今回はゲームイラスト制作をメインの事業にしているイラスト制作会社の採用担当の方から聞いたゲームイラスト制作会社がイラストレーターに求めるスキルについてです。イラスト制作の仕事がしたい方、仕事をしている方、イラストレーターとして会社勤めをしたい方はぜひ参考にしてください。
イラスト制作会社変遷
グリー、モバゲーの台頭からキャラクターイラストを主軸に置いたソーシャルゲームは一気にその数を増やしました。次々に作られるソーシャルゲームに対して、イラスト制作を行う人員はゲーム業界には十分におらず、急増したイラスト制作の需要に対してフリーや趣味でイラスト制作をしていた人たちをマネジメントして大量のイラストを制作するようになったのがそもそものイラスト制作会社の成り立ちです。ソーシャルゲームの登場から10年近くの歳月が経ち、イラスト制作会社も変化が求められるようになっています。
ガラケーからスマホゲームに市場が大きく移り、デバイスとしての容量も大きくなり、デバイス上でできることも増えています。グラフィック表現もイラストと簡単なFlashアニメーションだけだったポチポチゲーから3Dモーション、2Dアニメーション、エフェクトなど一昔前のコンシューマーと同程度の表現レベルにまで達しています。その中でイラスト制作会社にも、イラストだけでなく、2Dのアニメーションはできないか、3Dのモデリングやモーションはどうだ、エフェクトも作った欲しいというようにグラフィック関連全般を手掛ける会社も増えています。
イラスト制作、要求スキル高騰中!
さらに言えば、イラスト自体への要求も高まっています。「一昔前のSSRクラスの描き込みがSRクラスのイラストで求められるようになっている」という話も聞きます。SRとSSRでは工数が段違いです。単価にして十万円以上の違いになります。つまり単価は変わらないまま要求だけが高まっているので、結果としてイラスト制作会社にその負担が増えています。結果、フリーへの外注にするよりも固定費にしてでも採用した方が割安だという経営採用判断をする会社が増えています。
また、イラスト制作のスキルも単純に「絵が上手い」ではなく、「如何に既存のテイストに寄せて描けるか」が求められるようになっています。そのために必要なのが画力の基礎としてのデッサン能力と既存のクリエイティブに寄せるスキルです。結論から言ってしまえば、この二つを高いレベルで備えている方がイラストレーターとして職に就くことができる人です。
イラスト制作に必要なスキルは2つだけ
1つ目がデッサン力。イラスト制作のためにはとにかくデッサン力が必要となります。デッサン力はポートフォリオと実技で確認されます。美大生がゲームイラスト制作会社で求められる理由もこの点にあります。実技というごまかしの利かない状況でもデッサンができるかどうかが最大の焦点です。そのためにもとにかく描いて描いて描きまくってください。
2つ目がテイストを寄せるスキルです。ソーシャルゲームやスマホゲームの初期段階では、誰が描いたイラストかではなく、どんなイラストか、という点が着目されていましたが、近年はアニメや漫画原作のスマホゲームが増えていたり、著名のゲームグラフィッカーやイラストレーターがキャラクターデザインに抜擢されることも増えてきました。もちろん原作者やキャラデザの人が全てのカードイラストを描くことはしません。そのIPやキャラデザと世界観を共有したテイストのイラストをイラスト制作会社が手掛けます。そのためにもテイストを寄せて描けるイラストレーターが必要とされています。
イラストレーターとして一身独立するためには
以上の2つの点をしっかり押さえることができればイラスト制作会社に就職することは難しくないでしょう。しかし、イラストレーターの中には、会社勤めでなくフリーとして仕事を続けていきたいという方もいます。そのような方はとにかく自分の作品が周知を集めるように最大の手を尽くしてください。イラストレーターとして界隈に名前が知られるようになれば、自然と声もかかるようになります。
これからの時代は単純な人手としてのイラストレーターは社員化が進むでしょう。フリーへの仕事は細くなっていきます。その中でイラストレーターとして仕事を続けるためには自己ブランディングが大切です。実力と同等以上のレバレッジをかけて今から手を広げておく必要があります。イラストレーターとしての生き方は様々あります。ぜひ参考にしていただいて自分の将来としての仕事を作り上げていただければ幸いです。