皆さん、自分の年収に興味がありますか?
実はアニメゲームマンガ業界に務める方、特にクリエイターの方には、自らの年収に強いこだわりが無いという人は多めです。もちろんビタイチ貰えないのは問題ですが、高収入をがむしゃらに求めている人はそこまで多くないのではないでしょうか。
その証拠に、先日ラクジョブでは「ラクジョブアワード」と題し会員の皆さんから「入りたい会社とその条件」「入りたくない会社とその条件」を伺うアンケートを行いました。しかし・・・その中で、「年収が高いからこの会社が良い」「年収が低いからこの会社は嫌だ」という意見は1通も見つからなかったのです!どちらかというと「ここのゲームは面白かったから」「この会社はものづくりに対して真剣だから」という理由が目立ちました。詳しくは、「ゲーム業界 働きたい会社ベスト5を売上、初任給、伸び率、従業員数などで分析してみる」をご参照ください。
そもそも適正年収って、皆さんどうやって割り出していますか?1つには自分の生活費を大体見積もって、その適正価格を出す・・・という手があります。因みに日本人の平均世帯支出(1ヶ月に大体使う生活費の平均)は月額282,041円です(家計調査 総務省統計局より)。1年に直すと3,384,492円。大体350万円も年収があれば何とかなる、というところです。一方、ここ1年の間にラクジョブで掲載された求人の給与設定平均を見てみましょう。
【アニメ業界】未経験者〜経験3,4年
制作進行 224万〜
2DCGアニメーター 出来高制+最低保証金(平均すると年収120万前後?)
3DCGアニメーター 268万〜
【ゲーム/映像制作業界】未経験者〜経験4,5年
ゲームプログラマー 316万〜508万
2DCGデザイナー/イラストレーター 289万〜420万
3DCGデザイナー 330万〜673万
プランナー・ディレクター 290万〜
ゲームディレクター 650万〜
ゲームプロデューサー 700万〜
【マンガ業界】経験者のみ募集
マンガ編集 400万〜
マンガ家についてはここ1年間募集はありませんでした。
こうして見ると、いわゆる「現場の仕事」については平均的な生活がギリギリできるかできないか、という実態がわかります。とはいえ勿論これらの金額は「募集最低金額〜最高金額」という表示なので、就業後に上がる可能性は充分にあります。ずっと最低金額のはずはないということですね。
一方で「ディレクター」「編集」といった、人をまとめあげたりチームを動かしていくような仕事は、400万や600万などスタート地点から年収設定も高めです。こういった職種の場合は明かな年収設定基準が無いために給与設定の担当者も悩みやすく、「経験と実績により判断」という表記になったりします。しかし実際の所「経験と実績による判断」がどこまで年収アップに繋がるかは疑問です。厚生労働省の「転職者実績調査結果」では、転職後の賃金について「増加した」が38.9%、「減少した」が37.0%、「変わらない」が23.7%という結果が出ているからです。およそ半分以上の転職者が給与については変化が無いか又は減少しており、必ずしも「経験と実績による判断」が高い年収を保証するものでは無いと思われます。
それじゃあ個人で適正年収を割り出すにはどうすれば良いのか?これにはいくつか方法論も出ており「同じような仕事をしている人の年収を参考にする」「全部人事採用担当者に任せる」「とりあえず前職より高ければ良いということにする」などがその例です。しかし給与というのは、まとまって会社から毎月出ていくお金な訳ですから採用担当に一任するとギリギリ前と同じか少しそれを超えたくらい、という設定になりがちです。一方で「同じような仕事をしている人」も、会社によっては1000万から400万まで差があるのです。また、その1000万の人だって会社のコンテンツが奮わなくなれば一気に年収が下がる可能性はあります。
結局年収を割り出すのに本当は正しい方法なんて無いのです。しかし転職後の年収に乗っかっているのは、企業側からの「期待」です。新しい人材を雇うことに、当然ですが企業は期待を持っています。多分それは応募者の皆さんが考えている以上の「期待」です。可能であればこの人が入る事で、全ての仕事が上手く行き、会社がどんどん良く回り、大繁盛に次ぐ大繁盛を呼び込めるかも知れない・・・それくらいの期待を、企業はいちアニメーターやプログラマーにさえ載せています。少なくとも採用の際には。それがマネージャークラスともなれば更に大きく、優秀なマネージャーが入っただけで30人のチームが全員刺激を受け、生産性は倍以上になりスタッフが皆イキイキと働き出して欲しい・・・と思うのが企業です。少なくとも「とりあえず今空いたこの職をどっか適当な人でも良いから入って欲しい」というニーズは企業側にはありません。適当な人に毎月何十万という貴重なお金を渡すわけにはいかないからです。
本当は、「私はこれくらいの金額を稼ぐ人間だ!」という風に自負を持つことが最も近道なのですが、突然そんなことを言われて自分の稼ぐ金額が決められる人はいません。しかし皆さんがせっかく転職を考えてラクジョブを覗いてくださったのであれば、今よりもやりがいがあって年収もあがった方が良いと思いませんか?その第一歩としてまずやって頂くとしたら、「現在のスキル」に何かしらあなた独自のプラスα(前職でやっていた仕事に付加してできる技術や情熱、研究成果など)をアピールし、年収を上乗せして交渉することをお勧めいたします。アニメゲームマンガ業界はお金儲けと大きく関わらない仕事だからこそ、金銭感覚の優れた人材であり続けることは転職市場でも有利に働きます。引いては予算に対してのクオリティの出し方にも敏感になり、金銭の意識をすることで良い作品作りにも繋がります。あまり強くは意識しないかもしれない「年収」ですが、自分のために気にするだけで無く、アニメゲームマンガ業界の作品のためにも考えて見てはいかがでしょうか?