新年早々から転職を考え直す記事を書きましたが、その第二弾です。
第1弾の記事
でも書きましたが、転職は基本的に全国の統計でみると生涯賃金を下げる行為です。転職はしたい人がするわけですが、転職すること自体のリスクとリターンも考えないと単に職場が変わっただけで、働き方や人間関係、給料に至るまで何も変わらないという状況になってしまいます。下手すると生涯賃金が下がるどころかその年の収入、来月の給料まで下がってしまいかねません。
そもそもなぜ転職しようと思うのでしょうか。私も転職を2回経験していますが、よくある転社ではなく完全に転職しました。1回目の転職は若干転社に近い部分はあったものの、2回目の転職は転職と言ってふさわしいと思います。最初に入った老舗のIT会社では出向先でサーバーエンジニアをしていました。そしてずっと同じ作業に飽きてきたのと、暇で暇で仕方なかったので、次の会社は設立して数年のベンチャー企業にPHPプログラマーとして転職しました。そして技術力の高い上司が入社直後に退職し、プログラマーにも向いてないなと思っていたらラクジョブを立ち上げるという話を聞いて、年収も増やしたいし営業としてやってみようということで2回目に転職したのが今の会社です。2回とも違う仕事をしたいと思ったのが最初で、あとは年収も上げたいなという感じでした。
では転職理由の最新の統計を見てみましょう。このデータは厚生労働省が発表している平成26年雇用動向調査結果の概要です。
平成26年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由(「その他の理由(出向等を含む)」を除く)を性別にみると、男は、「定年・契約期間の満了」が 17.9%(前年 15.6%)と最も多く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が10.5%(同 10.4%)、「給料等収入が少なかった」が9.7%(同10.1%)などとなっている。女は、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が 13.5%(同 15.2%)と最も多く、次いで「定年・契約期間の満了」が 13.4%(同 13.7%)、「職場の人間関係が好ましくな かった」が 11.1%(同11.0%)などとなっている。「定年・契約期間の満了」の割合が多い年齢階級をみると、男は 65 歳以上で 71.3%、60~64 歳で59.2%、女は 60~64 歳で 46.3%、65 歳以上で 38.0%の順となっている。「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」の割合が多い年齢階級をみると、男は35~39歳で22.2%、 19 歳以下で 19.0%、女は 19歳以下で 18.9%、45~49 歳で 17.9%の順となっている。
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ラクジョブで最も登録者数の多い20~30代の転職理由を見てみると、男性の
1位は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」
2位は「給料等収入が少なかった」
女性の1位は
「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」
2位は「職場の人間関係が好ましくなかった」
となっています。男女ともに労働条件を気にしての転職を理由として掲げています。では実際に転職した先でどの程度労働条件が改善されたのでしょうか。もちろん改善されたという人もいると思います。ここは本人の感覚というよりも具体的に残業時間が何時間減ったとか、残業代がすべて支払われるようになったとか、休暇の取得率が3割増しになったとか、年収が何万円増えましたとか、具体的な数字での統計データがあれば、また追加で記事を書きたいと思います。この表から読み取れることは、転職理由の多くが条件面と人間関係ということです。逆にそれ以外何かあるのと聞かれそうなのですが、家庭の事情、疾患、事故、倒産などやむを得ない事情で転職する人もいます。そういったやむを得ない事情ももちろんこの表には書いていますが、会社都合や結婚が理由で転職する人は全体の1割未満、そこに契約期間の満了等を加えても2.5割未満です。転職する人のうち75%以上はやむを得ない事情ではない理由で転職しています。40代以上に注目してみると転職理由の多くは「定年・契約期間の満了」になっています。会社都合の割合も30代以下と比較すると一気に増えています。
それと同時に転職したときの賃金が上がったのか下がったのかについても見てみましょう。これも同じく厚生労働省が発表している平成26年雇用動向調査結果の概要に記載されています。
平成26年1年間の転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べ「増加」した者の割合 は 36.6%(前年31.8%)、「減少」した者の割合は 31.6%(同 33.8%)、「変わらない」とした者 の割合は 29.5%(同32.9%)となっている。「増加」のうち、「1割以上の増加」とした者の割合は 23.9%(同21.0%)、「減少」のうち「1割以上の減少」とした者の割合は 24.3%(同 25.6%)と なっている。前年と比べると、「増加」した者の割合は 4.8 ポイント上昇し、「減少」した者の割合は 2.2 ポイ ント低下した。これを年齢階級別にみると、50 歳未満の各年齢階級で、賃金が「増加」した者の割合が「減少」し た者の割合を上回っており、50歳以上の各年齢階級で、「減少」した者の割合が「増加」した者の割 合を上回っている。
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この表から見て取れることとして、男女とも30代までの転職は賃金が上昇した、変わらない、減少したという3つの回答のうち一番比率が高いのは上昇したと答えている人です。40代以上になると変わらないの比率が上がり、50代以上では減少したと回答した人の比率が最も高くなっています。つまり若いうちは転職して賃金をアップさせることも容易ですが、40代以上になってくると現状維持も難しくなってきます。
この二つの図表から読み取れることとして、そもそも転職をしないで長く同じ会社に勤めるほうが生涯賃金が高くなる傾向にありますが、それはずっと長く同じ会社に勤めあげることのできる会社にいて、その会社から必要な人材として認められているということが条件になります。たいていの人は会社都合の転職や倒産による転職も経験することになります。データを見る限り、30代以下は転職することにより当面の賃金は増加する傾向にあります。そして40代以降は望まない転職を強いられることになりやすいです。結局のところ長く勤めあげられること、若いうちに転職してしまうこと、どちらも大差はないということです。やむを得ない事情がない限りは、今の会社で認められ、いてほしいと望まれる人になりましょう。転職はその後したければしたらいいですし、以前よりも選択の幅は劇的に広がっているはずです。
今回使用した厚生労働省の資料のリンク先は下記です。
https://www.e-stat.go.jp/SG1/