AbeamTVは、サイバーエージェントとテレビ朝日によって開設、運営されているインターネットテレビ局なります。このテレビ局には以前より４チャンネルのアニメ専門チャンネルがありましたが、7月2日より新たな「新作TVアニメチャンネル」が追加されることとなり話題となっています。今回は、インターネットテレビ局が新作アニメを行うことによる影響に関しての記事になります。
AbemaTVのアニメチャンネル
AbemaTVでは、（7月4日時点）23チャンネルが24時間無料で視聴できるインターネットテレビ局になります。そのうちアニメ関連の専門チャンネルは５つあります。2000年代のヒット作を24時間配信する「アニメ24チャンネル」、深夜に放送していたい人気アニメを24時間配信する「深夜アニメチャンネル」、90年代以前に放送されていたアニメを配信する「なつかしアニメチャンネル」、世代を問わずに家族で楽しめる「家族アニメチャンネル」の４つに加え、7月2日２２時３０分より、新たに「新作TVアニメチャンネル」が加わりました。
新作TVアニメチャンネル
このチャンネルは、地上波テレビ局で放送するような新作アニメタイトルを専門で配信するチャンネルとなっており、インターネットテレビ局の形式では初めてのものとなります。7月2日２２時３０分からは「ラブライブ！サンシャイン!!」の第１話が放送され、0時、12時、18時、21時、22時30分に見逃した視聴者のための再放送が行われています。4日時点では、「ラブライブ！サンシャイン!!」のみとなっていますが、今後、「NEW GAMME！」や「あまんちゅ！」など計18タイトルの放送が予定されています。（画像は「AbemaTV」が最新テレビアニメの見逃し放送専門チャンネル「新作TVアニメチャンネル」の開設を決定より）
インターネットテレビ局の影響
今回のインターネットテレビ局による新作アニメの放送で一番嬉しく感じている人は地方でアニメを視聴している人でしょう。「ラブライブ！サンシャイン !!」を例に挙げれば、地上波で放送するテレビ局はTOKYOMX、サンテレビ、KBS京都、テレビ愛知、静岡放送、テレビ北海道、TVQ九州放送になります。そのためこれらの放送局からの電波が受信できない地域に住んでいる方にとってはアニメが視聴できません。そのためこれまでだとケーブルテレビや衛星放送などと契約したり、動画配信サイトなどのオンデマンド配信サービスに加入するという方法しかありませんでした。しかし今回のインターネットテレビ局という新たな形式での放送によって大きく変わるでしょう。
インターネットテレビ局は、放送に関しては基本無料のため、放送時間さへ間違えなければ視聴することが可能です。加えて、新作アニメの放送予定が18タイトルとすれば少なくとも1日に２、３回は放送できることになります。これだけのスパンで放送するのであれば、この18タイトルに関して見逃すということはないでしょう。逆を言えば、これらのタイトルのみでいいのであれば、これまでの衛星放送やケーブルテレビ、オンデマンド配信サービスは必要なくなるということになります。
アニメ産業全体から見た制作費
しかしながら一方で、なかなか厳しい環境にあるのがアニメ会社です。アニメ関連産業全体で約1兆6297億円（2014年）、そのうち制作会社の売り上げが約1847億円（2014年）（アニメ産業レポート2015より）と約1割程度しかアニメ制作にお金をかけられていません。また、テレビ画質の向上や3DCGの多様などこれまで以上に仕事量がかかる作業が増えている状況になりつつあります。もしこの状況が深刻化すればアニメ制作自体にも影響が出かねない状況です。
アニメの視聴方法の多様化は視聴者にとって有益かもしれません。しかしながら本来アニメ制作には何億もの制作費がかかっており、何十、何百人ものクリエイターが関わっています。新たな視聴方法がどんどん増えるのであればよりアニメ会社やクリエイターお金が回るような視聴方法を選択し、次のアニメ制作への足がかりとなるような方法をとるべきではないでしょうか。
