Mighty No.9開発の稲船敬二さんインタビュー!(前編):Migty No.9が目指したもの

2013年9月1日、北米のクラウドファンディングサービス「Kickstarter」で発表されたMighty No. 9。1ヶ月で集まった支援総額4,046,579ドル(2013年9月時にして約4億円)。ロックマンの生みの親、稲船敬二さんが開発されたということもあり、往年のレトロゲームファンからはロックマンの再来か!と大いに期待が集まった今作の発売に合わせて、ラクジョブ新聞スタッフがインタビューを敢行致しました。お話から伺えたのは、クラウドファンディングならではのゲーム作りと、ファンの期待に応えることだけを考えた、こだわりのクリエイター精神でした。

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DSC06633ロックマンのようなゲームをもう一度作りたかった

———(ラクジョブ)この度はお忙しい中ありがとうございます。まずは発売おめでとうございます!多くの稲船さんのファンから期待が寄せられていた今回のMighty No. 9ですが、どういったことを心がけて開発されたのでしょうか。

稲船さん(以下略):今回は本当に昔のアクションゲームが大好きな人に楽しんでもらいたいという一心で制作にあたりました。最初から、ロックマンのようなゲームを作りたいと思っていたので遠慮なく難易度を上げています。今のハードやプラットフォームで出すからといって難易度を下げるということはしませんでした。一般的な人たちに遊んでもらいたいという気持ちは一切捨てましたね。ちょっとでもあると、中途半端になってしまいますから。

———反響の方はどうでしょうか。

やっぱり、昔のレトロなアクションゲームが好きな人からは好評ですね。特にロックマンが大好きでしたという方々からは「待っていました!」という感じです。でも、レトロゲームファンではない方からは「難しすぎる!」という批判を頂いたりも、もちろんしています。でも、先ほども言いましたが、昔のゲームファンが本当に楽しんでもらえるように設計したので、その人たちを裏切るようなことをしてはいけないという思いの方が強かったんですね。ネガティブな批判をされることは気にしないようにしました。私が作りたい!こうしたい!という内容に対して、「やりたい!」という人たちが賛同してくれる。それを理想として制作していました。

DSC06640レトロゲームファンに喜ばれる作品を

———昔からのゲームファンを喜ばせたいということについて、もう少し詳しくお聞きしたいです。

昔のアクションゲームって、電源を切ったらコンテニューはできないし、そのくせ難易度がとても難しいものがあったりしますよね。私が作ったロックマンシリーズなんてまさにそうです。今のゲームで良くあるのは、死なないように作られたり、死んだとしてもそこからスタートをするでしょう?昔のゲームはそれがなかった訳です。死んだら戻れ!というものが昔のゲームは本当に多かったから、だんだんイージーモードとかが出てきたんです。ダメージ量が減ったり、穴に落ちても助かったり。でも、ロックマンシリーズはそういうの、付けなかったんです。だから今回も、それに習ってイージーモードはつけなかったんです。昔のゲームファンはそんなものは望んでいないのではないと思いました。

———「やりごたえ」というところで貫かれたのですね!稲船さんは現在でも様々なゲーム開発をされていますが、こう言った昔のゲーム風な作品を制作されるのと、感覚的にどのような違いがありますか?

違和感なく作れたというか、無理なく作れたというか・・・本来の自分のゲーム作りみたいなところを出せている感じがとてもしました。というのも、私自身がかなり昔の感覚で作りましたよ。プレイ画面やパッケージとかは現代風になっているけれども、魂はかなりレトロゲームです。今のゲームにある親切さはバッサリ捨ててます。

DSC06636クラウドファンディングでゲーム開発をするメリットとは?

———ずばり、クラウドファンディングでゲームを開発するメリットを教えていただけますか?

やっぱり、自分たちが作ったゲームのIP(版権)が残ることでしょうか。メーカーからの受注で予算をもらってゲームを作ると、自分たちが1から作ったゲームであったとしてもそれは仕事を発注したメーカーのゲームになってしまいますよね?でも、クラウドファンディングは違います。自分たちが考えた自分たちのゲームが、自分たちのものになるんです。

———では、今後アニメ化とか漫画化の可能性もあるのでしょうか。

今回のMighty No. 9はかなり大きな構想を持っていますよ。Mighty No. 9の続編もそうだし、海外ではアニメ化や実写映画化の話も進んでいます。レトロゲームファン向けには、今回のようなしっかりとした横スクロールアクションのMighty No. 9シリーズを遊んでもらって、子どもたちにはアニメを見てもらうとか。それこそ、もしかしたらポケモンや妖怪ウォッチのような本当に子ども向けの内容のコンテンツを作っていくかもしれません。IPを得ることに対して、どんな苦労もいとわない!というのであれば、クラウドファンディングはオススメです。それに、自分が作りたい作品を応援してくれる人たちがいるというのはいいことだし、その分、自分が努力していないと応援してくれないですよね。だからものすごく大変ですよ。でも、私はゲーム作りも人生も同じだと思っているから、辛いことがあってもそれをどうやって乗り越えるかということも考えながら制作していました。人生においても、ゲーム作りにおいても成長できたから、挑戦できて良かったと思っていますよ。

ゲームを作って終わりではない

———では、Mighty No. 9発売は始まりに過ぎないということでしょうか。

そうですね。私はコンテンツを作ることに興味があるんです。もちろんゲーム会社だから、ゲームを作ることも大事ですよ。でも、私たちの場合はゲームを作って終わりじゃない。これから広めていくコンテンツを、たった今作り上げたところです。ここからスタートだと思っています。今回はレトロゲーム好きなひとための企画として作ったけれども、この作品をもっと多くの人に知ってもらうにはどうするか、という先のことまで考えていくことがとても楽しいんです。これからもチャレンジを続けたいと思いますよ。

———今後の展開を楽しみにしております!

後半はレトロゲームファンの期待に応えた稲船さんに対して、ラクジョブ新聞はVRに関する質問をさせて頂きました。まさかのアダルトVRへも話が波及!ご興味ある方はぜひご覧ください!

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