ある大手メーカー勤務者のつぶやき
求人広告の仕事をしていると、当たり前ですが転職者さんの声をよく聞きます。もちろん大手メーカーから転職したい、という方も年間何百人といらっしゃいます。一時期、そういった方々に転職理由を聞くことがありました。すると、人間関係や会社自身の傾きによって転職したいとする人はほとんどおらず、皆「もっと自由に仕事がしたいと思ったから」と言います。これは新卒で大手に入った方々にから特によく聞く言葉でした。大手に入ったからといって全ての人が歯車のような働き方しかできないわけではありません。しかし人数が多い分、そして優秀な人材も多い分、なかなかディレクションのような仕事を全員ができるわけではないのが実情です。そういった理由から「制作の全行程に関わりたい」と、中小の制作会社や開発会社に行く人は何人もいました。今でもそういう人たちが転職活動をしています。逆に新卒で中小に入ったという人は、大抵一から十までの工程を全てマスターする必要があるので、かなりタフな人材に育ちます。そしてこれが、実はキャリア形成にかなり役立つのです。
確実に大手に受かるある方法
この前のエントリで、新卒が大手に受かるのは大変、という記事を書きました。理由としてはそれなりの覚悟が必要なこと、即戦力が求められること、その上履歴書はほとんど瞬間しか見られないので運的な要素も大きいということです。しかしそんな大手企業の人事採用担当者から履歴書を穴のあくほど見てもらえて、即戦力としても採用してもらえる方法があります。それは「中途採用として応募すること」。中小企業できちんと腕を磨き、全行程に責任が持てるような頼もしい人材に育ってから大手企業を受ければ、年齢が行き過ぎていなければかなり重宝され、即採用ということも夢ではありません。これは中小企業ならではの「人数が少ないために1人の負う責任が大きくなる」ことから、成長スピードが大手に比べて早くなりがちという特徴に因るものです。中小企業は自社コンテンツよりも受託コンテンツを仕事として請け負うことが多いため、大手企業ほどいちコンテンツの売り上げに対する責任は重くありませんが、制作物を仕上げるという意味での責任は同等かそれ以上に負います。このプレッシャーが適度に人を育て、大手でも十分やっていける必要な人材として魅力的に映るようになるのです。
中小企業の方が楽しい?!
一方で、先に書いたように大手企業から中小に移る、という人は年間少なくありません。こうして中小企業でスキルを磨き大手に行くぞ!と最初は予定していても、実際は会社での適度な責任と自由度が楽しくて、結果的にその会社に骨をうずめるということもあるでしょう。それは全く悪いことではありませんし、逆に新卒の頃であれば「とりあえず大手」というスタンスだったかもしれないところに新しい基準が入ったことで、人としても成長できます。そもそも大手企業、メーカーの全人数を足しても世の中に数多ある開発会社、制作会社の従業員数を全て足したほうが人数が多いのです。アニメゲーム漫画業界の影の立役者として活躍しているのは中小企業の名もなき戦士たちと言っても良いのかもしれません。中にはそこから自分の作りたいコンテンツのために起業する人もいます。大手を経験してから最終的に起業し、自分の作りたいもの、夢を追いかけるという形でも良いでしょう。新卒の皆さんからはまだ想像もできないかもしれませんが、起業は難しいことではなく、自由度という意味では最大です。もしあなたが今「大手に入って有名タイトルに関われれば…」という思惑で就活をしているのであれば、この世にはもっと色々な活躍の仕方があると視野を広げてみることをお勧めします。
中小企業に受かるために必要なこと
さて、それでは肝心の中小企業に受かるためにはどうすれば良いのか?まずは企業名を知ることでしょう。現在ラクジョブに載っている会社さんを片っ端から調べてももちろんOKです。新卒採用をしています!と書いてあるところはもちろん、何も書いてないところでもとりあえず応募しましょう。とにかくこれに関しては数です。HPを見てもあまり更新している会社は無いので、実際面接となってから会社や人を見て判断することをお勧めします。HP更新は本当に大変なのです。。それはともかく、中小企業に関しては「受かったところが良いところ」という判断で良いでしょう。ネット上にもよく情報はありますが、匿名性の高いものはあまり信用できません。社内の人間はわざわざネットに自社の良い噂を流すほど暇では無いからです。必然的にどの会社もある程度同じくらい悪い噂があるとしたら、もうそれは考えるだけ時間の無駄になってしまいます。気にしないようにして、とにかく数を受けてください。中小企業の場合は履歴書をきちんと見てもらえる可能性が高いので、履歴書の内容はしっかり充実させてください。また、人事採用担当者がいないというケースも一般的で、基本は現場のチーフか社長が履歴書を見ます。面接も現場の方や社長という可能性は高いでしょう。しかし、その分制作についての情熱はぶつけられます。皆さんのクリエイター魂を面接できちんとアピールしてください。