正社員になれないのは自己責任なのか? 内定 就活について考える

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正社員になれないのは100%自己責任なのか?そんなことはない!これは私が常々思い続けていることです。そして、これから書くことは就職を頑張ってる人自身もそうですが、それよりもそれを応援する親や先生にも是非読んで欲しいです。

私は大学を卒業し、最初に人材紹介会社・派遣会社のベンチャー企業に就職しました。そこで働きに働き、働きまくって年間4,000時間以上働き、取締役営業部長を勤めていました。そして今はラクジョブ運営会社であるビ・ハイア株式会社を創業して10年・・・新卒から数えると人材採用に関わって15年目です。そんな私は普通の人よりも圧倒的に多い『就職を希望する人』『転職を希望する人』をみてきました。ラクジョブを作ってからはラクジョブはアニメゲームマンガ業界に専門特化してるのでアニメゲームマンガのクリエイター、プログラマー、デザイナーさん等に絞られましたが、一般事務を応募する人、営業を応募する人、経理になりたい人等々。。。色んな人を見てきました。それこそ、数万人以上の履歴書を見てきました。多くの人が正社員になりたい、内定が欲しい、と望んでいました。

それと同時に、多くの人が

内定が取れないのは自分の努力不足だ

と感じていたのです。本当にそうでしょうか。私はそう思いません。厚生労働省のデータによると

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改善してきた正社員の求人倍率 平成 26 年度の有効求人倍率は 1.11 倍で、このうち正社員の有効求人倍率は 0.68倍となった。正社員の有効求人倍率は、他の雇用形態に比べれば相対的に低い水準にあるが、平成 21 年度の 0.26 倍から上昇し、前回のピークであった平成 18 年度の 0.63倍を超えた。

とあります。

クリックすると大きいデータが出ます

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有効求人倍率とは有効求職者数に対する有効求人数の比率です。簡単に言うと、この数字が高ければ高いほど、応募者よりも募集の方が多い、と理解して下さい。東京都は1.82倍で、一番低いのは鹿児島県で0.87です。これは、1人の職を探してる求職者に対して、1.82個の募集がある、という事です。逆に、鹿児島県は1人あたり0.87なので全員に対して仕事がない状況です。

つまり、『有効求人倍率は 1.11 倍で、このうち正社員の有効求人倍率は 0.68倍』というのは物凄く簡単に言うと、100人仕事が欲しい人がいたら仕事さえ選ばなければ『68人は必ず正社員になれるが、32人は必ず正社員になれない』と言うことだと思いませんか。もっとも、これは厚生労働省のハローワークのデータに過ぎないので、ハローワークのデータが大きく間違っていたら違うかも知れません。ただ、アニメゲームマンガ業界でもハローワークで求人を出してる会社は意外にありますし、データの母数が月間数百万単位なのでそこまでずれているとは思えません。

でも、多くの就活生、転職希望者は『68人は必ず正社員になれるが、32人は必ず正社員になれない』という世界だという前提で生きていません。いや、就活生の親たちですらそう思っていません。まるで、学校のテストのように『ちゃんと勉強すれば100点が取れる』と誤解してるのです。確かに、40人の学校のクラスがあり全員がしっかり勉強したら全員100点満点!というのは可能性として存在します。しかし、就職活動というのはそういう物ではなく、最初から100点を取れる人数が限られている世界、なのです。必死に勉強してもどれだけ勉強しても、最初から100点を取れない人が一定数存在する、それが『正社員を目指して就職活動をする』という事なのです。

この前提を知らないまま就職活動をしてしまうと、不当に自分自身を追い込んでしまいます。確かに勉強であれば100点が取れないのは自分の責任だ、と言えるかもしれません。もっとも、勉強ですら社会環境、親の年収など、明らかに本人以外の影響は存在しますが、就活よりは要素が低いです。学校のテストのような感覚で就職活動に望むと

ちゃんとやれば合格するはず

と思って頑張ってしまいます。しかし、ちゃんとやっても一定の不合格者が必ず生まれる世界、なのです。学校や親はコレを教えて欲しいと思います。身も蓋もない言い方なのですが、どれだけ頑張っても求める職に付ける人と付けない人がいる、それが社会なんだ、ということを数字を元に教えて欲しい。それを教えずに『ちゃんとやりなさい。』『しっかりやれば内定が取れる』などと応援してしまうとむしろ就職活動をしている人を圧迫してしまいます。

これは、アニメゲームマンガ業界に就職してからも同じ事が言えます。アニメゲームマンガ業界に入ったら当然、ヒットを生むことを期待されますし、自分自身もそんな夢を持っている人も多いでしょう。

大ヒットゲームパズドラ、ヒットは運だった?

