記事を読んでいただき有難う御座います。今回の話題は、eスポーツについての話題です。eスポーツは、ゲーム対戦をまるでサッカーや野球のようにショー・スポーツ化し、観客を動員してプロ同士で対戦をする競技です。日本ではそこまで馴染みのない競技ですが、北米を中心に海外では人気を博しており、企業スポンサーがつくなど大金の動く市場になっています。図表をご覧ください。近年のesports産業の動向がわかります。2014年、2015年、2016年と毎年10%超の成長率でマーケットが大きくなっています。今回の記事はそんなeスポーツが、フランスにて合法の産業として法整備が進みつつある、という記事です。
フランス政府がeスポーツを合法化する背景にはどんなことがあるのでしょうか。第一に、eスポーツの市場自体が巨大になっており、社会的に1つの職業として認知されてきたということがあります。サッカー選手や将棋の棋士がそうであるように、プロゲーマーはゲームにおける専門家として認められつつあります。
第二に、政府による関与がないと非合法な賭博性の温床になる可能性があるということがあります。eスポーツは主にプレイヤー人口の大きいオンラインゲームを舞台に開催されます。「League of Legends」や「「World of tanks」などの世界的に有名なタイトルになると、プレイヤー人口も多く、ゲーム内のアイテムを現実の貨幣でやり取りすることもあります。イベントでは一気に多額の金額が移動します。esportsは歴史が浅いという事もあってイベントにおける公式なチケットの販売と、非公式な賭博行為との境界が曖昧であるため、ケースによってはフランスの法律に抵触する可能があります。今回の法改正により、合法的にプロゲーマーが活動の幅を広げ易くなりました。
フランスでは今後、プロゲーマーが、納税や保険について「プロゲーマー」という身分を使用することが出来るようになりました。合法的に活動が認められたことで社会的な信用が増し、企業からの支援を受け付けるなどの活動を展開しやすくなるでしょう。「将来はサッカー選手になりたい」「棋士になりたい」というような感覚で、「将来はプロゲーマーになりたい」という子供が増えていくかもしれません。
フランスの動向に比して、日本のeスポーツはどうなっているのでしょうか。日本のゲーム市場は、海外に比してあまり盛り上がっていないと言われます。日本はコンシューマゲームが軸となってゲーム業界を支えてきました。FPS系のジャンルなどで、多人数で参画する対応のオンラインゲームは普及率がそこまで高く無く、それがeスポーツがマイナーであることの原因になっています。
日本で有名なプロゲーマーといえば、梅原大悟さんですが、梅原さんはアメリカのゲームコントローラの企業「マッドキャッツ」とスポンサー契約をし活動しています。海外での日本人ではありますが、活動の軸足は海外であるといっても良いかもしれません。
日本のゲーム業界はガラパゴス化して独特の発展をしており、現状ではフランスのように社会的認知度が伴っていくまでには時間がかかるでしょう。日本がゲーム大国であることは間違いがないだけに、何とも歯がゆいところです。しかし現在主流になっているRTSやFPS系のタイトルでは無く、日本人こそが活躍するタイトルで市場を盛り上げていくという手段もあるかもしれません。いずれにしても、esportsという世界でスタープレイヤーがどんどん生まれ、それが子供にとっての憧れの職業にでもなれば、ゲームの社会的な評価も高まりゲーム業界にとってプラスになることは間違いありません。