秋葉原でのアニメの映画産業に関して考えてみた

2016年初旬、秋葉原では、このようなイベントが催されました。

今回のイベントの実行委員長の青木 龍馬氏(一般社団法人 千代田産業振興協会)曰く、現在、秋葉原には、UDX THEATERなどの試写会場はあるものの、映画館がないということを言っていました。しかしみなさん、秋葉原にも映画館があったことはご存知でしょうか。実は、2015年の5月にアニメ専門ミニシアター「秋葉原オリエンタルコミックシアター」という施設が存在していました。

akihabarahttps://www.style.fm/log/02_topics/top040521a.html

■上映作品
[オープニング特別上映]
『真月譚 月姫』全話上映(5月21日~6月11日)
[アニメ100日マラソン パート1]
「梅津泰臣監督特集」(6月12日~6月19日)
『MEZZO FORTE』+『カイト A KITE』、『MEZZO』全話上映
「BURN-UP特集」(6月20日~6月26日)
『BURN-UP SCRAMBLE』全話上映、『BURN-UP EXCESS』全話上映
「ガイナックス20周年記念」(6月27日~7月4日)
『この醜くも美しい世界』1~6話、『忘却の旋律』1~6話
『ロボットカーニバル』『MEMORIES』上映(7月10日~7月16日)
 ほか、「ガンダム25周年記念」(7月17日~8月14日)、「イデオン特集」(8月1日~8月14日)、「サクラ大戦特集」(8月15日~8月21日)を予定。
 料金、チケット販売方法、各種サービス、詳細な上映スケジュール等は下記関連サイトまで。または「アニメ100日マラソン・公式ガイドブック PART1」(ABC出版より発売中)を参照。

オープニング作品で、TYPE-MOONのアニメ作品『真月譚 月姫』の一挙放映やアニメ100日マラソンなどの奇抜な企画で話題性はありましたが、来場者数が伸び悩み、半年間で倒産することになってしまいました。では、どのような経営だったらよかったのか個人的な視点ではありますが、検証してみました。

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配信元 https://withnews.jp/article/f0150916004qq000000000000000W00b0201qq000012525A

どんな人がアニメを見てくれそうか?

千代田区は丸の内や霞ヶ関といった地名からオフィス街と思っている人も多いかと思いますが、御茶ノ水や神田、神保町周辺は日本最大の学生街になります。よく、茨城県つくば市が研究学園都市と呼ばれているため多区の大学があると思うかもしれません。

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配信元 https://eduon.jp/school/university/

ただ実際の数を調べてみると、つくば市にある大学や短期大学は5校、千代田区はその4倍の約20校もの大学や短期大学が存在します。さらにここに専門学校などを加えればその差はさらに大きくなるでしょう。私もそのうちの1校の大学に通っていたので、よく授業の休み時間は、漫画を買いに行ったり、ゲームセンターに遊びに行ったりということをしていました。そのため、秋葉原周辺には、夏休みと年末年始を除けば、18歳から20代前半にかけての人口が多くいます。

路線ではどうか

現在、秋葉原には、末広町を含めて、6つの路線が通っています。中央・総武線(三鷹〜千葉)、京浜東北線(大宮〜横浜)、山手線(大崎〜大崎)、日比谷線(北千住〜中目黒)、つくばエクスプレス(秋葉原〜つくば)、銀座線(渋谷〜浅草)です。これに最近、上映されている「傷物語 鉄血編」の秋葉原に近い上映劇場の日本橋、新宿、池袋、錦糸町、西新井の配置を考慮すると、だいたい東は浅草や浅草橋、西は市ヶ谷、南は神田や子伝馬町、北は日暮里や南千住といった範囲が秋葉原の顧客となるので、先に紹介した神田、御茶ノ水、神保町周辺の学生層は取り込むことができるでしょう。

shutterstock_235504870どういう上映をすれば

ここまで、客層や地域でのニーズを見てきましたが、どのような作品を上映すればいいのでしょうか。「秋葉原オリエントコミックシアター」では、往年の人気アニメを中心に上映しましたが、それらの作品はすでに、DVD化されている作品ばかりで、それが好きな人は、すでにDVDを購入しているため、わざわざ足を運んで映画を見ないというのではという評価がありました。では、最新の劇場版アニメで埋めるというのはどうでしょうか。現在、劇場アニメの上映数は年々増え続けており、昨年では、OVAの先行上映も含めれば、100本を超えるまでになりました。そのため、同じタイトルを1週間だけ上映したとしても52本、2週間であれば25本、1ヶ月であれば12本で回せるでしょう。まあ、9時から23時までの開演時間であれば、2時間スパンで7回、上映できますし、人気タイトルが偏る時期もあると思いますのでそこは曜日や時間帯で上映のラインナップを変更しつつ対応できればいいのではないかなと思います。それに、学生街の特徴である土日の人口が急激に少なくなる現象もあるので、土日のラインナップに関しては、休日の秋葉原を訪れる客層を改めた上でラインナップを検討したほうがいいでしょう。

ざっくりとした分析で客層や地域性を検証してきましたが、何より日本のアニメ文化を最も色濃く表している秋葉原でアニメの映画が見れないことは、クールジャパン政策を世界にアピールしていこうとしている日本にとってマイナスなのではないでしょうか。冒頭で紹介した秋葉原映画祭をきっかけに秋葉原でのアニメの映画産業に関して目を向けるべきではないかとおもいます。まだまだ検証としては甘い面はありますが、参考になれば幸いです。

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