大ヒットゲームパズドラ、ヒットは運だった?

パズドラのヒット、半分以上は”運”です 経営トップと開発責任者を直撃
https://toyokeizai.net/articles/-/14430
下記 東洋経済新報社サイトより引用

山本:半分以上は運だと思っています。どれだけ面白いと思うものを作っても、当たるかどうかわからないし、どのくらいゲームに共感してくれる人がいるかもわからない。

森下:運という言葉の裏には深い意味があります。ゲーム屋として当たり前にやるべきことをきちんとやる。ゲームは面白くてなんぼの世界なので、そこに徹底的にこだわって作り込む。

ただ、それを踏まえたうえで、世の中の流れであったり、タイミングであったり、さまざまな巡り合わせがある。ヒットしないこともありますが、それはゲーム屋として生きていく以上は、仕方がないです。

とあります。『ヒットは運』パズドラという超大ヒットを飛ばした会社の社長と、開発責任者の言葉です。そして、森下社長が言うように『運という言葉の裏には深い意味があります。ゲーム屋として当たり前にやるべきことをきちんとやる。ゲームは面白くてなんぼの世界なので、そこに徹底的にこだわって作り込む。ただ、それを踏まえたうえで、世の中の流れであったり、タイミングであったり、さまざまな巡り合わせがある。ヒットしないこともありますが、それはゲーム屋として生きていく以上は、仕方がないです。』は、まさに就職活動と同じでどれだけ真剣に努力をしてやるべき事をやり尽くしてもダメなときはあるんだ、ということです。

もし、アニメゲームマンガ業界に『しっかりやればヒット作が作れる』なんて思っている人がいたらそれはタダの思い込みです。それならその方程式に従って、成功法通り世の中にはヒット作だらけの筈です。その証拠に今、任天堂は苦境にあえいでいます。赤字決算もしています。多くの一流のクリエイターがあつまり、真剣にゲームを作っていても赤字になる。ヒットしない。アニメゲームマンガ業界の作品制作も、就職活動も、やるべき事をやり尽くしても、うまく行かないことがある、と言う世界なのです。

アンパンマンポータルサイトより引用

アンパンマンポータルサイトより引用

パズドラはゲームでしたが、マンガのヒット作、アンパンマンの作者であるやなせたかしさんも

つくづく思うんだけど人生の7割は運です。努力は1割かなあ。売れるか売れないかなんてものも本人の運。僕も風の吹きようでこうなった。でも、人生が運で決まるならばその運に巡りあうようにいろんなことをやらなきゃいかん。

「これはちょっと自分には向かないんじゃないか」

なんて考えないで、ただやることです。やっていくなかで巡りあう「人」がすごく大事なんです。僕の人生を振り返ってもそう思う。

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最高齢プロフェッショナルの教え 徳間書店取材班 (著)より引用。

やるべき事をやる。ただやる。ちょっと違うかなあ、どうかなあ・・・と悩む前にやりきる。それでも、運なんだ。そういうのがアニメゲームマンガ業界で、そして、就職活動も同じだと言う事です。勿論、パズドラのような大ヒット、アンパンマンのような作品を作る事と『正社員で就職する』は確率を比較しても正社員になる方が確率が高いと思います。

しかし、それでもどれだけやっても最後には『一定数しか内定が取れない』というのは変わりません。そういう前提であるということを受けいれて就職活動をして欲しいです。特に、何度も伝えたい事ですが、就職活動や転職活動を頑張っている人に対してこう言うデータを知らないまま親や先生が『頑張れ』と言って欲しくないのです。本人は充分頑張っている。それだけどどうしようもない、そんな状況なのかもしれません。

その時に『よくやってるよ。人事を尽くして天命を待つしかないよな』と優しく励ましてくれてご飯をおごってくれて好きなアニメやゲーム、,マンガの話をしてくれるのと『頑張れ!』と言われるのとどっちの就職活動中の人の心が安まるでしょうか。私は前者だと思いますし、そういう応援をしてくれてる人の方が冷静に、心を落ち着けて安心して就職活動が出来ると思いますから就職もうまく行くでしょう。

そして、周りにそんな人がいなくても、どれだけ頑張っても最終的に正社員に誰かがなれない可能性があるそれはあなたの自己責任ではない、充分頑張ってる、といいたくてこのコラムを書きました。アニメゲームマンガ業界のクリエイターになる人も、どこか別の業界で就職する人も、正しい意味で『どれだけ頑張っても最後は運だ』という認識を持って不当に自分を責めることなく、楽しく生きて欲しいと思います。

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