記事を読んでいただきありがとうございます。今回の記事は、コンテンツ産業に関わっている人、これから関わっていこうと思っている人に向けてお送りします。この記事では、「業界にいると頻繁に耳にする用語」の解説をしたいと思います。今回取り上げるのは「KGI」と「KPI」について。両方ともWEBマーケティングの用語ですが、特にソーシャルゲーム業界をはじめとして今や「知らないと恥ずかしい常識的な用語」になりつつあります。実はよく知らなかった、、、というような人でも、この記事を読んで復習して頂ければと思います。
まずはKGIについて解説します。KGI(=重要目標達成指標)とは、簡単に言うと「目標の達成度合いについて数字で尺度化したもの」の事を指します。例えば、あなたがパン屋を営んでいたとしましょう。あなたの営むパン屋には設立した理由なりビジョンがあるはずです。お店の目的が「お客さんを満足させる料理を提供すること」であるならば、その場合のKGIはお店の売上高になります。お客さんが満足すればするほど、売り上げも必ず伸びているはずだからです。組織の存在目的は、往々にして抽象的で、明確に数時間することができないものですが、その達成度合いをあえて数字化し、定量的な尺度に落とし込もうという発想がKGIにはあります。
KPIとは何でしょうか。KPI(=重要業績評価指標)とは、KGIの達成のために、タスクをさらに細かく分解した物のことを指します。先ほどのパン屋の例で言えば、パンの売り上げというKGIをさらに分析的に細かくすれば、午前中の来客数や、来客した客が平均何個のパンを買うのか、といった途中経過を割り出すことができます。KGIは到達する数字目標ですが、KPIはそれに到達する過程を指す言葉です。KPIを割り出すことにより、KGIを達成するために具体的にはどんなアクションを取ればいいのかが明確になります。パン屋であれば、売り上げを高めるという目標のために、来客数を高めるのか、それとも来客した客が購買しやすいようにパンの価格を調整したりセットメニューを作るのか、具体的にどんな行動を取れば良いのかがKPIを分析することで明確化します。
KGIやKPIといった用語は特にソーシャルゲームで頻出する言葉です。ソーシャルゲームというジャンル自体、元々WEB広告やSEOサービスなどを事業の主体としてきた会社が主体となり成長してきた業界であり、ゲームの面白さを分析するためにWEBマーケティングのスキームを応用してきたところに出自があります。SAP企業では指標を読み解くアナリストを抱えてゲーム開発をすることが普通になっており、ゲームの内容そのものが指標を骨格に作られているといっても過言ではありません。
ソーシャルゲームに限らずとも、電子書籍の普及などを背景に、WEBマーケティングとリンクするコンテンツは増加する一方です。これらの指標に習熟していることは必須になっています。
KPIやKGIといったマーケティング的思考は、コンテンツ産業に大きな影響を与え日本のエンタテインメントを進歩させたことは間違いありません。しかしコンテンツの面白さや魅力はあくまでユーザーの主観であるという観点もまた、重要な視点です。ユーザーの行動は定性的定量的に分析する事が可能ですが、コンテンツに触れて一人一人の消費者がどんな感動を覚えたのか、どんな影響を人生に受けたのかといったことについては定量化のしようがありません。コンテンツの目的が「人を感動させる」ことである以上は、常に定量化できない揺らぎがそこに介在しているということも忘れたくないですね。