アニメ 作画も大事だけど仕上げの色づけも大事なお仕事

今回は、アニメの動画のお話をしつつ、仕上げのお仕事について書いております。アニメーターになりたいけど、あまり早くうまくかけないので、やっていけるか心配という人で、それでもアニメ業界に携わりたいという人向けの記事です。

thumb_costアニメの制作費は?

アニメの年間で約300タイトルほど放送されています。そして、30分アニメを作るのに相場として大体、1000万から1500万くらいと言われています。東映アニメーションの「ワンピース」は、約1000万、逆に「攻殻機動隊」や「機動戦士ガンダムSEED」などは3000万ほどの予算がかかっていると言われています。では、1話あたりいったいどのような予算の振り分けになっているのでしょう。この図のため、配分などは多少変動すると思いますが、割合が多い順で言えば、制作進行の200万、原画の150万、仕上げ、美術・背景、音響制作の120万、動画の110万になります。もし、動画の枚数が5000枚だった場合は、1枚あたり220円ということになります。ちなみに仕上げは動画とほぼ同じくらいです。原画と合わせたら半分以下という状況になります。

shutterstock_4494781コストカットのため海外へ

動画マンの平均年収が111万ほどと言われています(アニメーション制作者実態調査報告書2015)。そのため、そのような金額ですべて回そうとするとどうしてもコストや人材の面で合わなくなってきてしまいます。そのため、大手のアニメ会社では、韓国や中国もしくは東南アジアに専門の動仕会社(動画と仕上げを担当する会社)を置き、子会社だったり、協力会社として提携し、多くの動画や原画などを発注したりしているそうです。正確な数字は定かではありませんが、動画の半数ほどは海外で制作されているとも言われています。そのような事は、何十年も前から行われてきた事なので、たいして珍しい事でもなく、逆に動画や仕上げを専門でやっているだけあって、日本のクリエイターよりも早く仕上げられるそうです。そのため、日本のアニメ制作におけるコストの削減とスケジュールの短縮に一役かっているという事です。

日本のアニメ会社の海外の子会社例

スタジオディーン(中国) https://www.chinadeen.com.cn/
旭プロダクション(中国) https://www.asahi-wuxi.com/
東映アニメーション(フィリピン)https://www.animationcouncil.org/members.php?id=33
ラークスエンターテインメント(ベトナム)(SAO SANG DESIGN Co., LTD)
などなど

他にも業務提携や資本出資の形など、様々な形で、韓国や中国、もしくは東南アジア各所に日本アニメの関連会社がります。

shutterstock_250424362日本の仕上げは何をやっているの?

日本の仕上げ担当は、

引用始め(https://www.creativevillage.ne.jp/2107
上がってきた動画素材をパソコンに取り込み、色指定に従ってPaintManというソフトで色をつけ、塗り間違えがないか検査するまでをいいます。最近は、韓国や中国の動画と仕上げをセットで手がける動仕会社に発注することが多く、私の所属していたTriple Aも中国に動仕会社を持っていて、そこで塗られ戻ってきたものを日本で検査し納品するというケースが主でした。海外は作業スピードが早く、日本のアニメーションには欠かせない力となっていますが、そのぶん荒さが目立つ場合もあり、仕上げの最終段階での検査がとても重要になってきます。塗りミスがないかなど間違い探しをする作業だから、細かさと忍耐が要求されます。
引用終わり

のような事を行っています。

グラフィックデザイナーとして活躍するためには?アニメ会社の仕上げの平均年収と色彩設計への出世

日本アニメーター・演出協会の調査によれば、仕上げの平均年収は194.9万円と動画マンと原画マンのちょうど中間の年収です(アニメーション制作者実態調査報告書2015)。上記の引用で紹介させてもらった仕上げの担当の人は、色彩検定2級を持っているという事もあり、働き出して、1年半で色指定(色彩設計)というものの担当になったそうです。色彩設計とは、文字通り、アニメのキャラクターの色決めです。キャラクターの髪、肌、目、衣装、とその影の部分などで色決めをしたりします。基本的には、肌や衣装そのものの色と髪で影になる部分や衣装のしわの部分のためのワントーン落とした影の色、髪の場合は、光の反射部分のための白い部分があったりします。そのような仕事を任された場合、年収は333.5万円と約1.5倍、そして、アニメのエンドロールに名前が載るそうです。

アニメはアニメーターだけでは出来上がらない色づけの役割

アニメ業界は、やはり作画至上主義の傾向が強いです。作画がよければ「神作画」とよばれ、下手な作画が混ざれば、「作画崩壊」と批判されてしまう事が多々あります。それだけ多くの人が注目していますし、アニメ業界の中でも人気な職種です。しかし、仕上げというキャラクターの色づけであったり、色が間違っていないかを最終的にチェックする細かくも大切なセクションになります。そして、仕上げから出世し、色彩設計ともなれば、色味も設計するため、監督と相談しつつも、その人の色彩の雰囲気が出ますし、それ次第でアニメの雰囲気も大きく変わります。なにせキャラクターの大部分が仕上げの人によって色づけされたものですからね。

2016-02-15 20.37.10(画像は、劇場版響け ユーフォニアムより

また、キャラクターデザインの人の意向によりますが、私としては、苦労がかかったとしても何層も色分けされた色づけをしてもらったほうが、アニメにも深みが出るなと感じています。例えば、京都アニメーションの「響け ユーフォニアム」に出てくるキャラクターや管楽器の何層もの色分けされた配色は、とても見ごたえのあるものになっております。作画だったり、仕上げの人の負担が大きくなることは重々承知の上ですが、今の待遇の改善し、もっと予算をかけてアニメ制作が行えるようになった際は今以上に配色にもこだわってもらいたいと思っております。

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