まだ学生ということでしたので、就活は少し先の話かも知れませんが参考になれば幸いです。
ラクジョブはアニメゲームマンガ業界に特化した求人サイトですが、実はその内「イラストレーター」「2DCGデザイナー」といった職種に就きたい、という方が会員の1/3くらいを占めています。特に日本はアニメやゲーム、漫画といったものに対して敷居が低く誰でもすぐに絵を趣味で描き始められる環境だからかと思います。
さて、まず「もし絵の学校に通っていたら絵を仕事にできるか」というお話をしましょう。
「日本労働研究雑誌」に掲載されている「芸術系大学出身者と労働」という文章を参照すると、芸術関係学科の卒業人数は年々右肩上がりに増えており、2012年3月の段階で16,000人という人数になっています。その内美術系の卒業生は約6000人。
更にイラスト系の専門学校は日本中に約95校ありますので、イラストや美術系の仕事を目指す人達の数は毎年総勢で7000人前後いるということになります。
これに対して現在ラクジョブが日本中のアニメゲームマンガ業界から集めてきている「アニメーター」「2DCGデザイナー」「イラストレーター」求人情報は総数1882件。・・・つまり「絵と関係ある学校」に入っていたとしても、イラストのお仕事に必ず就けるとは限らないのです。
はい。シビアな話をしましたね。これは何故かといえば、「イラスト関連の仕事はかなりシビア」という現状を知らないままにとりあえずで就職を目指すと、思っていた以上に地獄だからです。
それでは独学の人材には全く望みは無いのでしょうか?というと、そうではありません。
どうしてもこの業界では「美大出身」というわかりやすい肩書きに惹かれる人事担当者が多いのは事実ですが(美大はそもそも入学のために相当の技術を必要とするからです)、言ってしまえば実力を重視される世界なのです。つまり、「美大出身と同じかそれ以上に上手くなればOK」ということです。
無理だ!!と思うかも知れません。しかしよく考えてみて下さい。美大に行く人は特別センスがあるとか、才能に溢れているから行くのではなく「ちゃんと勉強している」から行くのです。国語や数学を勉強しないで高校受験をするのは無謀ですが、そういった「勉強すべき部分のルール」さえわかっていれば同じ土俵には充分乗れるのです。意外とイラストレーター系を目指している独学の人達はそこを知らなかったりするので、「なかなかイラストのスキルが伸びない」「外から見るとそんなに上手く見えない」ということになってしまうわけです。
では就職先の人事担当者が重視するのは何でしょうか?
それは1にも2にも基礎です。「絵の基礎」とは、デッサン。もうほとんどデッサンだけと言っても良いんですが、他にあるとすれば「絵柄を変えられるか」「塗りを変えられるか」「センスがあるか」といった事でしょう。しかしこの辺りは相当先の話。まずはデッサンです。独学もまずはデッサンから始めて下さい。
ある、キャラクターデザインまで全てイラストレーターに任せているというゲーム会社さんでは、メインイラストレーターを採用するポイントとして「正直、デッサンを見ています。対象の骨格さえ取れていれば、その人は上手いか分かりますから。」という話をされていました。それほどに奥深く大事で、大変ということです。
独学というのは、自分の見える範囲だけではどうしても無理があります。勉強のための本は沢山ありますが、個人的な趣味でお勧めさせて頂くとすれば成冨ミヲリさんの『絵はすぐに上手くならない』は、今お話ししたようなことがもっと丁寧に書いてあるのでとてもお勧めです。リクノさんの『アニメーターが教える線画デザインの教科書』シリーズなども初心者にはとても勉強になります。人体を極めたい場合は、『アーティストのための美術解剖学』や、最近プロの間でも話題になった『スカルプターのための美術解剖学』(どちらも邦訳されていますが海外の本です)、また最近Pixivでよく広告されているtoshiさんの『ゼロから学ぶプロの技 神技作画』なんかもイラストをやりたい人には役に立つかと思います(が、最初っから普通に人体がソラで描ける前提な感じになっているので、美術解剖学を参照してから見る事をお勧めします)。
・・・・・・以上、なんかえらく長くなってしまいましたが、他の仕事も同じように、イラストの仕事もプロになるまでは本当に大変なのです。世の中のイラストレーターの裏にある勉強や努力はかなり泥臭いものです。しかし、その地道なプロセスを面白いと思える人はきっとみるみる成長するでしょうし、将来も開けてくると思います。せっかく目指すのであれば、世界が目を見張るようなイラストレーターになって下さい。
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