「3年は辞めるな」というけどそれってなんで? アニメゲームマンガ クリエイター向け どのくらい今の職場で頑張れば良いのか?

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「3年は会社を続けろ。」「3年で辞める若者。」「3年経ったし転職を考えている。」・・・就職・転職の場に携わっていると、頻繁に耳にする「3年」という期間。古いことわざに「石の上にも三年」なんて言葉もあります。どうやら日本には3年続けることが良いことで、3年経たずにやめてしまうのは「根性がない」「意志が弱い」というような空気があるようです。でも、どうして「3年」なのか考えたことはありますか?この記事は、クリエイターさん向けに、「3年の根拠」を私が探して見ましたという文章です。この記事が皆さんの就職・転職に少しでも参考になれればと思います。

1つの職場で3年は続けろ、というのは、クリエイターさんの場合には1つに技能の発達にある程度の時間がかかる、という事が理由の1つに考えられます。CGのツールでも、プログラミング言語でも、それが汎用的で多機能で需要の大きい物であればあるほど、習得するのには時間がかかるのです。実際、人事担当や経営者の方に聞いても、「3年以上の経験者を採用するのがベストだけど、それが出来なければ新人から教育したい」そう言う人が多いです。「3年やった」というのは、「ある程度の業務は覚えていて即戦力になる」ということの1つの目安になっているのだと思います(もちろん職種にもよりますが、あくまで一般論として)。皆さんは「一万時間の法則」というものをご存じでしょうか?これはフロリダ州立大学のK・エリクソン博士という学者が唱えた仮説です。

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どんなスキルでも、その道で卓越した実力を発揮する上で、1万時間以上のトレーニングを必要とするとこの説は主張しています。この説自体にはいくつかの異論もあるものの、一定時間以上のインプットの時間が物事の上達には必要条件であるということが、発達心理学の世界では広くいわれています。下の図をご覧になってみてください。これは、学習曲線と呼ばれるもので、人間の知能の発達をグラフ化したものです。取り組み初め上達するのが遅いですが、それがしばらく続いたのちに短期間で一気に進歩する。そのあとに再び「プラトー」という「伸び悩み」の時期がやってくる・・・。人間の、特定の領域における発達・進歩はこのような経過を経ておきるという事が言われています。つまり急速に技能が向上するのではなく、一定の時間をかけて「伸び悩み」の時間を経てから、急速に進歩する・・・というサイクルを繰り返すのです。

zuhyo-このモデルにそって考えるなら、「3年」という長い期間は、幾度かこの波をくぐり抜けてきた期間である、とも言えるのではないでしょうか。また、1日に8時間取り組むとすると、3年間でおよそ6千時間やっていることになります、「1万時間の法則」で言えば、折り返して少したったあたり・・・そう考えると、何となく「3年」という時間のイメージが持てませんか?また、漫画家のデビューを支援する「NEWVERY」というNPO法人が、興味深いデータを発表しています。
NEWVERYがサポートする1500人の漫画家を調査した結果、デビューの叶った漫画家のうち3割は、原稿を書き始めて100〜150ページくらいの地点でデビューをした。その次にデビューが多かったのは、500ページくらいの地点で、ここで2割の人がデビューをした。デビュー早期組は初めてから1年〜1年半で芽が出たが、デビュー晩期組は3〜5年くらい続けた時点でデビューが叶った。才能が早期に花開く人はかなり早いタイミングでデビュー出来るのに対し、そうでない人は3年以上というかなり長い期間にわたる集中が必要であったというのです。やはり、クリエイターとして実力をつけるのに、「3年」という期間は1つの目安になるのかも知れません。

少し話題を変えて、転職市場に目を移してみましょう。こちらのデータをご覧下さい。

zuhyo--こちらは、転職回数と年収の関係を示すグラフです。ご覧のとおり、転職が多くなればなるほど、年収は減少する傾向があり、それはクリエイターも例外ではありません。人事の方に人材の履歴書を見せるときに、一年や半年での転職歴が複数あることで評価が下がる、そんなことは実際に多いです。特にディレクターやプロデューサー、デザイナーであってもチームリーダークラスの人材を採りたい場合には、「1つの職場でどのくらい頑張ったか」を重視する傾向があります。人に指示を出したり、渉外などをそつなくこなしたりするには「ストレスに弱い」「責任感がない」などの属性があると困るからです。こういう際にも、「3年は1つの所で頑張った」というのは、人事の人へのアピールになる事は間違いありません。

集中する3年間は何よりも宝になります

集中する3年間は何よりも宝になります

さて、以上「3年頑張る」メリットについて根拠を探して見ました。探せば見つかる物ですね。確かに、1つの場所でそれなりに時間をかけ、1つ1つの仕事を丁寧にこなしていけば、それなりのスキルは身につくし、履歴書に書けるようなある程度の実績もつくでしょう。見せられるだけのスキルと実績さえあれば、デザイナーでもプログラマーでも、引く手あまたです。もしこれを呼んでいるのがクリエイターの方なら、その職場で出来ることがあるうちは、実力を付けるという意味でも転職市場の観点から言っても、踏ん張ってみるのがオススメです。とはいえ、人のキャリアに絶対なんて存在しないというのもまた真理です。どうしても行きたい会社が見つかった!そんな時には迷わず行動に移して頂きたいと思います。最後に、「3年以上の経験者が欲しい」という求人と「未経験でオーケー!」という求人の両方を紹介して、この記事を締めくくりたいと思います。

〇株式会社ワークマン(経験年数3年以上のシナリオライターを募集中)
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〇株式会社カヤック(経験年数3年以上のサーバープログラマーを募集中)
kayakku

〇リアルタイムアニバーサリー株式会社(未経験可 WEBデザイナー/UIデザイナー/コーダーを募集中)
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〇ルーセント・グローバル株式会社(未経験可 ゲームプログラマー募集中)
rucent