中小企業とは
記事を読んで頂きありがとうございます。就職や転職をしようとか、そもそも転職すべきかどうかを悩んでいる方に向けての記事です。ゲーム会社に限らず日本の企業構造として多くの会社が中小企業であり、大企業に該当するのはごくわずかです。中小企業と大企業の比率については、少し古いデータになりますが2006年のデータを元に経済産業省が発表している資料によると、企業数421万社に対して、中小企業は99.7%を占める419.8万社あり、大企業に分類されるのはまずか0.3%の1.2万社しかありません。従業員数で比較しても、従業者数4013万人に対して、大企業に勤める人が1229万人、中小企業は2784万人と実に7割以上が中小企業に勤めていることになります。ちなみに中小企業とは業種によって定義が違いますが、サービス業の場合、資本金5000万円以下または従業員数100人以下の会社を中小企業と呼びます。つまりクリエイターが50人在籍する会社でも資本金が5000万円を超えないのであれば、中小企業に該当します。一般的に中小企業というと1~20とか30人くらいのイメージであったかもしれませんが、実際のところは100人までは中小企業と呼ばれます。
ゲーム業界で言えば、開発会社のほとんどが中小企業に該当します。そしてゲームパブリッシャーと呼ばれる会社でも中小企業に分類される会社が一部存在します。特に最近はスマートフォン向けのゲームを自社で開発して運営している少数精鋭の会社も増えてきましたので、パブリッシャーだけど中小企業に分類されるという事例は増えていると思います。経済産業省からするとある意味当然ではありますが、仕事の内容うんぬんではなく、資本金と従業員数のみで企業規模を判断していると言うことになります。
大企業に就職すると
大企業に就職するとどうなるでしょうか。これはあくまで個別の事例を元に書いているわけではないので、大きなくくりでの話になります。大企業でゲームクリエイターとして就職すると、実際に物作りを担うプログラマーやCGデザイナー、プランナーは、それぞれ担当する仕事の中身はかなり細分化されて業務に当たることになります。これは実際にゲームパブリッシャーのホームページの求人情報を見ればわかることですが、プログラマーという職種をひとつとってもサーバーエンジニア、ネットワークエンジニア、インフラエンジニア、データベースエンジニア、クライアントプログラマーなどなどかなり多岐にわたっています。コンシューマーゲームがゲーム業界の主流だった頃はゲームプログラマーというひとくくりで何も問題ありませんでした。ところが技術が進歩し、ネットワークを前提としたゲーム作りが当たり前になってくるとそういうわけにもいかなくなってきました。CGデザイナーもUIデザイナー、キャラクターデザイナー、背景モデラー、エフェクトデザイナー、モーションデザイナー、フェイシャルデザイナーなどなどこちらもかなり細分化されています。技術という面で考えると、大企業に就職すると特定の分野でのスペシャリストになることができます。給与面では中小企業よりも高い賃金を設定している会社がほとんどであるため、年収ベースで考えると同じキャリアでも中小企業に就職するよりも100万円以上高くなることはざらです。さらに福利厚生面も充実していることがほとんどですし、親の立場からしても上場企業に就職したという方が安心することでしょう。
逆にデメリットとしては、技術面ではスペシャリストになることができる反面全体的な作業に関われなくなるため、あくまで大きな流れの一部を担うことしかできません。もちろん中小企業でも細分化している会社はありますが、それでもせいぜいプログラマーがサーバーサイドとクライアントサイド、2DCGデザイナーはUIデザイン、キャラクターデザイン、3DCGデザイナーはモーションデザイン、モデリングといった感じです。中小企業では資金面でも人材面でも潤沢に開発リソースが用意できるわけでもないですし、一人が担当する幅は大企業に比べて大きくなります。そのほか、転職の際に選択肢が限られやすくなります。というのも、年収自体が中小企業より高く設定されているので、同じメーカー間の移動にしないと給与が下がる可能性が高いですし、業務自体が細分化されているため、同様のことをしている他のメーカーに移らないと需要がなかなかないと言うことがあげられます。また、多くの企業で現場の1デザイナーやプログラマー、プランナーがゲームそのものの作りについて介入できる機会はかなり少ないので、自分のクリエイティビティを発揮する場はあるけれども、自分の作りたいもの、こうした方が面白いのではないかというアイディアが反映されにくい傾向にあります。
中小企業に向いている人
では中小企業に就職するとどうなるのでしょうか?中小企業では、多くの会社がゲームパブリッシャーからの委託を受けてゲームを開発しています。人数が少ない中でゲーム開発を行っていくことになりますので、ゲームを制作する過程の大きな流れを実際に開発しながら実感することが出来るようになりますし、一人に任される部分も大きいので自分の作りたいものやもっとこうした方が面白くなるというアイディアを持っている方からすると、よりゲーム制作に没頭できると思います。中小企業における一番のメリットはそういった部分にあると思います。どれだけ自分の思いをゲームという形にするのか、それを考えたい人、表現したい人であればあるほど、ひとつひとつの作品作りにより熱が入り、いいものが生まれてくると思います。また、上場企業と違って株主の意向といったことを気にする必要がないというか、社長イコール大株主なことがほとんどなので、たとえば作ったゲームが大ヒットして会社にお金がたくさん入ってきたときに社長の一存でスタッフのみんなに還元すると言うこともあり得ます。
デメリットとしては大企業に就職するメリットを見てもらえればわかるとおり、給与が低かったり、福利厚生が充実していなかったり、会社としての資金力が弱いということがあります。それでも中小企業に入ってゲーム作りをしたいと思うのであれば、お金ではない部分を自分自身の目標とした上で入ることが必須です。もちろん、年収を上げるために最初に入った中小企業で経験を積んで大企業に転職すると言うことも可能です。ですが、それであれば最初からゲーム業界でなくても良いはずですし、もともとなぜゲーム業界で働きたいのかという観点から、一度就職なり、転職なりを考えてみてほしいと思います。
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