日本アニメにおいて、3DCGはなくてはならないものになって来ています。以前は、一目でこの部分は3DCGで作っているということで敬遠する人もいましたが、今ではセルルック調の表現ができるようになったため、作画のアニメに溶け込めるようになり、遠くの物体は実は3Dでしたということもよくあります。ズームされたとしてもしっかり見ないとわからないものもあったりします。また動きに関しても、以前はヌルヌルとした動きが作画のメリハリのある動きと異なっていたためすぐにわかってしまいましたが、今では、作画のようなメリハリのある動きで表現できるようになったので、アイドルもののアニメのダンスパートの多くに3DCGが使われるようになりました。
3DCGにおけるアニメとゲームの住み分け
アニメ制作において、3DCGの需要が増える一方、3DCGデザイナーで就職先を探す求職者にとって、ゲーム業界は大きなライバルとなっている印象があります。アニメで3DCGを活用しだす以前より、3DCGを活用して来たゲーム業界、ハイエンドの家庭用ゲーム機ともなれば、フル3DCGでのプレイ画面というのが一般的です。ゲームのジャンルにもよりますが、リアルタイムに動く画面を作画で表現するということができないというのもあります。
また、他にもソフトウェアの問題もあります。今、3DCGの現場では、主に2種類のソフトウェアが使われています。ゲーム業界で一般的なAutodesk Maya、アニメ業界で一般的なのがAutodesk 3ds Maxになります。なぜこのような違いが生まれているかと言えば、アニメ業界において3DCGはいかに作画の中に溶け込ませるか、セルルックに見せるかが重要でした。その機能が充実していたのがAutodesk 3ds Maxというわけです。最近では、Autodesk Mayaにもセルルックに見せる機能がついてできて来ているため、Autodesk Mayaでアニメを作っているアニメ会社もあったりしますが、導入に新たに予算がかかること、操作に慣れるために半年から１年ほど期間を必要としてしまうという点です。今後は、専門学校の使用するソフトウェアの傾向を見てもAutodesk Mayaへの移行が進むのではないかと思いますが、まだまだAutodesk 3ds Maxの企業の多いアニメ業界はゲーム業界よりハードルが高いと言えるでしょう。
雇用形態から見る3DCGにおけるアニメ業界、ゲーム業界の違い
また就職先を決めるのに大きく変わってくるのが待遇の違いです。アニメ業界とゲーム業界を比較した際に、ゲーム業界は正社員雇用をする企業が多い中、アニメ業界は、契約社員、業務委託が多くなっています。それは予算の組み方の違いからくるものになります。ゲーム業界であれば一人１ヶ月働いていくらで予算を組みますが、アニメの場合１カットいくらで予算をつけています。このため成果物に対して予算がつくアニメ業界で固定給を支払わなければならない正社員はリスクが大きいため、多くの企業が業務委託や契約社員で採用しているのです。
しかしながらアニメ業界は実力主義の世界です。それはいい面でもあります。作画でも言えるように優秀なスタッフには、指名で仕事の依頼が来ます。会社によってはどうしても仕事をしてほしいため拘束量を別ではらい、他の仕事より優先してほしいということをしているのです。またアニメ業界は、ある意味アニメが名刺がわりになります。評判のいい作品の3DCGを担当し、実力が認められればそれだけ声をかけてもらえます。一方ゲーム業界であれば、ゲームをクリアした際のスタッフロールでしか確認できないため、なかなか外の人の目に個人名で広がるということは少ないのです。どうしても会社単位がデザインのトップにならない限りなかなか名前は広がらないでしょう。
今後もアニメでの3DCGはより多く活用されていくでしょう。アニメに登場するメカのみならず、アイドルもののダンスパートなど、今では各クール最低１つはある定番のジャンルになっています。さらにフル3DCGのアニメーションなども今後は増えていくことでしょう。しかも3DCGであればしっかりモデリングをすればどんなに動かしても、カメラワークを動かしても崩れることはありません。よりダイナミックなシーンで3DCGは活用されていくでしょう。加えて、現状、3DCGは作画アニメーターに比べ、競争率が低くなっています。
もしゲーム業界などで3DCGをやっていたのであればどこのアニメ会社もこぞって来てほしいというのは間違いありません。もしアニメ業界で3DCGアニメーターとして名前を売りたいというかたがいらっしゃいましたらご応募ください。
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