コンシューマーゲーム業界からソーシャルゲーム業界への転職は最良の選択か!?
ラクジョブ運営の榊原です。今回はゲーム業界転職事情と年収に関してのお話です。
数年ほど前からスマートフォンの発達とともに、ソーシャルゲームのクオリティが飛躍的に上がってきています。それに伴い、ソーシャルゲームでもゲーム性を求められるようになっています。しかしながら、初期の頃からソーシャルゲームをやている企業はITの企業が多く、レベルデザインであったり、当たり判定であったり、パラメーター調整など、ゲームの面白さを引き出すためのゲーム性に関してあまり詳しくはありませんでした。そのため、ソーシャルゲームを作る会社にとって、もともとコンシューマーゲームを作っていたクリエイターはソーシャルゲームを作る上で必須となっているのです。
ラクジョブという就職転職サイトを運営しつつ、アニメ・ゲーム・マンガ関連の営業コンサルをやっている関係上、採用担当者、協力会社や外注先を取りまとめているディレクターやプロデューサー、そして経営者の方とよくやりとりをさせてもらっています。その際、つくづく思うのが、転職が多い業界なんだなという印象です。大体、月に1、2人はそういう人を見受けられます。とはいえ感覚値ではなく、実際のところはどうなのでしょうか?ゲーム業界で主要となる企業26社のデータを見ながら転職事情について考えていきます。
業界動向リサーチ(勤続年数ランキング)
https://gyokai-search.com/4-game-kinzoku.htm
このデータによると、
1位 ソニー 17.9年
2位 任天堂 12.8年
3位 バンダイナムコホールディングス 12.7年
でした。
傾向としては、大手のコンシューマーゲーム会社ほど勤続年数が長いという結果でしたが、一方でソーシャルゲーム業界は勤続年数が非常に短いです。
13位 ガンホー・オンライン・エンターテインメント 4.6年
20位 ディー・エヌ・エー 3.0年
22位 KLab 2.2年
23位 グリー 1.9年
25位 モブキャスト 1.8年
26位 コロプラ 1.2年
こちらの6社の平均勤続年数はなんと2.45年とソニーや任天堂やバンダイナムコホールディングスの4分の1以下の勤続年数しかありません。次に、これらの企業の年収に関してもデータを追ってみます。
業界動向リサーチ(平均年収ランキング)
https://gyokai-search.com/4-game-nensyu.htm
1位 スクウェア・エニックス・ホールディングス 1,351万円
2位 セガサミーホールディングス 890万円
3位 バンダイナムコホールディングス 888万円
4位 ソニー 885万円
5位 任天堂 868万円
ソーシャルゲーム業界だとグリーが6位で743万円でした。ディー・エヌ・エーが8位718万円、ガンホー・オンライン・エンターテインメントが11位の652万円という結果でした。
こちらも老舗コンシューマーゲーム会社の方が良いという結果でした。
では、実際転職者の方たちはどのようなことを思って転職するのでしょうか?
リクナビネクスト ホンネランキングベスト10
https://next.rikunabi.com/01/honne2007/honne2007_01.html
・上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった
・労働時間・環境が不満だった
・同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった
・給与が低かった
・仕事内容が面白くなかった
・社長がワンマンだった
・社風が合わなかった
・会社の経営方針・経営状況が変化した
・キャリアアップしたかった
・昇進・評価が不満だった
ソーシャルゲームの流行とともにどんどん新規企業が参入してきていますが、ソーシャルゲームを開発する会社は、主にITサービス関連から参入してきた企業です。そのため、昔ながらのゲームクリエイターとしてやってきた方にとってIT系出身のゲーム開発会社は環境があまり合わないということを度々聞きます。
例えば、ある大手のソーシャルゲーム会社の子会社で求人を手伝った時に、IT会社らしいキレイでおしゃれな背景や人物の映った華やかイメージの写真を使い、求人記事を書いたことがありました。しかしこの時は、応募が全くありませんでした。他社の応募状況などをもとに考えた結果、逆に映っている人物を一般的なゲーム業界風の人に変え、オフィスなどもおしゃれできれいという印象から変えて、できるだけダサく見せるようにしたのです。するとそれまでが嘘のように急に応募がくるという劇的な変化が起こりました。また、ラクジョブの会員向けに入社したい企業、入社したくない企業のアンケートを取ったところ、とあるソーシャルゲームの開発・運営を行っている会社に入社したくない理由として
「お洒落で楽しいを売りにしており、みんなで和気藹々と楽しくモノ創りをしたい人なら構わないが、自分は本気でモノ創りをするのに馴れ合いを重視していないため。」
というコメントもいただきました。このことから、勢いがあるソーシャルゲーム業界で働きたいという昔ながらのゲームクリエイターとソーシャルゲームを作るために昔ながらのゲームクリエイターを必要としているIT会社の業界の環境の違いがこのような勤続年数の差を生んでいるのではないでしょうか。
では、果たして転職するという行為は、人生から見て本当にいいのでしょうか?
