https://www.j-cast.com/2016/04/09263707.html?p=all
オリンピックロゴ問題
記事を読んで頂きありがとうございます。この記事は2020年の東京五輪・パラリンピックのエンブレムの最終候補4作品が発表されたものの、ネット上では「似ているデザインは無いか」というアラ探しが巻き起こっているという内容の記事です。アニメゲームマンガ業界の方々にも、今回のニュースに感心を持たれた方はいらっしゃると思います。キャラクターのデザインや作品のロゴ、ユーザーインターフェースのデザインはオリジナリティプラス、人々が求めるデザインの能力が必要となってきます。さらにアニメやゲーム開発においては、与えられた世界観の中やゲームのジャンルによって、キャラクターやUIをデザインしていかなければなりませんから、他の作品と似てしまったり、ありきたりなデザインになってしまいがちです。そんな中での今回の報道。デザイナーという職業の方々が、「盗作疑惑」をかけられないために何ができるのか、考えてみました。
デザイナーにとって盗作疑惑は命取り
そもそも今回のエンブレムの選考は2回目です。東京五輪・パラリンピックのエンブレムはデザイナーの佐野研二郎さんによる作品が「ベルギーの劇場のロゴと似ている」ということで著作権侵害で訴えられたこと、そして五輪・パラリンピック組織委員会の不透明な選考部分が明るみに出たことによって、一度決まったデザインを白紙撤回を余儀なくされてしまいました。その反省を踏まえ、今回の選考の様子はニコニコ生放送の番組で生中継されましたが、その段階で既に似たデザインのロゴ探しが始まっていたということえす。
クリエイターという職業は技術を盗むことは重要ですが、著作権法で定められた手続きを踏まず、無断で著作物を使用したり、模写したりしたものを自分の作品として公開することは認められておりません。著作権は親告罪ですので、例え盗作したとしても、もともとの著作者の目に触れなかったり、それを見る人達が気づかなかったりすればそれでまかり通ってしまう仕組みです。もし自分の作ったものが盗作の疑惑をかけられ、その類似性などが認められてしまった場合、「盗作」や「パクリ」の焼き印は作品にもデザイナー本人にも押されてしまいます。
「盗作疑惑」を避けるには
デザイナーは独創的な想像力が求められると書きましたが、それはあくまでも個人の能力としての問題の話です。重要なのは、プロダクトイメージやクライアントの発注内容によって、どうしても似たようなデザインになってしまうパターンがあるということです。佐野研二郎さんのオリンピックロゴのパクリ疑惑が出た際、ネット上ではSNSサービスのユーザーが自作のエンブレム画像をアップしたりするという現象が起こりました。その中にはもちろんプロ顔負けのエンブレムを創りだしたユーザーもいましたが、彼らとプロのデザイナーの違いは、発注者がいるかいないかです。デザインという仕事は自分のインスピレーションと受注した商品、サービス、そしてクライアントの意向を媒介する仕事であるという意見もあります。要するに、純粋なクリエイターの意思だけではなく、様々な意向を取り入れる必要があるのです。盗作疑惑を避けるには、クライアント側にもデザインの知識や見識、目利きが必要です。そもそもクライアントの支持の出し方によって、デザイナーからあがってくる作品がパクリ疑惑をかけられるか、そうでないかが大分変わってきます。デザイナー側の対策としては、クライアントとの十分な話し合いと、類似したデザインは存在しないかという確認が必要ですが、後者の実践はかなり難しいのが現状です。
新たなスタンダードを探求する心
コンフォート・ゾーンという心理学用語があります。人間が心地よいと感じる意識状態、もしくは場所のことです。盗作疑惑をかけられない究極の道は、クライアントとデザイナーの意識を、既存の価値観に照らし合わせることのない方向へ向かわせることです。しかしデザインは今まで培ってきた人間の文化や美意識などに大きく左右されます。人々のコンフォート・ゾーン外のデザインは受け入れられるのに時間がかかるか、切り捨てられるでしょう。しかし人間のコンフォート・ゾーンは時代によって移り変わります。少し前までガラケーだった日本の携帯電話は、板状のタッチパネルに変わりました。既存のコンフォート・ゾーンを変えるコツは、全く新しい価値観を岡本太郎のように持ってきて、それまでの認識自体を根底から打ち壊すか、人間の意識化に上がらないように、少しずつずらす方法です。iPhoneは携帯電話のデザインのコンフォート・ゾーンをあっという間にスマートフォンにずらしました。しかし、その中には人々が快適だと思う要素、つまりコンフォート・ゾーンに侵入する要素が残してあります。このバランスを見極め、新しいスタンダードを見つけていこうとする意識を、クリエイター側だけでなくクライアント側が持つことが、一つの対策といえるのではないでしょうか。
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