ゲーム グリー マイネットへ人気タイトルを売却、その意図は?

4月21日、大手ソーシャルゲームプラットフォーマーのグリーから2016年6月期の連結業績予想を修正するというお知らせがホームページ上で発表されました。その要因がグリーの子会社である株式会社ポケラボのタイトルの運営の移管と株式の売却によるものです。それによって最終益が80億から115億円と予想を引き上げたということです。今回のグリーの子会社の売却に関して、経営面と開発面からご紹介できればと思います。

子会社の会社分割(吸収分割)及び子会社の株式譲渡に関するお知らせ
https://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1346139

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引用始め
当社は、平成28年4月21日開催の取締役会において、平成28年5月31日を効力発生日として、当社の連結子会社である株式会社ポケラボ(以下、「ポケラボ」)の主力の既存2タイトルの運営にかかわる事業以外の事業を吸収分割により当社の新設子会社(以下、「承継会社」)に承継させるとともに、吸収分割後の分割会社(効力発生日以降の商号:株式会社マイネットゲームス、以下、「分割会社」)の全株式を株式会社マイネット(以下、「マイネット」)に譲渡することを決議しましたので、お知らせいたします。
引用終わり

スクリーンショット 2016-04-26 12.29.56業績予想の修正に関して

今回、グリーの子会社、株式会社ポケラボの分割し、主力のタイトルである「戦乱のサムライキングダム」「三国INFINITY」の運営を2億5000万円で譲渡、株式を売却することによって、業績は、売上高は20億円減少の700億円、営業利益は140億円と据え置き、経常利益は、円高の進行による為替損益の発生で15億円減少の125億円と変更となっています。しかし、「子会社の会社分割(吸収分割)及び子会社の株式譲渡に関するお知らせ」の効果により、関係会社株式評価損が、見込んでいた税金費用よりも51億円減少するため純利益は80億円から115億円になるとのことです。しかしなぜ人気タイトルを売却するのでしょう。もちろん税金削減のためというのもあるかもしれませんが、このままでも十分収益は得ることができたでしょう。

人気タイトルを売却する理由

その理由は新たな挑戦をするためです。ソーシャルゲームやネイティブアプリなどのゲーム特有なものになりますが、これらのゲームの収益は、コンシューマーゲームのようなパッケージを売ることによって収益を得るのではなく、ゲームを運営し、課金してもらうことによって収益を得ることができます。そのため収益を得るためには、運営をし続ける必要があります。そしてその収益を維持するために、定期的にイベントを催したり、新要素などのアップデートが必要となってきます。そして、人気タイトルともなれば数年単位での運営なり、何本も人気タイトルを運営しているとリソースがそちらに多く割かなくてはいけなくなるため新規タイトルの開発が行いづらくなってしまいます。

AdobeStock_32653791-1024x845クリエイターとしても

運営の仕事は、人気タイトルであれば、年単位での仕事になります。そしてそこを担当するクリエイターは長期間そのお仕事を担当することになります。仕事としては、定期的なイベントの開催や新機能の実装などになりますが、似たような仕事が多いため、どんどん作業効率は上がっていきます。しかしその一方で、同じような仕事の繰り返しということで仕事への意欲がどんどん失われてしまうという傾向があります。よく言う開発・運営疲れになります。そういった面もあるため、経営面にとっても、クリエイターの面から見ても今回は売却がプラスという決断となったのだと思います。

運営専門会社

マイネットは、ソーシャルゲーム業界においても運営に特化した珍しい会社です。他のゲーム会社で不振だったアプリを買い取り、独自のマネタイズで運営することで収益を上げ、急成長している企業です。ただそれだけ運営を苦手としている企業が多かったり、敬遠されがちな分野とも言えます。これからゲーム業界を目指すのであれば、新規タイトルでチャレンジできる企業に入るのか、堅実なお仕事で成長が見込める企業に入るか見極める必要があるのではないでしょうか。

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