アニメ 「Charlotte」星をみるシーンは地味!?それは400年前の観測方法です。視野を広げればブラックホールも見えてくる。

今回は、アニメやゲーム、漫画、ライトノベルの原作を作るネタとしてヒントとなればということで書いています。

天体観測アニメは地味!!

今までに天体観測のシーンや天体観測が趣味のキャラクターというのは今までにも幾つかありました。「宙のまにまに」や「極黒のブリュンヒルデ」、「Charlotte(シャーロット)」「放課後のプレアデス」などありますが、どちらかといえば「宇宙兄弟」や「プラネテス」のような宇宙工学のアニメが人気のあるような気がします。それはなぜか、それは近未来的もしくは最先端技術を取り入れているかどうかではないでしょうか。

65cm-telescope-03 2(画像は国立天文台のホームページより)

宇宙工学の分野においてのアニメは、「宇宙兄弟」や「プラネテス」でもわかるように、実際に宇宙へ行って、作業を行っています。一方で、天体観測のアニメといえば、望遠鏡を覗いて星を観測するというものが一般的です。まあ、月を見るのか、土星を見るのか、銀河を見るのかはいろいろあります。「極黒のブリュンヒルデ」に関しては、日本最大の屈折望遠鏡のある国立天文台、大赤道儀室をモチーフとしているので、分かりやすさとインパクトはあるかもしれません。

しかし、宇宙のアニメを見る人にとっては、最先端技術やSFチックの方がワクワクするのではないでしょうか。

345535main_hubble1997_hi_0 2今のアニメの天体観測技術は400年前から変わっていない。

(画像はNASAのホームページより)

よくアニメで出てくる天体望遠鏡は2種類あります。ドイツの科学者、ヨハン・ケプラーによって設計された、ケプラー式望遠鏡(屈折望遠鏡)になります。こちらは、2枚の凸レンズを組み合わせた望遠鏡になります。もう一つが鏡とレンズを使った反射望遠鏡です。こちらはニュートンによって発明されたものです(参考サイト 望遠鏡の歴史)。ケプラーは400年以上、ニュートンも300年以上前の科学者です。今は、精度上げるための設計変更や巨大化することによって観測能力は上がっています。しかしアニメの観測方法は400年前とあまり変わっていません。しかし現代技術では、望遠鏡の巨大化により、目標天体への移動や観測装置は機械化されており、レンズを覗くということは行っていません。さらに、精度が上がれば上がるほど、地球上では大気の揺らぎによって見えづらくなります。丁度、水面下からみる太陽のような状態になっていきます。そのために、「ハッブル望遠鏡」のように観測機器を宇宙空間に持って行って観測結果を地上に配信するなども行われています。

img_lecture02 2そもそも目に見えるものだけが天体観測?

(画像は、地球を覆う大気には宇宙からの電磁波を通す窓がある?より)

そもそも天体観測って目に見えるものだけなのでしょうか。実際は異なります。もっと波長の長い赤外線や電波、波長の短い紫外線やX線というものも光の一種です。そしてそれらの波長の違いによって観測方法も違ってきます。赤外線や電波であれば、パラボラアンテナ設置することで宇宙からの電波を観測できます。

スクリーンショット 2016-02-10 17.42.52一方で、X線やもっと波長の短いγ線などに関しての観測がされたのはここ50年の話になります。なにせ、地球の大気が邪魔して、地上までX線が届きませんからそれまで誰も宇宙からX線やγ線がきているとは思っていなかったのです。こちらも50年ほど前に大気圏外にロケットを飛ばした際にX線星を発見しました。(日本のX線天文学の始まり)2016年2月12日には、国産6代目となるX線天文衛星の打ち上げも決まっています。(X線天文衛星12日打ち上げ アストロH、宇宙の姿探る

X線で何がわかるの?

ではX線で実際何がわかるのか、それはブラックホールなど、特に質量の大きい天体を見やすくなります。一般的にブラックホールの重力からは光すらも逃れることができません。しかしそれはあくまでもブラックホールのある一定以上の範囲以内に入ってしまった場合です。それにもし、他の星が吸い込まれる場合があっても、ブラックホールに一直線に落ちるのではなく、ブラックホールの周囲をぐるぐる回りながら落ちるため円盤状になります。そうするとガス同士の摩擦で高温状態になります。そして、ストーブやこたつの電熱線から赤外線が出るように、円盤状の部分からX線などの高いエネルギーを持った光がでてくるのです。(参考サイト 降着円盤/Accretion Disk

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(配信元 Two Micron All Survey Image Mosaic:Infrared Processing and Analysis Center/Caltech & University of Massachusettsより)

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(画像はhttps://maxi.riken.jp/top/

2枚の図は、上が人間の目で認識できる光の波長でみた私たちいる銀河系の画像、下がX線でみた銀河系の画像、まったく同じ範囲を見ているにもかかわらず、光っている部分が全然違いますよね。

shutterstock_101584243まとめ

星を見ると言ったら天体望遠鏡で夜空をみるというについて、ごく一般的かつ表現が伝わりやすいメリットはあります。しかし、その一方でパターン化しているために、新しい学びもなければ、動きの少ない地味なシーンとなってしまっています。もしこれのみですごいと思わせることができるのであれば逆に素晴らしいと言えます。しかしそれも表現での話です。シナリオはもっといろいろなことを取り入れることができると思います。そのため、アニメ、ゲーム、漫画の制作においてシナリオに関しては、常に新しい情報を収集することが大切です。星を見ること一つにとってもいろいろな観測方法があります。今回は天文の分野でしたが、そのネタは、科学、医療、ITなどと様々な分野に転がっていると思います。そのためコンテンツを作る上で、いかに新しい技術をわかりやすく取り入れてシナリオを作ったり、表現できるかで、アニメやゲーム、漫画の深みというものは変わってくるのではないでしょうか。

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