この表は生涯年収について書かれています。その中で、転職した経験がある人は転職経験がない人に比べ、約3000万円から5000万円も生涯年収が少ないという結果が出ています。
さらに、転職エージェント総合情報支援サイト「日本の転職エージェント」に転職回数と生涯年収、転職して年収がアップする場合として参考になることが書かれています。
一般的に、転職回数の少なさと生涯年収の高さは比例すると言われています。 逆にいえば、転職回数を重ねれば重ねるほど、生涯年収は低くなる可能性が高いのです。
なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。 いくつか考えられる原因を挙げてみます。
・転職後は常にその企業で新参者であり、昇進しづらい
・転職の繰り返しにより専門スキルが身に付かない
・転職を繰り返すほど、希望の転職がしづらくなり、年収面で妥協せざるを得なくなる
主に考えられる原因としては、以下のようなポイントでしょうか。まず最初に言えるのは「転職を繰り返す限り、その人はいつになってもその企業では新人」だということです。これは、入社時のポジションは関係ありません。 たとえマネジャー職で入社しようと、部長職で入社しようと、その企業にとっては入社1年目の新人であることには変わりないのです。
(中略)
実際に、転職によって見事に年収アップを実現させた方も数多くいらっしゃいます。それは、具体的にはどのようなケースだったのでしょうか。
・前職給与が業界平均に比べてとても低かった
・業績が悪い企業から、業績絶好調の会社へ転職した
・年功序列企業から、実力重視の外資系企業に転職した
・大手企業から、ベンチャー企業の経営幹部クラスに転職した
・ヘッドハンティングに近い形で転職した(競合他社に引き抜かれた)
・その企業にとって大変希少価値が高いスキル・専門性を持っていた
上記の他にも様々なケースがあるでしょうが、大幅に年収がアップするケースというのはたいてい上記のようなケースが多いです。
転職エージェント総合情報支援サイト「日本の転職エージェント」より抜粋
https://xn--hckbqm1bzgvkyccb5gw123j6fnb.jp/about/salary.php
これらより、大手のコンシューマーゲームに勤めている人にとっては、転職というのは、あまりいい選択ではないでしょう。しかしながら、一般的な定義、従業員数300人以下、出資総額1億未満の中小企業ばかりのこの業界、下請けの会社に勤めている人にとっては、大手のソーシャルゲーム会社への転職は、キャリアアップや年収アップの面で成功できるでしょう。ただその際の注意点は業界の違いによる環境の差です。先の例で挙げたように、もともとコンシューマーゲームを作ってきたクリエイターにとっては、肌に合わない可能性もあります。ただ大前提として、転職する際は、実績がモノを言うので、実績はしっかり積み上げておきましょう。
私たちは、転職したいという方たちには自分にあった職場を見つけていただき、いい環境で、いい作品をたくさん作っていただきたいと思います。それがゲーム業界がもっと盛り上げていくことにつながると思います。そのためにも転職を希望される方には、まず、このことをお聞きしたい。
「あなたが転職活動で最も重要視していることはなんですか?」
今回は、コンシューマーゲーム業界とソーシャルゲーム業界に焦点を当てて話を進めてきましたが、クリエイティブなこの業界、年収が全てではないでしょう。自分がしたい仕事、身に付けたいスキル、常に生まれてくる新しい技術、年収を下げてでもやりたい、挑戦したいと思っている方もいるでしょう。そんな、夢を持っている方や熱い想いでゲーム制作をしているクリエイターの方々のためにも、最大限ポテンシャルが発揮できるような企業への転職ができるためのお手伝いができればと思っております。
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