自分が入っていく業界の構造を知っておくことはとても重要です
記事を読んでいただき有り難うございます。今回の記事はこれからアニメ、ゲーム、漫画業界に入っていこうとする人に向けて書いています。日頃よりクリエイター志望の方とはメールや電話でやり取りをさせていただく機会がありますが、多くの求職者に共通することがあります。それは「自分はこういうゲームが作りたい」や、「自分は絵を描くことを仕事にしたい」など、自分がどうしたいかという事については考えているのですが、自分が入って行く業界については基本的なことについても知らないという事です。もちろん、クリエイターとして素晴らしい成果を出せばそれで何の問題もありません。自分がどんな業界で、どんな仕組みの中で仕事をするのか、頭に入れた状態で就活をした方が人事担当者と話しもかみ合うでしょう。今回の記事では、業界に入って行く前の初歩的な知識について書きたいと思います。
パブリッシャーか下請け会社か
アニメやゲームや漫画などのクリエイティブな物を作る企業は、大別すれば2つに別れます。それは「パブリッシャー」と「下請け」です。後者の「下請け」は「受託会社」や「開発会社」などと言う事もあります。
「パブリッシャー」と「下請け会社」で何が決定的に違うかといえば、それは「資本を出すかどうか」という点です。ドラクエでいえば、ドラクエというゲームのコンセプトを考え、設定や世界観を考えてお金を出すのがスクウェアエニックスです。これがパブリッシャー。パブリッシャーはお金を出し、下請けの会社に対して背景のグラフィックやキャラクターの作成を発注します。さて、ドラクエを作ったのはどっちか、といえば「どちらとでも言える」が正解です。パブリッシャーがいなければドラクエという企画自体が存在しませんし、優秀な開発会社が居なければ、ドラクエは完成までこぎ着けません。
パブリッシャーと開発会社は考えていることが全く違う
パブリッシャーと開発会社とでは、考えている事が全く違います。パブリッシャーが売っているのは自社で考案したタイトルでありアイデアです。年間いくつものアニメやゲームがリリースされる中、何が当たるのかは分かりませんが挑戦していくのがパブリッシャーです。パブリッシャーが気にすることは、消費者が何を求めているのか、ゲームやアニメをどう宣伝すれば効果的なのか、収益化するのにどんな戦略をとるのか、など主に「市場」に関する事です。
一方の開発会社が気にすることは、主に「どこに仕事があるのか」「仕事をこなすのに人をどうやって配置しようか」というような事です。完全に受託開発をしている企業の場合は、いかにパブリッシャーから仕事を受託するか、パブリッシャーの仕事を受託した会社の仕事に参画して行くかということになります。より具体的に言えば、いかに人月の高い案件を探し、いかにそれをやるコストをダウンさせるか、という事が関心事になります。
モノ作りがしたいのか、視野を広くしたいのか
パブリッシャーと開発会社のどちらに行きたいのかは、個人の想いによります。自分が手を動かして、職人のようにデザインやプログラミングを作るのが好きだ、という場合にはCGスタジオなど開発会社に求人を探して見て下さい。あるいは何か面白いゲームを作りたい、新しいサービスを生み出して見たい、というような人は、パブリッシャーが良いかもしれません。パブリッシャには一般的に大手企業が多いので狭き門にはなりますが、開発をしつつ自社開発タイトルに挑戦している企業も多数存在するので、そうした企業から探して行っても良いかもしれません。