ゲーム業界がコンシューマーゲームからソーシャルゲーム、スマホゲームにシフトしてから、ゲームの遊び方そのものが大きく変わりました。スマホさえあれば、いつでも、誰でも、ゲームができる時代になりました。スマホでゲームを遊ぶ体験をいかに最大化できるかがゲーム開発各社の焦点となっています。今回はそのスマホゲームの最重要要素の一つであるUIデザインについてです。
UIは何のためにあるのか
UIとは、ユーザーインターフェース(User Interface)の略です。簡単に言えば、ゲームプレイヤーとゲームをつなぐものです。コンシューマーゲーム時代には、コントローラーがゲームに指令を送るための装置でしたが、スマホゲームが主流になると、コントローラーがなくなり、スマホの画面そのものをタッチすることでゲームに指令を送るようになりました。つまり単純な話、スマホゲームの一つ一つ、スマホ画面の一つ一つに合った形になるようにコントローラーを1から作るあげる時代になったとも言えます。
ゲームを遊ぶ際に、ゲームのコントローラーがどんな形をしているかは普段あまり意識に上がらないと思います。それぐらいゲームコントローラーの形は手になじむように形が決められています。使いやすくて普通、何かの原因で少しでも不具合が生じるとイライラしてしまいませんか。コンシューマーゲームであれば、原則1ハード1コントローラーで、どんなゲームを遊ぶにしても、少し遊べば操作性もすぐに見えてきます。しかし、スマホゲームの画面(コントローラー)は、ユーザーにとって遊ぶゲームごとに初対面になります。だからこそいかに早くゲームのことを理解させてあげられるかがゲームの初印象を決定するカギにもなります。
文字だけのUIはもう古い?
では、そのためにUIはどうあるべきか。UIの原則は、「そのUIを見た時に、そこを押すとどうなるかが一瞬でわかること」です。ゲーム性がいかにしっかりしたものになっていても、UIがしっかりしていないのであれば、そのゲームのゲーム性を十二分に楽しめません。
「パズドラ」の大ヒットからスマホゲームが台頭する前、ソーシャルゲーム黎明期は、ガラケーのいわゆるポチポチゲーが主流でした。ガラケーなので、液晶をタッチして操作するのではなく、ボタンを押して、項目を選択するタイプでした。この頃のUIのメインは少しデザイン性のある枠と文字で構成されるものでした。いわば「WC」と書いてあるからトイレだとわかる世界です。しかし、ゲームの快適なプレイ環境のためには、文字で表現するだけでは足りない時代になっています。
瞬間理解のためのピクトグラム、アフォーダンス
スマホゲームのゲーム画面は、より直感的な理解を求めます。「WC」という文字を介しての理解では、スピード感、リズム感のあるゲーム体験を提供するには足りません。最近のUIは直感的にすぐにわかるように文字を使わないものも増えています。それぞれのUIには、イラストがメインで構成されており、文字はそのおまけ程度の大きさになっています。例えるのであれば「WC」とすら書いてなくて、三角形の体型で赤色なら女性トイレ、逆三角形の体系で青色なら男性トイレと言った具合です。デザインを少しでも勉強した方であれば、アフォーダンスやピクトグラムといった言葉はご存知かと思います。
しかし、中には「文字で説明してあげた方がわかりやすくて早いのでは?」と思うかもしれませんが、文字を介すことは頭の中でワンクッション置くことになってしまいます。例えば、「木」と言えば、誰でも地面から生えている木をイメージすることはできます。しかし、「tree」と言われると、「木」と言われるよりも情報処理は遅いはずです。それは、「tree」という文字を介してイメージするからです。そして日本語であっても「木」は文字であって、情報処理を遅くします。木のイメージをより早く届けたいのであれば、そのまま木の画像を見せてあげることが一番早いのです。
UIがゲームの世界観を作る
では、それをゲームで考えるとどうなるのか。ゲームには様々な要素があります。攻撃、防御、必殺技、回復、装備、合成、ガチャ、課金など挙げればキリがありません。そしてこれら全てがゲーム画面上に文字で表示されていたら、スマホゲームは今ほどの発展を見せていなかったでしょう。瞬時にわかるようにイラストを用いて行動を誘導するUIの技術があったからこそスマホゲームは飛躍的に発展を遂げました。そしてだからこそUIは各社とも高いクオリティを求める制作セクションにもなっています。
しかし、だからこそUIはゲームの面白さ全体を底上げすることもできます。キャラクターのカードイラストはスマホゲームの花形です。かわいい美少女、かっこいいイケメンは誰もが描きたがりますし、ユーザーからも一番注目されます。最近では有名イラストレーターを起用し、「キャラクターデザイン○○」というクレジットで認知を広げるゲームも増えています。しかし、実際そのゲームイラストを目にする時間はゲームプレイの総時間からすれば短い間でしかありません。しかし、UIはゲームプレイ中のどんなタイミングでも必ず目に触れます。つまり、UIがゲームの雰囲気を作り上げる世界観の根底にあると言っても過言ではありません。
ゲームUIデザイナーの重要性は日々日々高まっています。ゲーム業界か否かは問わず、UIデザインの経験者には広く門戸が開かれています。UIデザイナーがゲーム開発に挑戦するなら今が最高のタイミングです。ぜひゲーム業界に興味のある方は、ラクジョブの求人情報もご覧になってみてください。