本日、女子中学生を2年間監禁していたという罪で逮捕されることとなった寺内容疑者ですが、日刊スポーツの記者が29日に書いた記事に対して、アニメファンが一斉に反論し、同日「東スポWeb」認識を改める必要があるという記事が掲載されました。この件に関して、アニメ業界の市場規模という観点から考察いたしました。
埼玉県朝霧氏の中学生の生徒が約2年ぶりに見つかり、大きな話題となっています。しかしその中で、日刊スポーツの記者によって以下の記事が書かれました。
女子高生アニメに熱中…寺内容疑者の素顔同級生語る
https://www.nikkansports.com/general/news/
1623432.html
引用始め
女子高生が主人公の人気学園アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」に熱中し、カバンには同アニメのキーホルダーを付けていたという。
引用終わり
この記事に関して、アニメファンや多くの若者からネット上で多数の反論意見が挙がりました(「埼玉の女子中学生事件の容疑者は『涼宮ハルヒの憂鬱』に熱中」日刊スポーツが報じる ネット上で反論多数)。そして同日、『東スポWeb』にて
女子中学生監禁男「女子高生アニメに熱中」記事にアニメファン反発
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/ entertainment/524236/
短絡的にアニメと犯罪を結びつける報道姿勢からの脱却が求められるというコメント記事が出るということになりました。
宮崎勤元死刑囚の連続幼女誘拐殺人事件
この事件の背景としては、「宮崎勤元死刑囚の連続幼女誘拐殺人事件」という事件が関連しています。この事件は、1988年から1989年にかけて、年齢の低い女児ばかりを誘拐し、殺害したということで捕まり、その後死刑が執行されました。その時の操作の際に、家宅捜索で押収された5000本以上のビデオテープの多くがアニメであったということで、「アニメ好き=異常性癖者」という認識が生まれました。当時は、なかなかこのような趣味を持った人が少なかったため、あっという間に世間に浸透し、近年まで続いていました。
アニメの市場規模
では実際、当時の状況からどれくらい変わっているでしょうか。株式会社 メディア開発綜研による「アニメーション市場分析プロジェクト」の調査結果では、事件のあった当時のアニメーションの市場規模は、1000億程度ですが、この20年の間に、その市場規模は、2.5倍の2600億円にも膨らんでいます。2004年以降からは、リーマンショックによる一時的な縮小はあったものの、VODや動画配信サービスなども始まりで、市場規模は拡大を続けています。また、電通綜研の調査の結果(https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2015038-0420.pdf)では、今しかできないと思う趣味・好きなこととして、男子の高校生、大学生、20代の約10%がアニメを上げ、トップ2に入るなど若者のアニメに対する新党はかなり大きくなっていることがわかります。
近年のアニメ産業の拡大
日本政府のクールジャパンの一環にある、日本アニメを世界に打ち出していくという政策を始め、アニメの原作で描かれた舞台がアニメファンの聖地となり、地域復興に貢献したり、日本の2015年の邦画映画の興行収入トップ10のうち8本アニメがしめたり、また、アニメ専門動画配信サービス「dアニメストア」は2016年2月の段階で会員数200万に到達し、アニメ事業の拡大を発表するなど、社会へのアニメの浸透は年々大きくなっております。
今回の出来事に関して
今回のことは、アニメに対する世代間の認識の違いが大きいでしょう。今の20代までのほとんどは、宮崎勤元死刑囚の事件当時は生まれていませんし、その際のアニメに対する悪い印象を持っておらず、フラットな印象でアニメを見ています。そのため、ジェネレーションギャップが大きかったのでしょう。そして、先入観によって印象付けられていることはまだまだ他にもたくさんあるのではないかという出来事でした。