アニメ監督のイメージ
こんにちは!新人山崎です。アニメ業界を目指される方の中には、アニメ監督になりたいという志の高い方も当然いらっしゃるかと思います。私はアニメをみるのは好きですが、あまり監督という職業に今まで興味を持ったことが無かったので、思い浮かばれるのは宮崎駿さんや高畑勲さん、押井守さんや庵野秀明さんなど、有名な方々ばかりです。ちなみに、私が一番好きな監督は亡くなられた今敏監督です。彼の回顧展などに足を運びましたが、今さんは非常に絵がお上手で、そこからアニメ監督たるもの、「やはり絵が上手くないとなれない職業なのだな」と思っておりました。しかし、実はそうではありません。なんとアニメ監督は、絵が描けなくてもなれる職業だったのです。
アニメ制作には様々な役職がある!
手前味噌ですが、こちらの記事を御覧ください。こちらはタイトル通り、アニメ制作は絵が描けないとできないのでは?と思っている方へ向けて書いたものです。今回もこれに似たことを言っている部分があるので、こちらの記事を先に読んでおくと、よりわかりやすいかもしれません。
記事の真ん中あたりを読んでいただくと、絵を描くスキルが必要な役職と、そうでない役職が分類されている箇所がありますね。必ずしも絵を描くスキルが必要ではない役職という部分を見て下さい。その先頭に、「監督」とあります。そうなのです。なんとアニメ監督という役職は、動画(アニメーター)や作画監督を務めていなくても、状況次第でなれるものだったのです。アニメの制作進行について書かれた『アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本』という著作に書かれていたので、現場によってもしかすると違いがあるかもしれませんが、監督になるのであれば画力は必ずしも必要ないという十分な根拠と言えるのではないでしょうか。
監督という仕事は何をするのか
監督というポジションは現場や制作する作品の形態によって違います。監督は演出、脚本、絵コンテという役職で任される仕事を包括した役職と言うと分かりやすいでしょうか。要するに全部やります。演出に関わるすべてを総括するポジションですが、現場の状況によって仕事が違うのです。従って、監督という役職はこれ!と規定できません。
よく監督と比較されるのが、演出、絵コンテなどですが、これをすべて監督が行う場合もあるし、それが難しい場合はそれぞれ役職をつけて、監督はその人たちにある程度仕事を任せるというポジションになります。テレビアニメシリーズですと、監督がすべての話を管理するのが難しい場合など、監督代理のようなポジションとして演出が割り振られます。
https://www.excite.co.jp/News/reviewmusic/20120420/E1334846361635.html
少し古くなりますが、こちらの記事の佐藤順一監督の回答が非常に分かりやすいです。
(引用開始)
「絵コンテを元にカットを組み立てて画面にしていくのが演出。絵コンテはシナリオを作品にするための設計図。監督はほぼすべての作業に対して責務を持っています。演出と絵コンテは現場作業で、アニメーターさんに『こういう画面をつくりたい』と伝えるのが実務。(後略)
(引用終わり)
監督というポジションを任されながら、絵コンテを切ったりすることはままあることです。という話を聞くと、「やっぱり監督は絵がかける方がいいじゃないか」という意見が聞こえてきそうです。先ほどの記事にもありますが、絵コンテというのは脚本の流れを整理して作品を構成していく作業です。この時に必要なのは、どういう絵が欲しいのかということをアニメーターに伝えるというスキルです。先ほどの記事の4ページ目を引用します。
(引用開始)
「監督は必ずしも絵を描けなくていいんです。下手でもいい。どういう絵が欲しいのかがアニメーターに伝わればいいんです。絵に頼れないから、別のところでなんとかしようとする知恵がつく。どう面白くするかが大事です。」
(引用終了)
なんども言いますが、アニメ制作というのはチームプレイです。監督は作品のシナリオや構成、特殊効果のかけ具合から色彩のチェック、声優の演技や音楽のかかり方などをすべてチェックします。クリエイターたちに対して自分が欲しいと思うものを提示し、上がってきたものをブラッシュアップしていくのです。そのような仕事がしたい!という方は是非とも目指してみてください。
記事を読んでいただき、ありがとうございました!