今後10年のアニメ業界の問題点 若手アニメーターと70代の原画マン

こんにちは。ラクジョブ運営事務局の松村です。今回は知り合いのアニメ制作会社の社長さんにアニメ制作現場の問題をお聞きしたので、お話させていただきます。アニメ業界を目指している方、アニメ業界で働いている方はぜひ読んでみてください。

51U9XUZ0O4L鉄腕アトムから50年

鉄腕アトムがフジテレビ系列で放送されたのが1963年。今から50年以上も前のことです。鉄腕アトムが日本テレビアニメの歴史の第一歩とするのであれば、当時からアニメの仕事をしていた人は70~100歳近い年齢になっているはずでしょう。実際鉄腕アトムの生みの親手塚治虫さんは1928年11月3日生まれで、もし今も生きれいれば、今年で88歳を迎えていたことになります(手塚治虫さんは1989年2月9日、満60歳でお亡くなりになっています)。そして、日本アニメ業界の黎明期から、アニメーターとして活躍し続けていた人たちは、2016年の現在でも第1線で70代のアニメーターがアニメを作り続けています。

それ自体を良い悪いで一概に判断することはできませんが、少なくとも今のアニメ業界は彼らがいるからこそ成り立っていると言っても過言ではありません。今風のアニメを作る技術やセンスはないにしても、日本アニメーション時代最初期の技術は確かに今も必要とされています。そして、彼らがいなくなってしまった時のアニメ業界こそがこれからアニメ業界が考えるべき問題が表に出てきます。

shutterstock_286988390若手アニメーターが育たない…

70代のベテランアニメーターが第1線で腕を振るっていることの裏には、若手アニメーターがなかなか育っていないという現実があります。昨年、一般社団法人日本アニメーター・演出協会(JAniCA)の「アニメーション制作者実態調査 報告書2015」でも話題なりましたが、20代のアニメーター(動画マン)の年収が平均111万円という低水準ということで話題になりました。一方で動画に求められるスキルは上がっています。

元々動画は原画と原画の間の中割としての役割がありますが、最近のアニメが動きも複雑化してきており、動画の一枚一枚もただ単純の原画と原画の間を均等割りすればいいというものではなく、センスや演出の心得が必要になっています。それも影響して、上げられる動画の枚数も減って年収も低くなっています。とはいえ、アニメもこの50年の間にその形を変えていますし、かつて動画で求められていたものに戻すこともできません。かといってアニメ業界の若い担い手がいなくなってしまえば、アニメ業界の衰退は確実です。今アニメ業界の関心は若手の育成に向いています。

shutterstock_238457194アニメ業界、アニメ会社だってアニメーターを育てたい!

では具体的にはどのようなことが考えられているのか。先日お伺いした会社さんでは動画を専門に制作されている会社で、新人の育成をするために、経験者の採用をすることはなく、新卒や未経験者のみを採用しているとの話を聞きました。もちろんいつまでも動画ばかりをやっていくわけにはいきませんが、アニメーターになるための第1歩は何があっても動画からです。動画、原画、作監、演出、監督とステップアップしていって、段々とアニメがどういうものなのか理解していって、段々と自分の作りたいアニメが作れるようになっていきます。そのためにもまずは若手のアニメーターが増えていくことが大切です。

また、別の会社では、「アニメ塾」を作って、アニメーターの育成を考えています。先述した70代で数々の名作を実際に制作してきたベテラン原画マンの方々をお呼びして、専門学校よりも濃密に、より実践的な指導をしていく。1クラスは5名程度の少人数にして、クラスでは、実際のアニメの制作を行ってもらい、原画マンが先生としてそれを監督する。実践的に技術を身につけることができ、若手のアニメーターの育成につなげていこうとしています。

これらはまだ一例ですが、気づいていても、気づいていなくてもアニメーター不足は、今後10年以内に確実に問題になります。アニメ制作への中国資本の流出やアニメの海外制作体制などは、日本とアニメを取り巻く環境が壊れつつある中でも対抗策であり、抜本的な改善策にはなりえていません。今後の日本のアニメ業界のためにラクジョブでも若手アニメーターが増えるよう手伝っていきます。ぜひ興味のある方はラクジョブも合わせてご覧になってみてください。

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