今回は、アニメやドラマや映画の表現に関してになります。今後の、もしかするとこれまでの製作してきたもの全てに影響するものになるかもしれません。
アニメ制作やゲーム制作において、今までも内容によるある程度加工や年齢制限をしてきた描写は幾つかありました。アニメであれば、キャラクターの入浴シーンで湯けむりがついたり、スプラッタ系のシーンで黒くモザイクがかけたりなどあります。ゲームでは、内容に応じてABCDZと表記され、年齢制限されています。そうした中、2016年2月1日に読売新聞にこんな記事が掲載されました。
喫煙シーン映画、「成人向け」に・・・WHO勧告
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160201-00050138-yom-ent
つまり、喫煙シーンのある作品を未成年が見た場合、喫煙率の増加、もしくは未成年での喫煙に発展するかもしれないので、喫煙シーンのある作品の年齢制限を義務化しようということです。未成年の喫煙シーンの市長の影響に関しては、2003年にすでに、ダートマス医学大学小児科の研究グループによって実験が行われていました。(Dalton MA, Sargent JD, Beach ML, et al: Effect of viewing smoking in movies on adolescent smoking initiation: a cohort study. Lancet 2003; 362: 281-285.)
下記の参考文献は日本禁煙学会理事によって製作されたものです。
参考文献
https://www.nosmoke55.jp/gakkaisi/201310/gakkaisi_131023_86.pdf
この文献に書かれているダートマス医学大学小児科の研究グループによって実験によれば、映画の喫煙シーンが10歳から14歳の子供の喫煙開始の主要原因となることを証明した調査データを発表しました。(Dalton MA, Sargent JD, Beach ML, et al: Effect of viewing smoking in movies on adolescent smoking initiation: a cohort study. Lancet 2003; 362: 281-285.)
そこでの研究の結果、喫煙シーンを含んだ映画を最も見たグループは、最も見なかったグループと比べて、約3倍も喫煙を経験するリスクが高まることがわかりました。そしてこの研究は、他の欧州6カ国でも行われ、最も見たグループと最も見なかったグループでは、2倍から数倍の差で喫煙シーンを最もよく見たグループの喫煙のリスクが高まっているということがわかりました。
今回の件は、なにも映画だけの話ではありません。今までに放送されているドラマやアニメにも影響が及びます。例えば、アニメで言えば、「ワンピース」展サンジや、「ルパン三世」の次元、ジブリ作品の「風立ちぬ」といったファミリー層向けのアニメーションにも影響が及びます。
国際法と日本国憲法どちらが上、過信しすぎてはいけない表現の自由
日本には表現の自由があるから大丈夫と思う人はいるかもしれません。確かに日本国憲法第21︎条には、︎
1 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 権益は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
と書かれています。
一方で、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約では、「たばこの広告、販売促進及び後援(スポンサーシップ)を禁止し又は制限する(外務省より)。」と書かれています。そのため、たばこの銘柄がわかるように出すことやもしかするとたばこを出すこと自体も国際法違反だということになります。それで問題になったのが「風立ちぬ」でした。そうなると最終的に日本国憲法と国際法どちらが上が上かという話になってしまうのですが、はっきり決めるための判例もなく決めることはできない状態で、国々によって対応が分かている状態です。そのため、日本では、よくても他の国ではダメということが起こりえます。場合によっては子供向けのアニメが年齢制限によって子供には見せられなくなってしまいます。
各国の対応
先ほどの参考文献の中には、各国の対応も書かれております。
引用始め
映画の喫煙シーンへの対応:海外の状況
インドでは、中央映画認定委員会(CBFC)が、喫煙シーンのある映画の冒頭と喫煙シーン出現時 に、タバコが有害であるというテロップを流すことを上映認定条件に定めている。CBFC委員長は「今後、タバコやアルコールの消費を促す映画は、認定を受けるためには、規定のテロップを流すか、そう したシーンをカットするかのいずれかを行わなければならない」との立場である。 台湾では、2012年に、保健省が、2分ごとに喫煙 シーンがある日本の人気アニメ「ワン・ピース」を例に挙げて、喫煙シーンのある子ども向け映像作品に 対して、将来視聴制限のレーティングを行う意向を示した。喫煙シーンのある子供向けアニメでは、最初喫煙シーンにモザイクをかけていたが、視聴者 の不評を買ったため、現在は放映の最初と最後に「タバコはからだに悪い」などの有害警告テロップを 出している。このように、欧米だけでなく、アジアの国々に おいても、喫煙シーンのある映像作品に対しては、様々な規制がかけられる時代となっている。
引用終わり
インドを一例にあげさせてもらいましたが、今後は各国でこの規制がどんどん厳しくなっていくのではないかと感がています。
表現の自由の今後はどうなる
国会は2月中に、TPPの承認と、署名を考えています。農業やコミックマーケットでの二次創作で問題にあげられていましたが、国際化する中で、間接的な影響はもっと広範囲に及ぶでしょう。今回はタバコという観点のため、子供が見るようなアニメには使わないという判断で、対応できるかもしれません。しかし、今後、より一層の表現の規制が強まり、日本の文化や風習、独特の仕草などにも言及されるかもしれません。そうなれば、アニメ業界のみならずコンテンツ業界の表現の幅が狭まり、似通ったコンテンツしか生み出せなくなり、コンテンツ業界全体の衰退へと繋がりってしまう危険性もはらんでいます。そうならないためにも、既存の表現方法とは違うものをどんどん生み出していく必要があるのではないでしょうか。
そのためにも若くて新しい人材をどんどん採用し、新しい試みをどんどん行っていく必要があるのではないでしょうか。ラクジョブではそんないい人材の採用のお手伝いをし、業界発展させていいければと思っています。
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