3人に1人がゲーマー
記事を読んでいただきありがとうございます。今回の記事は、CESAの調査から見えてくる日本のゲーム市場の動向についてお送りします。先日、一般社団法人コンピュータエンタテインメント協会によって、2015年度の日本のゲーム利用について調査が行われました。その調査においては、日本のゲームユーザー(3歳から79歳まで)を対象に、日本全体でどのくらいプレイヤーが分布しているのかという実態調査が行われました。
調査の結果ですが、日本全体でのプレイヤー総数は4336万人であるということがわかりました。日本人全体の3分の1は、何らかのゲームのユーザーであるいうことになります。その内訳を見てみると、およそ3099万人は「スマートフォン/タブレット端末」のゲームとなっています。いまやコンシューマゲームは完全に傍流であり、ゲームの主戦場が完全にスマホであるということがわかりますね。
コンシューマゲーム機は、稼働率が非常に低い
スマホ優位がわかる一方でこんな意外な結果もありました。コンシューマゲームのハードを所有している人は5224万人いるということです。日本全体の半数とはいきませんが、やはりこの普及率はすさまじいものがあります。その一方で、現在進行的にコンシューマゲームをプレイしている人口ともなると1539万人程度に下がります。つまりコンシューマゲームはアクティブユーザー数が少ないという課題を持っているということがわかります。
コンシューマゲームは、スマホゲームなどに流れがちなユーザーの意識をいかにつなぎとめておくのかという点が課題です。スマホゲームは生活におけるあらゆるタイミングで接触しますし、ゲームへのアクセスもプレイも手軽ですが、コンシューマゲームはゲームとテレビを接続してソフトを挿入して、、、といった具合にワンクッションもツークッションも必要になります。スマホの存在を無視することのできない現在、こうしたギャップを埋めるほど面白いコンテンツを作っていくことは並のことではありません。わざわざゲームのために時間を作り、テレビの前に座り(DSなどではその必要はありませんが)、ゲームの時間を作る、というのは今や少しオタクなヘビーユーザー層に限定されてきているのかもしれません。
生活に密着するスマホゲーム
一方で3000万人以上のユーザー層が存在するスマホ/タブレット端末ゲームのユーザー層は、ゲームに対してコンシューマゲームとはまるで違うものを求めています。特に近年のソーシャルゲームなどはそうですがゲームそのものの作りは昔ながらのパズルゲームであったとしても、他のプレイヤーとの交流や競争動機の喚起などのゲームデザインの面でユーザーを惹きつける工夫がなされています。また細切れの時間においても遊べるので、今まではゲームに時間を使ってこなかった主婦などのライトな層もゲームの世界に取り込んだということが大きいです。
ソーシャルゲームはゲーム性云々よりもいかに課金のシステムを設計するか、いかに広告宣伝をするか、いかに一定のプレイヤーをヘビーユーザーとして固定客化するかという計算の方が売り上げに関連性が深い、ということが開発担当者の間で気づかれています。コンシューマゲームは、元をただせばファミコンが出自であり、当初のファミコンとは明らかに、「おもちゃの一つ」であったはずです。コンシューマゲームが現在においてもおもちゃの延長であるとするなら、ソシャゲやアプリはなんなのでしょうか?少なくとも、根本思想からしてコンシューマゲームとは一線を画していることは間違いありません。現在のスマホゲームは使う人によって仲間との社交ツールの1つにもなり得ますし、アニメキャラのファングッズの1つにもなり得ます。現在のスマホゲームは、ユーザー個人にとって多様な意味づけを持つ生活用品のようなもの、という表現の方がふさわしく思えてきます。コンシューマゲームとはスマホゲームを同じ土俵に乗せて比べること自体に無理があるのかもしれませんね。
コンシューマもスマホゲームも、日本という土壌の上で他国にはない発展をしてきたという点では共通しています。今後のゲーム市場がどう展開して行くかは分かりませんが、日本らしさを無くさずに変化して行って欲しいものです。