アニメゲーム漫画業界で就活する新卒に知っておいてほしい、会社が求める人物について

hyo04企業は毎月20万円払ってでもあなたを採用したいと思いますか?

画像は厚生労働省の平成26年賃金構造基本統計調査結果(初任給)です。クリックすると大きな表が見れます。

アニメゲーム漫画業界は特に新卒での就職希望や他業界異業種からの中途転職希望が多いです。「何がやりたいか改めて考えたら、昔から好きだったアニメゲーム漫画に関わる仕事がしたいんだということに気づきました」「別の業界で働いていましたが、働いてみてやっぱり自分の好きなアニメゲーム漫画で再チャレンジしたいと思いました」という声をよく聞きます。

もちろんそれが悪いとは言いません。しかし、そもそも採用する企業側からすれば、入社理由なんて何でも構いません。企業が見極めようとしているものはその人がどれだけ会社に貢献して、成果を出してくれるのかという点のみです。どんなにやる気があっても、お金になる仕事ができないのであれば採用できませんし、やる気やモチベーションがない人でもめちゃくちゃ仕事ができる人であれば採用します。もちろん一人で仕事をするわけではないので、職場の雰囲気を悪くするような人はマイナスポイントです。いい人が採用できたところで、その人が原因で別の人が辞めてしまっては意味がありません。

何はともあれ経営者が採用を損得勘定抜きに決定することはありません。厚生労働省の平成26年賃金構造基本統計調査結果(初任給)によると、大卒の新卒の給与は約20万円です。毎月20万円のも出費がかかる決断をするのですから並大抵のことではありません。費用だけでいったら結婚するよりも毎月の出費は増える選択でしょう。ならば、新卒で就活をしている人はそれだけの価値が自分にありますとアピールする必要がありますが、果たしてそこまで考えて、応募、面接をしている人はどれだけいるでしょうか。

51x2A0PyXOLDeNAの南場さんも感じている新卒への違和感

DeNA創業者の南場智子さんが「南場智子のDNA 私の仕事哲学  ~『不格好経営』のその後~」という記事でビジネスパーソン向けの記事を書いています。その中の文章を引用します。

“入社1年目の社員を集め、1人ずつ自分の1年を振り返ってもらったことがあります。1人の女性社員が「こんな仕事を任されてモチベーションが上がり、その後こんなことでモチベーションが下がり…」と自身のモチベーションの変遷を発表しました。我慢して最後まで聞いていた私に「給料をもらって仕事をしている自覚がないのか」と厳しく問われ、後で泣いていたようです。その後その社員はまぶしいほどたくましく成長しましたが、「モチベーション」という言葉を若い人から聞くたびに違和感を覚えます。もちろん体調やパーソナルな事情で、仕事に向けてテンションを上げにくい時もあるでしょう。でもそれは口にしてはいけないことではないでしょうか。打席に入ったプロ野球の選手が、「今日はモチベーションが上がらないなぁ。打つ気が起きない…」などと言ったらプロ野球人生は終わりです。ビジネスパーソンもほかの職業も、報酬をもらっている以上、その厳しさを持つべきと考えます。これがプロフェッショナリズムの基本です。”

これが世界に羽ばたくベンチャー上場企業の創業者が考えている普通です。学生でベンチャーを目指している人は、ベンチャーの方が自分に合っているからという理由でベンチャーを選ぶようなことはしないでください。厳しい言い方かもしれませんが、あなたが気持ちよく働ける会社を選ぶのではなく、あなたに価値があるからうちで働いていいよという意味であなたが選ばれるのです。あなたのために会社があるのではなく、会社のためにあなたがあります。その前提を受け入れられないと、働き始めてもすぐに「つらいからやめる」と言ってしまいます。でも考えてみてください。月に20万円もらえる状態であり続けると気持ちよく働き続けるを両立させるのは並大抵のことではありません。もちろんできないとは言いませんし、それを両立できるのであればそれに越したことはないでしょうが、難しいことは確かです。

shutterstock_157534280相手のためになることを考えて行動する

では、どうすればいいのか。その答えの一つは相手のために働くことが自分にとって良いことになることです。こういう言い方をすると相手に利用されているかのように考えるかもしれませんが、例えば恋愛に置き換えてみると案外普通のことです。相手が喜ぶために何をプレゼントしたらいいか、どこに連れて行ったらいいか、どれくらいの頻度で連絡を取ったらいいか、相手を満足させつつ自分も満足するためにはどうすればいいか、色々と考えて行動すると思います。相手のためになることを自分の時間やお金を割いてもできることがなぜか仕事だとできなくなります。たまに仕事大好き人間という言葉も聞きますが、対象が人であろうと仕事であろうと尽くす姿勢がある人がそのように呼ばれるのかもしれません。

shutterstock_124296229大切なのは楽しみたい気持ちではなく作りたい気持ち

さて、アニメゲーム漫画に話を戻すと、アニメゲーム漫画を仕事にしたいという人が大勢いますが、アニメゲーム漫画業界で自分が働くことがプラスになることを主張して納得させられている人はほとんどいません。アニメゲーム漫画作りは専門職で職人芸に近いものがあります。アニメであれば、絵を描きますし。ゲームであれば絵を描いたりプログラミングをしたりしますし、漫画であれば絵を描きます。しかし、絵を描くのが上手いからアニメゲーム漫画業界で働きたいという人やプログラミングができるからゲーム業界で働きたいという人は少数です。気持ちだけの人がほとんどです。企業が求めているのは気持ちをエネルギーに行動して結果を出すか実力を身につけている人だけです。好きな気持ちがいけないとは言いませんが、好きだけでは片思いになってしまいます。好きならばこそ行動して自らの努力で仕事勝ち取っていただければと思っています。