学校に行けば安心?ゲーム業界に就職したければ、ゲームを作り絵を描こう!

「ゲーム業界で仕事がしたい」と思う人が真っ先に考える方法の一つがゲームの専門学校に入ることです。ゲームの作り方がわからないからまずは専門学校で勉強しようとする方法は、もちろん間違いではないですが、正解でもありません。ゲーム会社の社長や採用担当に話を聞くと、「専門学校に行っていた方がいい」「専門学校に行く必要はない」両方の意見を聞きます。しかし「専門学校に行っていないと採用しない」という話を聞いたことはありません。

学校で学べないもの・・・それは?

学校で学べないもの・・・それは?

では、根本的にゲーム会社はどんな人を求めているのか。それは「商品としてのゲームが作れる人」です。いくら面白いゲームを作ったとしても一銭もお金が入ってこなければ、会社は存続できません。あなたがゲーム会社で働くのであれば、お金を稼げるゲームを作るための仕事をする必要があります。実際には、ゲームデベロッパー、受託開発会社であれば、クライアントの要望に沿うものを作って納品すれば売上を得ることはできますが、もしそのゲームが当たらず、すぐに運営は終了になり、パブリッシャーは赤字を被ります。その時開発会社に側にも不信が残る結果になる可能性が高いです。パブリッシャーだろうと、デベロッパーだろうと関係なく、売れるゲームを開発する必要があります。しかし、専門学校では、どうあろうとゲームを実際に売る、それによってお金をもらうという経験はできません。ゲームを売ることができるのは実際のゲーム会社だけです。そこに専門学校のジレンマがあります。

okanehakobu

しかしだからと言って、ゲーム会社が必ず売れるゲームを作れる人だけで構成されているかというとそうではありません。実際にはお金のことを考えているのは社長やプロデューサーやディレクターなどほんの一部の人たちで、その人たちが会社やプロジェクトを管理します。その下にプログラマー、デザイナー、プランナーがいてゲーム開発の実作業を行なっています。お金を稼ぐことを考える人とゲームを作る人が分離されています。そして、採用は固定費になるので、お金を管理する人たちが決定権を持っています。だから結論としては、彼らが納得するゲーム作れればいい、ということになります。結局は、それぞれの職種の高いスキルがあればいいという話ですが、そこの根本はしっかり押さえておいてください。

では、高いスキルを身につけるためにどうすればいいかと言ったら、あとは反復練習しかありません。量質転化です。ひたすら数をこなしてください。専門学校に通ってゲームの勉強をしている人は山ほどいます。その中でも頭一つ飛び抜けるぐらいにスキルを磨いてください。プログラマーであれば、Unityをインストールして簡単にゲームを作ることができます。Unityなど使わずともゴリゴリコードを書いてゲームプログラムを組んでしまう人もいます。

あなたが伸ばすべきスキル

あなたが伸ばすべきスキル

グラフィッカーであれば、ペン一本でいくらでもイラストを描くことができますし、家中、街中どこでもデッサンはできます。絵を描くことを仕事にしたいという方が、イラストだけで応募する人もいますが、あまりお勧めできません。プロのグラフィッカーはデッサン力を一番重視します。

3DCGデザイナーもMaya、MAXに少しでも長く触れてモデリング、モーションを行ってください。ゲーム業界への就職を考えるのであれば、MAXよりもMayaが主流です。XSIやMetasequoia、Blenderはゲーム開発現場で使われることはまずないので、いくらやってもアピールポイントにはなりません。

プランナーに必要とされるのは、開発をスムーズに進めるためのコミュニケーション能力です。具体的には仕様書を切ったり、ゲームバランスを調整したりしますが、要するに、ゲーム開発現場の潤滑油が役割です。チームをゲーム完成に向けて道案内をします。とある会社の新卒採用の選考では、「最寄駅から自宅までの地図を描く」という課題を与えてその人のプランナーとしても素養を見ているそうです。相手の立場に立って相手に目的の行動を取ってもらうためのコミュニケーション能力が必要とされます。

実際、ゲーム開発ができるかどうかと採用を直接的に結びつけた採用イベントも開催されています。2014年に、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン主催で「ゲームクリエイター就職大作戦 東京大決戦」というイベントが開催されました。ゲーム業界への就職を目指す若手クリエイターが自作オリジナルゲームをカプコン、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、コロプラ、Cygames、スクウェア・エニックス、セガネットワークス、フロム・ソフトウェアの採用担当や各社部門責任者、取締役クラスに人たちに向けて直接プレゼンします。13名がプレゼンを行い、うち1名は即決で内定をもらったそうです。この1名という数字をどう思うかはそれぞれだと思いますが、採用現場がいかにゲームを開発できることと採用を直接関係的に求めているのかということはわかるかと思います。

何を学んでいけば活躍出来るのか?

何を学んでいけば活躍出来るのか?

では、ゲームの専門学校に行くことは全く無意味なのかというとそうではありません。専門学校でできる最大のことは、中小企業で社長をやりながらも講師として教鞭を振るっている方に師事することです。社長業で忙しいはずの彼らが講師としてゲームクリエイター志望の学生を指導する理由は二つあります。一つは業界の将来を考えての人材育成、もう一つが優秀な学生の青田買いです。新卒は、有望であればあるほど大手企業が採用します。大手企業も新卒採用には苦労していますが、それ以上に苦労しているのが中小企業です。特に新卒が一人前になるまで3年かかると言われている中で、採用に失敗して、早期に離職されてしまった時の企業の損失は学生がイメージできるレベルをはるかに超えています。一人採用するのに100万、年間で300万の給与、法定福利費などで50万、それが3年続くと考えると、1250万円。さらにそこに適切な案件の制定や先輩社員を教育に当てれば機会損失も発生します。利益率5%以下のゲームデバロッパーでは、年商約8500万円以上ある会社でないと新卒を採用できない計算になります。

この計算も利益のほとんどを新卒教育に当てた場合の計算です。実際には、入社したその日から実戦投入して利益を上げさせようとしますが、そのイメージとのギャップに新人がすぐに辞めてしまい、早期離職率が高くなる原因にもなっています。新卒採用の際にはできるだけ会社と相性のいい人を採用したい、しっかり仕事して一人前のクリエイターに成長してほしいと社長は思っています。だから、彼らは専門学校という教育の場にも赴いて、学生一人一人を真剣に見ています。学生も真剣に向き合い、現場レベルでの温度感を学びとることが最大の勉強です。今専門学校でゲームの勉強をしている人は、ゲーム業界に就職したいのであれば、ただ専門学校に在籍しているだけではなく、自分でゲームを作ったり、講師から+αの課題をもらったりして、自分から行動した結果を残してください。そのゲーム開発に対する前のめりな姿勢がゲーム業界で一番求められているものです。