誰もが憧れる大手企業
アニメゲーム漫画業界を目指す時、誰しもがまずよく名の知られた大手企業を目指します。逆に、大手でない場合は社名をまず知るところから始める必要がありますので、自然と応募数が増え競争が激しくなるのも大手企業になるのです。安定性が高そう、給与も高そう、人に自慢できる、キャリア形成ができるなどなど、新卒の皆さんがメーカーを目指す理由は様々だと思います。「メーカーであればどこでも良い」という人から「あの会社じゃないと意味がない」という人まで毎年何人も目にしますが、メーカーに入るということはそう簡単ではありません。今のあなたの就活方法で果たして大手に受かるのか?というちょっと厳しめの話を今回はお届けしようと思います。大手を受けたい人も、気になってるレベルの人も、大手はあえて受けない!という人もご覧ください。
大手企業は履歴書を読まない
さて、大手企業についてですが、まずもって大手企業はいちいち履歴書を読みません。というか読む暇がありません。どんな大きな会社でも新卒を見る人事採用担当が5名もいる会社はなく、せいぜい1名から2名です。その人達が毎年何千、何万と来る履歴書を丁寧にチェックできるはずがあるでしょうか?ありません。というわけで、せいぜい履歴書で見られるのは字の綺麗さや写真の第一印象くらいだと思ってください。ポートフォリオもまじまじとは見られません。こういった書類を見て、ほぼ一瞬で「なんとなく合格」「なんとなく不合格」は決められてしまいます。私の知っている某企業では、あまりにも履歴書が多く来るために新卒採用シーズンは昼休みに課長や部長が会議室に集められ、全員で履歴書の区分けノルマがあったと言います。「お昼も食べられないし、全然休み時間にならないし、正直早く終わらせたかった」というコメントと共に語られた時は、履歴書をあんなに時間をかけて書いた意味とは…と思ってしまいました。
ですから実際、やっと面接まで行った!というくらいで初めて履歴書はまともに眺められます。とはいっても詳細まで見ません。何しろ面接で学生さんに対面した瞬間に「この子の履歴書ってどれなの?あ、これ?」と目を通されるくらいのレベルです。皆さんの戦いはほとんど運と面接にかかっていると言えるでしょう。
入ってからの地獄を味わいたいか?
面接では様々なことを聞かれると思いますが、細かい内容に対する返答の正解はありません。強いて言うなら「生半可な気持ちじゃないか」だけが見られます。生半可なな気持ちでで受けると入ってから地獄を見るのが大手企業だからです。その理由は後で説明しますが、「本当にこいつは大手企業の重みをわかっているのか?」「大手企業でコンテンツを作り出すということがどういうことか理解しているのか?」ということだけが全体を通して企業側が見たいこと、知りたいことです。表面だけの「頑張ります」という態度はすぐに表面だとばれてしまいます。即戦力として、教える量が最低限でどこまで持ち前のスキルが活かせるか、責任を持ってコンテンツを生み出すことができるか、つまりは「入社する前から一人前かどうか」が重要です。少し大げさではありますが、明日から突然入社して、「じゃあ仕事しておいてね」と放っておかれてもなにをすべきかわかるという人だけ欲しい。それが大手企業です。
「大手だから」以外の志望理由がありますか?
なぜここまで厳しいことを言うかといえば、大手企業にとっては「大手だから行きたい」という人材ほど危険なものはないからです。大手企業だって一度は大手ではなく、本当に少数の人数から始まったこともありました。しかしその頃から今まで大きくなってきたのは、不断の努力があったからなのです。どういう判断をすれば良いか、ギリギリの段階でも決意ができた人材が沢山いたからこそ成長できたという面があるにもかかわらず、「大手だから入りたいです!」という志望理由では単に現在の会社の大きさに乗りたいだけ。そういう人ばかりになってしまうと、会社は停滞してしまいます。大手企業が何よりも人材について恐れているのはそこなのです。
会社の未来が負える人しか必要とされない
私の友人に某大手ゲームメーカーでプランナーとして働いている子がいます。その子は女性ですが、最初に在籍したチームがとても居心地が良く、サークル感覚で仕事をできるということに逆に焦りを感じたと言います。結果、もっと忙しくて暇がなく、休みもなく忙殺されるような部署への移動を希望、すぐに転籍しました。彼女なりの仕事のやりがいを求めた部分ももちろんありますが、社会人として自らの価値を出すため、忙しさを所望するような人材がメーカー側では求められています。アニメゲーム漫画はどれでも、大手企業だからといって楽ができるわけではありません。どちらかというとその逆。常に自らのコンテンツに責任を負い、次の作品がコケたら終わり、という会社の命運の一端を握っていると意識していないととても務まりません。与えられた仕事をするという状態ではなく、何をすれば会社に利益を生み出せるか、どんなビジネスモデルを提案すれば世の中をリードできるか考えるのがメーカー側、大手企業と呼ばれる所以なのです。
そもそも大手と言われる会社はこの5年の間でも大きく変わりました。現在では上場も済ませて安定の大手だと認識されているゲームアプリ系の会社が、5年前はほとんど影も形もなかったなんてことはよくある話です。その5年間の中で、いち開発会社だった会社が、いちコンテンツメーカーだった会社が、他社には真似のできないくらいの努力や熱意を持って荒波を越えてきたからこそ現在「大手」と呼ばれるまでに至っているのです。逆に皆さんが子供の頃は大手メーカーだった会社が今では合併されて無くなっていたり、倒産してしまっていたりという話も全く珍しくないでしょう。今の大手と言われる会社も、数年後にそうなるかもわからないのです。そして、それが起きるとしたら原因は時代でも技術でもなく、人です。人が技術を入れ、人が時代を作るのです。皆さんが単に大手メーカーで成長させてもらおう、有名なゲームタイトルに関わろう、と思うだけでは大手は大手として存続しません。この業界の全責任を負って立つほどの覚悟があってはじめて、大手を受けて良いと思ってください。