記事を読んでいただきまして、有り難うございます。気持ちのいい五月晴れのつづくゴールデンウィークですが、皆さんはいかがお過ごしですか?外に遊びにいくなり、レジャーランドにいくなり、過ごし方は色々あると思いますが、私の休暇中は読書に充てようと思っています!まとまった時間にこそ、普段の喧噪を離れて、読書に時間を使えるのは、とても贅沢な事だと思っております。
そんなわけで昨日も一昨日も、かなりの時間を読書に費やしていた私ですが、最近改めて思う事があります。それは、「数学って最高に魅力的な学問だな」ということです。今回の記事では、「ゴールデンウィークにこそじっくり取り組んで欲しいことシリーズ」第一弾!笑 ということで、数学についての文章を書きたいと思います。
始めに断っておきますが、私は数学については全くの素人です。大学も文系でしたし、高校生の時も数学が大の苦手でした。数学に体系的な高等教育をうけたこともありません。つまり、数学については全くの自己流で取り組んでいることになります。そんな私が、数学の魅力に気づかされた書籍があります。遠山啓さんという作家の、「基礎から分かる数学入門」という本です。この本には、高校数学で聞くような、「ビブンセキブン」やら「サンカクカンスウといった堅苦しいワードはあまり登場しません。登場してくるのは、フレンドリーで親しみやすい数学、人肌のぬくもりのある数学です。
この本に繰り返し出てくるテーマは、「数学は人間の歴史と歩みを同じくしている」ということです。微分積分にせよ、三角関数にせよ、それが発明されたのが何故かといえば、人間の生活にそれが必要であったからです。「1、2、3」という数詞だって、人類が牛馬の足を数えたり、穀物の粒の数を数えたり、とても具体的な必要性に駆られて発達をした道具でした。三角関数だってそうです。ナイトクルージングから戻った船が難破してしまわぬように、明かりを照らす灯台が欲しい。しかし灯台の高さを始めとする全体の設計はどうやってしたらいいのか?使える時間も、資源も限られた中で最適な答えを見つける必要がある。そんな時に、三角比というコンセプトが産まれました。つまり数学という学問は、人類が何か問題に直面した時に、それを乗り越えようとして発達してきたものであるというわけです。
人類の歴史とともに、数学の果たす役割も拡大をしてきました。数式は理解が出来なければ単なる無意味な記号の列挙でしかありませんが、数式や公式の裏側には、人類が挑み解決に至った問題が、挑んだけれど解決は出来なかった問題が、そんな試行錯誤の歴史が眠っていると言うわけです。
遠山啓さんの数学観にはロマンがあります。かつては明日の飢えをしのぐために、種の保存の為に発達してきた数学ですが、現代においても、数学の世界は果てしなく拡大をつづけています。それは「今よりもっと遠くへ」「まだ見ぬ世界へ」進化をしていきたいという人間の飽くなき欲望に支えられているのでしょう。現代における数学も同様に、「人間の知能の秘密を解きあかしたい」「異なる言語や文化圏の人と理解を深めたい」「地球の自然環境を守りたい」そんな想いが冷徹な数式の下には渦巻いているのではないでしょうか。
土曜日の事なのですが、池袋の「軸中心祭」というイベントに足を運びました。美少女イラストのイラストレーターの版画展です。美少女イラストにはあまり詳しくない私ですが、展示されている作品の中には美しくて息を呑むような構図や色彩の作品ばかりで、私は美少女イラストのイメージを塗り替えられてしまいました。
美少女イラストについても、美術についても全くの門外漢ではありますが、そこで展示されている作品の殆どが美術的にもクオリティーの高いものであるということは分かります。1つの絵の中にも、何が良い構図であり、色彩のバランスであるかという事についていくつも細かなルールが存在しているのでは無いか、展示会で私はそんな事を考えました。
美少女イラストの美しさも、数学的に探究することが可能なのでは無いかと私は考えています。美少女イラストの中にも、作者が追求する世界観や物語があります。それを好んで何度も足を運ぶファンが作家の魅力を認めているからこそ、美少女イラストという市場は成立します。作り手と受け手の双方になにかしらの共通理解や気持ちの共有があるからこそ、展示会のようなイベントがあちこちで開催されます。
イラストの中に込めた「制服を着た美少女に対する憧れの気持ち」なのか「桜が満開の中微笑む美少女の美しさ」なのか、作者は何かを絵によって表現したいと思っているはずです。そんな作者の気持ちや熱意があって始めて、それをどうやって実現するか、手段が重要になってきます。具体的には、デッサンの仕方や着彩の仕方などのメソッドを学ぶ事になります。灯台を建設するために三角比を用いたように、穀物を数えるために数詞を発明したように、それは「人間がここではないどこかに行きたくて、方法を考え抜く」ということと何も変わらない過程です。
※画像は、出展されていた珈琲貴族先生のものです。出展されていた中でも特に先生の作品が素晴らしかったので引用しました。画像から軸中心際のHPに飛びます。
ゴールデンウィークは是非数学を!
数学は無意味な数式の列挙では無くて、何かを表現したい、何かを実現させたいという想いを実現する為の思考プロセスそのものである、という数学観に立つなら、ゴールデンウィークに数学の本を読むことは、クリエイターにとってこれ以上無いくらい贅沢で建設的な時間の使い方ではないでしょうか。何も脂汗をかいて微分積分に取り組むのでは無くて、「どうやったら秋の日の部活帰りの美少女の見せる一瞬の物憂げな表情」を描き出せるか?なんて問題を自分で設定し、自分で仮説を立て、自分で検証してみれば良いのです。そんな事に取り組むうえで、最高のアシストになりそうな本を最後にご紹介します。気が向けば是非、お近くの書店で探してみてください!