ジョジョの奇妙な冒険第4部実写映画化!・・・でも何でこんなに実写映画化するの?

 2016-09-28 15.41.44三池祟史監督、山崎賢人主演のジョジョ4部実写化が発表される

皆さん既にご存じかもしれませんが、先ほどワーナーブラザーズジャパンからの会見で、「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」(通称「ジョジョ4部」)の実写映画化が発表されました。メガホンを取るのは三池崇史監督。漫画やゲームコンテンツの実写化という意味では「ヤッターマン」「土竜の唄」の他、同じワーナー配給で「忍たま乱太郎」を制作したこともあります。哀川翔の主演100作目となった記念映画「ゼブラーマン」や、携帯電話が普及し始めた頃に流行った「着信アリ」、ほとんどヒューマンホラーとも言える「藁の楯」「悪の教典」等も三池監督によるもの。かなり多作な監督です。皆さんも聞き覚えがある作品があったのではないでしょうか。特に「ヤッターマン」は再現度も高く人気があり、公開された2009年度の邦画興業成績ランキングでも第9位となる好成績を収めています。

それでも不安な「ジョジョ実写化」

それだけ実績のある監督なら安心してジョジョの実写化も任せられる!・・・という言葉は、しかしながらネット上に多くありません。三池監督の他作品の評判が悪かったことで危惧するファンや、キャストに不安を感じている人もいるようです。「実写化の良し悪し」に関する判断は、どうしても作品を観た観客1人1人に委ねられてしまいますが、実写化については明らかに1つの「良し悪し」に関する判断基準があります。それが、興行収入。ここからは以前私が書いた下記の記事を参考にしてみて下さい。

なぜ鋼の錬金術師は「実写化」される必要があったのか?アニメや漫画作品の実写化が増えている理由にせまる

これは約3ヶ月前、「鋼の錬金術師」実写化のニュースが流れた際に書いた記事です。要約すれば「漫画作品が相次いで実写化されるのは、アニメ化するより儲かる可能性が高いから」というお話です。

実写化は、アニメより儲かる

実写化とアニメ化どちらも行われた作品が、人気という意味ではアニメの方が高かったとしても、実写化された作品の方が利益率が高かったという例は枚挙に暇がありません。例えば「暗殺教室」は、アニメ制作費で約6.5億円がかかったと予想できますが、それに対してアニメ売上は2億前後。それに対し実写映画は制作費に平均して10億くらいをかけるのですが、売上としては27.7億円が出ています。こうして見るだけでも実写の方が黒字になっていますね。

アニメの売上は「DVDやBlu-rayの売上」としてしか換算されず、いくら多くの人が見たとしてもTVやネットで見ただけでは大きな売上になりません。それに対して実写は、リアルタイムで見るために必ず映画館でお金を払う必要があります。他にも要素はあるにせよ、この差が大きく売上の差に影響しているのです。

219545実写化は、アニメより見られる

実写の映画が多くの人に見られる要因の1つに、俳優の起用があります。例えば今回発表されたジョジョ4部の一部キャストについて見てみましょう。

東方仗助…山崎賢人
空条承太郎…伊勢谷友介
広瀬康一…神木隆之介
虹村億泰…真剣佑
虹村形兆…岡田将生
山岸由花子…小松菜奈
片桐安十郎…山田孝之
東方朋子…観月ありさ
東方良平…國村隼

最近「君の名は。」でもヒットを飛ばした神木隆之介や、同じく人気作品である「四月は君の嘘」で主演を張った山崎賢人、ウシジマくんの怪演が人気の山田孝之、そして少し懐かしい観月ありさ、手堅い國村隼と、あらゆる層に向けてバランス良くキャストが配置されています。実写化コンテンツで実績があったり、若い女性に人気があったり、比較的原作ファンが安心するようなキャストも所々に見られます。更に三池監督は前述の通りアニメファンや漫画ファンのための作品だけでなく、ファミリー向け、一般向けの作品も多く撮っているために知名度もありファンも付いています。もちろん推測に過ぎませんが、ある程度の一般客も見込める形で実写映画化にGOが出されているのは確かでしょう。

Teamwork on dawn backgroundファンはどう反応すれば良いのか?

こういった事実を前に「結局金かよ」という思いを抱いてしまう方もいるでしょう。特に熱烈なファンの多い作品であればあるほど、全てのファンが納得する実写化作品を作るのはほとんど不可能と言って良い状況です。しかし「結局金」というのは逆に言えば「金にならなければ困る」という面もあるということです。普通に実写化するだけでも10億単位の利益があるかもしれませんが、10億というお金で作れるのはせいぜい映画1本。今回配給を行うワーナーブラザーズは世界的にコンテンツを提供している大きな会社です。親会社のタイム・ワーナーは2014年時点で売上高が85.6億ドル(1ドル100円だとしても日本円で8560億円)。それが10億程度の利益で果たして満足するでしょうか。コンテンツはそれ自身に力があるからこそ、本気で作らないと次がありません。つまり、当然ですが可能な限り「ファンも喜ぶ」作品にしなければいけないのです。本当に「実写さえ作ればお客さん入るし儲かるから」というスタンスであれば監督も俳優ももう少し適当に選ばれていたでしょう。ファンとしては不安もあると思いますが、今は映画スタッフが出す「これがベスト」という答えを信じて待つのが得策です!

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